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スウェーデンの共働き型社会

スウェーデンでは、「女性が育児の為に、専業主婦になる」という考えは、存在しないと云われています。女性が出産、育児により、仕事を辞めなければならないということはなく、共働きが可能な支援、環境が整備されています。

日本でも、共働き世帯は増え、育児について支援するしくみが出来ていますが、両立しにくい職場の雰囲気で、どちらか一方を諦めてしまう方や、出来ても、苦労をしている方が多いのが現状です。

スウェーデンは、育児と仕事の両立は、20世紀初頭から、進められてきた労働者の権利を保障する制度の整備の流れを組んでいます。男女の賃金差の是正や女性の社会進出が実現し、様々な労働環境といった整備が行われました。誰でも、「人として尊厳ある働き方ができる」という社会規範が出来上がった上で、共働き型社会へ移行するための政策支援が拡充されてきました。

共働き型社会への移行で、重要になってくるのが、育児支援になります。子育て支援が手厚いスウェーデンの例をみてみたいと思います。

子育て・両立支援関連施策


コミューンと呼ばれる基礎自治体は、入所を希望する1歳児以上の子供に就学前保育を提供する義務があり、子供たちは、希望したら必ず保育園に入所できます。そのため、待機児童は存在しません。また、職探しの一定期間も、子供を預けられるなど、現実的な支援があります。

一歳未満の子供たちは、家庭保育が重要なため、ゼロ歳児保育は、存在しません。子供が一歳になるまでは、親が両親休暇(育児休暇)を取得して家庭保育することが、当たり前のことになっています。

出産、育児休暇は、区別されず、「両親休暇」と呼ばれ、男性も、こどもが生まれる時には、10日間の特別休暇がもらえます。因みに、両親休暇は、480日間取れます。給付金の支給があり、最初の390日は、賃金の80%、残りの90日は、定額支給され、世界でも最高水準にあるとされています。

(参考:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2005/17webhonpen/html/h1420210.html

看護休暇制度


スウェーデンでは、こども(8ヶ月〜12歳)が病気になった時に、看護休暇があり、子ども一人あたり年間120日(60日は要件あり)休むことができます。また、上限はありますが、所得の80%が保障されています。

日本にも、こどもが怪我をしたり、病気をした時の看護制度がありますが、就学前のこどもに限定され、日数は5日だけで、給付金はありません。

育児休暇を取得しやすい環境


支援があっても、実際には、休みにくいのが日本の実状です。
スウェーデンでは、育児休暇を取ることに、否定的な評価がほとんどないと云われています。
臨時契約社員を雇って対応する事業者が多く、職場に迷惑を掛けるから、休めないことのないようにしています。

また休業者に対して、メールで連絡し、テレワークなどの柔軟な対応があります。戻って来た時には、自分の席がなくなっている、などの復帰後の不安を持たせないようにしています。

まとめ

スウェーデンでは、子供にとってよい成育環境を作ることを中心に、共働き型社会が設計されています。「生めよ育てよ」の育児支援ではなく、「子供が幸せにくらし、成長できる社会」にするための支援です。そのためには、負担を惜しまない姿勢が、スウェーデンにはあります。日本でもこのような意識に変化することで、育児休暇を取りやすくなり、より多くの子育て世代が仕事を辞めることなく、子育てをしていけるのでしょう。そして、スウェーデンのような共働き型社会への移行がもっとスムーズになり、「子育てで働きたくても働けない」という社会が少しよくなるかもしれません。

(参考:https://swetabi.com/raise-child

(参考:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2005/17webhonpen/html/h1420210.html

(参考:https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2018/12/sweden.html#link_04


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