カンボジアで乳がんになるvol.12.光と闇の間で
日本での検査が終わってシェムリアップに帰ってきて10日が過ぎました。今夜のフライトでまた日本です。
帰ってきてからの数日は、ハチ🐶といっしょに自分のホームであるファームで過ごす時間が穏やかに流れていて、シェムリアップの空を見上げるだけで心が満たされる気持ちだった。
でも少しずつ変化が起きて、心に光が灯る時より、闇の中へ引きずり込まれそうになる時間が増えてきて、ここ数日は自分の心が闇の中に埋もれてしまいそうで怖い。
だから冷静に自分を見たくてブログを書いている。
帰ってきてすぐはやる気に満ちていてたくさんの人に会えた。
そのひとりが、kru khmerというカンボジアの伝統医療の先生。
カンボジアには西洋医療だけでなく、古くはインドから伝わってきたであろうアーユルヴェーダのような伝統医療が今も残っていて、金銭的に西洋医療の病院に行けない人や、お金持ちでも西洋医療では治癒できなかった人がkru khmer(クルクマエ)と呼ばれる伝統医療の先生のもとに集まる。
以前からの友人であるカンボジアの伝統医療の先生が今回ファームに来てくれて、癌の薬についての話を聞かせてくれた。先生とコラボしてこのファームを身体やココロにトラブルを持つ人たちの癒しの場にしようという話で盛り上がった。
他にも大好きなカンボジア人の妹、クイちゃんがいつも行く占い🔮の先生のところに連れて行ってくれたり。
友人に会って何度か食事しておしゃべりしたり。
スリランカ人の友人がアーユルヴェーダからの癌治療のアドバイスをしてくれて電話でたくさんおしゃべりしたり。
帰ってきて数日はいつも通り、元気に笑っているポジティブな自分でいられた。
帰ってきてから3、4日してから髪の毛が怖いくらい抜けるようになった。乳がんの抗がん剤は100%髪が抜けると聞いているが、私はまだ何の治療も始めていない。手で髪の毛を触っただけでも抜ける、ブラッシングしたら洗面台が髪の毛で真っ黒、髪を洗うのも怖くなった。
患部にも変化がでてきた。はっきりと外側からがん細胞がわかるようになった。つまり、胸の一部がぽっこり膨らんでいる。
乳がんは他の癌と違って内臓の奥にできるのではなく、皮膚から近いところにできるという珍しい癌。だから放っておくとがん細胞が大きくなって赤く腫れ上がり皮膚を破って外に出てくる。
癌という病気になって自分の人生に向き合う機会をもらった。そして自分の心に向き合う時間ももらってるんだと今感じている。
仕事でトラブルがあっても、人間関係に疲れても闇の中から出られないと感じたことはなかった。
「さっちゃんの人生ってジェットコースターみたいね」って20年近くシェムリアップで私を見てきた友人に言われたことがある。私は平穏無事な穏やかな人生を送ってきたと自分では思ってきたので「周りからはそんな風に見られてたの?!」と最初はびっくり。
でも考えてみれば、20年前に女1人でカンボジアで会社を作るとか、しかもあの時は全財産50万円もなかったし(笑)、個人で建設トラブルで800,000ドルのお金を持っていかれるとか、なかなか経験できないよね。確かにいろんなことはあった。もちろん振り返ればひとりで泣いたことも、苦しいこともたくさんあった。
でも闇の中から出られないと感じたことはなかった。
この1週間は、人に会いたくなくなって、電話で話すこともできなくなった。頑張って元気でいることがツラい。私は大丈夫だよって笑顔でいることがツラい。
でも、逆にツラいとかどうしたらいいか分からない、ネガティヴなことを言うのもツラい。
人と接するパワーがない、そんな感じ。
「今の悩みは来年の私の悩みではない」
いつも自分に言い聞かせているこの言葉で今回も乗り越えられるかな。