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たのしいサロンドパルファン '23 購入品開封編

サロパ '23レポ編はこちら↓



 では早速

お迎え品 開封の儀

ブルガリのサンプルとペンハリガンのスカーフ?ポケットチーフ?は
会場で頂いたぞ



●çanoma / 1-24 鈴虫

EDT / 30ml / 8,250円 (税込)


 これは30mlなんだけど、このボトルの大きさと形が私の手にしっくり馴染んで凄く好き。持ちやすい、握りやすい。

 調香はJean-Michel Duriez (ジャン=ミッシェル・デュリエ) 氏、香りのディレクションはブランド代表の渡辺裕太氏。

ベルガモット、バジル、カルダモン、クローブ、サフラン、ヴァイオレットリーフ、 ローズ、オークモス、シダーウッド、ミルラ、ラブダナム、カカオ

公式サイトより

 あ〜いい香り。もっと早くに迎えるべきだったね、夏の香りだしね(笑)。
 甘くなくスーッと爽やか、ジワジワした癖と少しの花の酸味。懐かしい空気の匂いがする。

 子供の頃の夏。まだ静かな朝は涼しく、しかし太陽は早くから照り続け、どんどんアスファルトを灼いていく。大声で叫び続けるセミたち、動かない風、ムシムシじっとりする体。再び涼しくなってきた夕方にはすかさず打ち水をする。あの広い空から、最後まで力強く燃えていた陽がいなくなる。もの悲しくなる…。

 トップは柑橘とバジルの爽やかさから、ジワジワとスパイスが目立って暑くなる。ぐんぐん伸びる草の匂い。湿度が高まり、ムワッと花の香りが充満する。その一方でシダーウッドがジリジリと響き続ける。甘い体臭とすえた汗の匂い。
 暑さが落ち着くとインセンスが静かに伸びていく。あんなにムシムシしてたのに、この静けさ…。でも、しっとり汗ばむ程度に暑さは残ってるんだ。

 凄い、本当に昔の夏だな。香りが時系列に基づいて語ってる。大変よく出来てる!


 香料はたくさん入ってるけど決してゴチャゴチャしていない。複雑に絡み合い、経過と共に表情を変え、しかしテーマは一貫していてブレない。素晴らしい。
 逆に言えば、もう既にいろいろ入ってるので下手に他の香りを組み合わせようとするとゴチャついてバランスが崩れてしまうということ。この子だけで使おう。

 トワレだから気軽に使えるのも丁度いい、儚く過ぎ去る雰囲気と合ってる。
 直にクンクンするよりもフワッと香ってきた時の「んっ」て感じがいい。いやに目立つってことがない。当然自然の空気の中によく馴染む。




●LA NUIT PARFUM / スクリャービン ディスカバリー セット

EDP 3種 / 各10ml / CD, ブックレット付き / 27,500円 (税込)


 もうこのパケが好きですね。ギラついてない黒に品があってキマってるし金の箔押しだし。
 あとケースを開けた時の匂いが良くって(笑)。ブックレットの匂いだね、紙の匂い。本体より先にスーハースーハーして、はぁ~もういい匂い。

 スクリャービンの楽曲入りのCD(全8曲)とスクリャービン愛が語られたインタビューなどが載ったブックレット付き。
 ボトルがきっちりはまってて取れねぇ!って焦ってたら、ピアノの鍵盤(ハンマー)のように下部をポンと押せば上部が飛び出す仕組みだった。素敵すぎない?

 CDは著作権切れの作品を復刻させる音楽レーベル「Sakuraphon」によるもので、スクリャービン本人の演奏も収録されている。


 調香はすべて「かほりとともに、」の沙里氏。

・ソナタ7番 白ミサ

トップノート:ベルガモット
ミドルノート:セージ、シストローズ
ラストノート:ミルラ

公式サイトより

 ブワーッ!!という光の凄まじいインパクトで始まる。「爽やか」とか「明るい」っていうんじゃなく、突き刺さってくる強烈な眩しさ。だけどそれがとても気持ちがいい。神々しいんだ。
 目が慣れると全体像が見えてくるが、やっぱり眩しい。清々しくシン…とした空気。いい…いい…。ベルガモットだけじゃなくセージがいるからなのかな、これは。
 インセンスがうっすら漂う。お香を焚いてるっていうより、この場が神聖だっていう雰囲気を演出するため。
 そしてラストは樹脂の安定感、穏やかな甘さに落ち着いていく。よい…!

 もう本当に最初から最後までいい。本当にこのテーマにぴったり沿った安定感たまらないですね。一貫してるので期待を裏切らない。

 ところでノートの「シストローズ」って何かと思ったらラブダナムの事なの?でも黒ミサにはラブダナムってあるよね…。違いがあるって事だよね…なんだろう。


・ソナタ9番 黒ミサ

トップノート:無し
ミドルノート:アミリス、ラブダナム
ラストノート:ベチバー

公式サイトより

 白ミサとは逆に、ダークに淀んでいる。それでもあくまで神聖な雰囲気なのがいい。正直これ以上語る事がないぐらい変化はない。なんてったって「トップノート:無し」だからな。

 トップの香りがないからバァーンという付け始めのインパクトがなく、ぬるっ…と不穏に始まっていく。
 樹脂とウッディの香り。絡みつく甘さと突き放す苦み。ラブダナムが真面目な顔をしてすましている。そのままラストへじわ…じわ…と残っていく。ベチバーの独特な地を這い近付いてくる嫌悪感、闇に蠢くなにか。雰囲気めっちゃいい。

 ベチバー特有の「熱い」感じが長く続くので、気分や体調によっては受け付けないだろう。いつでも付けられる訳じゃないところが、近づきすぎてはいけない雰囲気そのもの。


・ソナタ10番 昆虫

トップノート:グレープフルーツ
ミドルノート:シダーウッド、スパイス数種
ラストノート:ベンゾイン

公式サイトより

 うわっと声が出るほどむせ返る土の匂いの中から、キーンと甲高い音をあげて飛び去る細かき存在。ジワジワ、ずわずわ、チョロチョロ、ゴチャゴチャと細かいものが動き回る。奇怪で不気味でキラッとかっこいい。

 ノートで見た印象よりもグリーンな雰囲気。わりと青さがある。グレープフルーツの爽快感が眩しく、シダーがじーわじーわと蒸す。あとはカルダモン?ジンジャー?草むらを飛び跳ね、木に留まって樹液を舐めてる。
 最後はベンゾイン。白ミサもそうだけど、ラストにかけてバルサミックなのよね。穏やかに終わっていくから意外と後味が良い。


 3本ともすごく好き!テーマにぴったり沿った香りの構成と移り変わりが素晴らしい。光景と感覚がはっきり伝わる。
 シンプルといえばシンプルだが、無駄を削ぎ落として密度を高めた完成度となっている。絶対音感の人が僅かなブレも許さないような感じ。それでいて微細な雰囲気も漏らさず的確に盛り込まれてる。良い。
 買ってよかった…。

 ただし、テーマがはっきりしてる分、いつでも付けられる香りではないとも気付いてしまった。作品と向き合わないといけないんだ。気楽に流せないから合わないときは合わない。さあ聴くぞ!とプレーヤーの前に正座して堪能するかんじだ。そうすれば最後には見事!と拍手したくなる。

 あと気になったのは、私の肌の問題かもしれんが、香りがちょっと弱めだった。いなくなるのも早い。なので遠慮なく2,3プッシュしてる。

 は〜ラニュイいい。やっぱ夜のガスパール3種も欲しくなってくる。新作も…。




●LIBERTA PERFUME / Espresso

EDP? / 10ml / 6,000円 (税込, 上記組み合わせによる)


 今年のサロパだけの特別企画、"エスプレッソ" で作った私のオリジナル香水。嬉しい。

 オーダーメイド香水ってすごく興味があるんだけど、性格的に(優柔不断、凝り性、神経質、ほか面倒くさい人の特徴)難しいのかな…と思ってチャレンジ出来ずにいる。

 そんな私でもついに体験できたセミオーダー!
 体験の様子は前回のレポ(●17日 追いサロパの項)に書いてあるよ。


ベース:ホワイトベルベット(ホワイトフローラルとムスク系)
トッピング:ジャスミン アブソリュート、シベット

 ジャスミンにはサンバック アブソリュートアブソリュートの2種類あったんだけど、スタッフさんに「この組み合わせだったらアブソリュートがオススメです」と言われたんで従ってみた。サンバックの方が柔らかで優しく、アブソリュートの方がしっかりめでアニマリックだったと思う。

 シベット単体だとアニマリックな香りそのものでクサいのだが、ジャスミンと合わせたことで甘い香りと独特のクセを後押しする隠し味となり、よりジャスミンの輪郭を際立ててくれている。つまりアニマリックマシマシだ。
 それにベースのホワイトベルベットが既にホワイトフローラルにムスクなので、ぶっちゃけ特に意外性のないありがちな香りではあると思う。

 シングルノートなので特に経過変化はなく、まろやかな甘いジャスミンがムスクで蒸されてさらにトロトロになるかんじ。「元々こういう体臭なんですぅ」みたいなのが好き。なんか懐かしさも感じる。

 ちょっと個人的な話をすると、私は情緒的ネグレクトを受けてきたので親に対し愛情(共感、理解、精神的安定)を渇望するという闇がでかい。このムスキーなジャスミンというチョイスはそのまんま「母親の腕の中で甘える」という願望そのものだと思うな…。
 あ~だから寝る時や気持ちが不安定な時に付けると「これだ!!」ってなるんだな~…。

 ま、とにかくシンプル構成だからこその嫌な匂いが出てこないやつ。いつまでも好きな香りしかないやつ。最高。作ってよかった!


 そういえば、フルオーダー香水と同じで1ヶ月くらい経つと、香料同士が馴染んできて香り方が変わってくるそうだ。
 ていうか、1週間でもうなんか違う気がする。なぜかシベットが強くなってきた。クサい(笑)。ジャスミンの甘さよりそっちの方が今は強めかも。
 今後はまた馴染んで変わるかな?面白いな~。


 ジャスミンが主役になってるので、更にグリーンな香りで風通し良くしても良さそうだ。ジャスミンじゃなくてバニラかイランイランでも良かったかもしれない。あとミントを加えてもよかったかも。

 とりあえず試しにFUEGUIAエンデバー(ミント入りスッキリリフレッシュなグリーン)と重ね付けしてみる。よい!思った通り、風通しが良くなりヌケが出来るのでジャスミンとムスクのもったり感が爽やかに変化。空間が広がってよりリラックスできる香りになるね。
 どんよりしてたけど背筋を伸ばし顔を上げたら、広い世界があったと気づくかんじ。あ、なーんだ灯台下暗しだ~と問題解決、あっさり、すっきり、ニッコリ。




●SCENT OF YORK. / モカ

EDP / 37.5ml / ガラス瓶, 漏斗, 10mlアトマイザー付き / 33,000円(税込)

 サロパとは別だけど、同期間中に本館地下2階にてポップアップ中だったセント オブ ヨーク。
 普通にサロパのポスターがスタンドの隣に並び、さもサロパの一部ですよ~って顔してたのでこれもサロパ購入品とする!


 FUEGUIAみたいにその時一番良い天然香料を使って100個分作るんだそう。だからエディション違いで香りは微妙に変化するし、香料が手に入るまで欠品になってしまうとか。
 中でもフェティッシュという香りは特別なアンブレットを使用しており、もうその原料が手に入らなくなり幻の限定品となったそうだ。が、ついに再生産され復刻することとなった。
 そうして作られたこだわりの100個売れてから新たな100個分を作るため、その間も欠品。私が購入したこのモカは今年8月に作られた最新エディションということだ。

 ちなみに化粧箱は布張りの特製品で、このために70代の職人さんにお願いしてるんだとか。あちこちにこだわりが詰まっている。
 またタイトルのモカは、ブランド代表の山藤さんと暮らす御年23歳のネコちゃんの名前から来ている。本当はモカ・なんとかかんとか・ウィズ・ホイップ…というスタバの呪文みたいな長いお名前らしいよ(笑)。山藤さんのインスタでモカちゃんのかわいいお姿が見られます。


 昔の香水瓶みたいなキャップに芯がついてるタイプの瓶付き(密封のためさらにプラ蓋がついてる)。香水自体は遮光瓶の方に入っていて、自分でガラス瓶の方に移し、さらに使いやすいようアトマイザーに移す、という仕様だ。
 昔の映画とかで、こういうの取り外して直接首にちょんちょんって付けるの、子供の頃憧れたな~。バルブをプシュプシュするのとかも…。

公式サイトより

 が、いざ開封してみてふと思う。
 待てよ…私、…この瓶に入れて大丈夫か…?ひっくり返して割ったりしないか…!? あ、有り得る…!(ゾーッ)
 ということで遮光瓶から直にアトマイザーに少量移して使ってる。なんかすみません…。扉付きの香水棚を買うか作るか検討してます。そしたらガラス瓶だけでも飾れるし。せっかくのかわいい瓶、もったいない。

アトマイザーに移し替えた図


 あ〜いい香り。酸味も立ちコク深めなコーヒーの香りに、同じく苦みがはっきりしたタバコの旨み。甘さはほぼなく、深いコクと豊かな香りが味わえる。
 いわゆるコーヒーの香りっていろいろな所から出てると思うけど、単純な「缶コーヒーの香り」と化してたり、もしくは「駄菓子のコーヒー味」の風味になってたりするんだよね。
 でもここは!めっちゃコーヒー!フルボディなブラック、ドリップしたコーヒーというかんじかな。強烈なほどではない、でもしっかり香る。

 そこに乗るタバコ、これもしっかり苦臭い。そしてこのふたつからは油分が滲んでる。
 これ苦手な人は「苦い、臭い」って思うだろうけど、好きな人だったらヤニと油脂によるコクがしっかりあることに気付いて「うまい!」ってなること間違いなし。コーヒーとタバコの香りが好きな方は是非試してみてほしい!

 持続力・拡散力は弱め。私には十分だけど1時間でほとんど消えていく。まさにコーヒーブレイク、煙草休憩…。ただしタバコっぽい苦みはゆるっと長く残るので、ふとした瞬間に「なんか…苦くていい匂いする?」と思う。それもまたよい。
 香りが広がりにくいのでとてもパーソナルに使えて、すぐそばに来た人にだけちょっと伝わるくらい。だから食事に行くときでも気にならず、それこそお茶するタイミングならピッタリの香りだ。自分だけが密かに楽しめる。


 BVLGARIスペッタ コローレと重ね付けたら、合う!
 モカの重低音に対し、スペッタ コローレはグリーンなヌケ感がありつつ、穏やかに甘くほわほわーっとしてる。苦々しくなく優しい表情に。
 バランス取れてて実に良いペア。これはいい発見だ~。

 スペッタ コローレは今回のサロパ会場で頂いたサンプル。ノートはアイリス、ミルラ、アンバーで、最初に芳香剤っぽいフローラルな甘い香りがして「うーん…」と思ったのも束の間、なんだかスーッとしたグリーンな抜ける香り!これ、ミントかな…?爽快感と絡まる樹脂の甘さ。
 アイリスって苦手だと思い込んでたけど、割りと平気になってきたっぽい。アルデヒドとか石鹸の香りは苦手だけど、グリーンで風通し良ければいけるのかも。


 さらに、NOBILE 1942カフェ シャンタンでグルマンな組み合わせ。
 想像通り合う~。クリーミーかつジューシーなあま~い香りが乗って、とっても贅沢なデザートの時間。ううん、たまらん。
 おいしい香りとうまい香りに包まれて、頭がランランとしてくる。魅惑的すぎて、昼に纏えばもう何も手につかなくなるだろうし、夜に纏えば眠れなくなりそう。うーん、休日につけよう(笑)。


・朗報

 10月28日、渋谷区幡ヶ谷に「LÖUKA(ロウカ)」というフレグランスのセレクトショップがオープンした。そちらにセント オブ ヨークの香水たちが常設となったぞ。

 ちなみにfogさんも常設!めでたい。

 渋谷ってなかなか行かない方面だったけど、楽しみが出来たし今度行ってみよー。

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