【interview #4 】 コーヒーと私 [第一弾] Tjukrupa Coffee 店主 黒木彩乃
子どもの頃から目指していた保育士になった20歳の頃、日々充実しながらも次の大きな夢はなぜか、カフェオーナーだった。
飲食店での経験は、学生時代に惣菜屋と焼肉屋でのバイト。そしてバーで手伝いもしながら、酒に酔う大人を相手に接客を学んだ。
お酒を作る人はこだわりを求める、作り方はもちろん『店内の雰囲気、お酒とグラスの相性…』
お客様はマスターに委ねてグラスに入った酒を楽しんでいた。お客様が喜ぶとマスターが1番幸せそうだった。
25歳の頃、
オーストラリアへワーホリに行っていた友人が帰国し、朝日を見に行こうと誘いを受け「なぜ朝日を?」と思いながら日向市の馬ヶ背に向かった。
日が昇るまでにオーストラリアの生活についてコーヒーを片手に話し込んだ。
私の友人はナチュラルな女性で、自然豊かなオーストラリアの温かい人々、アーティスティックな文化を愛していた。
素敵なカフェが街中に溢れているなんて話をしながら、私が抱いている夢の話をすると彼女は背中を押してくれた。
この一瞬の時間で私もオーストラリアへ行く決断をした。
26歳で渡豪。
国内旅行で毎年各地を訪ねていたが、国外は初めてで、9時間のフライトを経て電波のないiPhoneを握りしめながら英語が喋れず聞き取れずの生活がスタートした。なんせオーストラリア訛りはすごい...
アナログ生活ではとにかく相手へ質問攻め、
ショッピングモールのお姉さんのセールスさえも英語の勉強だと引き受ける。
スタッフ達は店の前を通るアジアンに声を掛けたがる。「私日本が好きなの」大概この決め台詞で「no thank you」が苦手な日本人を攻めてくる。
私も例外に漏れず話しかけられたのだけど、
初日にして$300の化粧品を$50に交渉成立!
その後も店の前を通る度に話しかけてくるので、「私すでにあなたのお店で乳液買ったよ、ちょっとパソコン貸して!」と自分のカスタマー情報を入力するほど図々しくもなった。
もちろん面白おかしく話すものだから気まずさなどなく「また来てよね」と、
さすがに2度目の購入は定価でお支払い...
私はビーチの近くに住んでおり、朝目覚めの散歩へビーチへ向かうとランニングマンや散歩を楽しんでいる人だらけ!朝6時のカフェは満席。
そこでようやく、友人が朝日を見に行こうと誘ってきた理由が分かった。
オーストラリアはフレッシュな人が多く、すれ違う皆が目を合わせ挨拶をし合う。
なんて素敵な国だったでしょうか。
こんな生活を過ごしていると、日本の文化や価値観との違いから自分の人生についても考え出した。
まずは2年目のビザをとるためにファーム(農家)へ移動、自然が相手な仕事のため天気に左右され作物も影響を受けやすく、私が居た時期は雨が降らず野菜やフルーツは不作続きで歩合制の仕事は給料は低く、周りの友人は仕事を失う事はザラだった。終わりの見えない広大な畑には日本の5倍の紫外線が降り注ぐ。
私は幸いに植物園で働いており、日の当たらない屋内、仕事に追われながらも残業禁止、しかも時給制だった。ワーホリを経験した人は「ラッキーだったね」と思うに違いない。
会社はオージー、台湾人、中国人、韓国人、日本人の私。嫌な思い出は、21歳のオージーがいつも虫を投げてくる事くらい(笑)
1年日本を離れていれば恋しくもなり、一旦日本へ帰国。オーストラリアへ戻りたくなったら戻ろうと過ごしているとCOVID-19流行、いつ戻れるか分からない。
長らくのサラリーマン、バイト生活は考えていなかった為に、起業することに至った。
相談した相手は90%の人が反対。
「こんな時期にお前は馬鹿か」「無理でしょ」の言葉が私に火をつけてくれた。その90%の方々に今心から感謝している(笑)
値上げ、物流難、最悪な事が被さってきた時はどこを見渡しても皆が嘆いていた。「それでも頑張るんよ」とお客様に励まされる日々。
しっかりと向き合って、やれることはある、このご時世に気付かされた「無理な事なんて無い」ようだ。
自営業は自分がやった程に返ってくる。
1日を自分の為に過ごしていると、この充実さは何とも言えない満足感を得ている。
【一問一答】
・屋号の由来
▶︎ アボリジニーの言葉、行動の決まりや集団生活の掟、自然や生活を支える基盤となる規律
「今ある豊かな自然を維持しながら人間が生きていくために」これがモットー
・思い入れのある道具
▶︎ エスプレッソマシン
上質なエスプレッソとミルクの相性ばっちり
・家庭でできるコーヒーのいれ方のポイント
▶︎ 豆の挽き方、お湯の注ぎ方、心を込めること
・コーヒーの楽しみ方
▶︎ コーヒーを口に含んで、深い鼻呼吸をする事
まず薫りを感じ、コーヒーのコクや酸味の味わいを楽しむ
・趣味(音楽や映画など好きな事)
▶︎ サーフィン、洋画・洋楽鑑賞、植物いじり