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ド ジバンシィお試し大会

 大会とか言ってますが毎度ながら私ひとりです。

 今月はじめにTwitterのフォロワーさんから「ドジバを試してみてほしい」と熱烈なオファーを頂き、小分けをたくさん送ってもらった。ありがとうございます!!!!!
 GIVENCHYのフレグランスは2022年のサロン ド パルファンでアンフラメとジェントルマンを試しただけで、ほとんど手つかずの状態だったのでほんとありがたいんだ、うへへ(涎)。

 今回はその感想です。


・簡単な説明と注意

de GIVENCHY / ド ジバンシィ』はGIVENCHYの「ラ コレクション パルティキュリエ」というハイエンドラインの香水に付けられた名前で、ブランド創業者のユベール・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)の名が冠された、その名の通り特別なコレクションである。
 オンラインでも買えるが実店舗での取り扱いは限られており、中でもウードの入ったインテンスシリーズはGINZA SIX店のみとなっている。

 100mlサイズのみの展開で32,890~39,160円。50mlか30mlもあればいいんだけどな…プレミアムなラインだからそういう売り方はしないか…しないかな…?

 それと注意点だ。
 好きなものには「なにこれ好きぃ…!」と書くが、苦手なものにも苦手と書く。でもみんないい香り(重要)でどれも使い道が見つかっているのでその事も書く。得意じゃないだけで香りそのものがおかしいわけじゃないのだ。
 そして、これはあくまで私個人の感想であって、モノ・ヒト・ブランドを否定したりどうこう言うものではないよ。





●Accord Particulier / アコール パルティキュリエ

Ambroxan
Vetiver
Damask Rose
Patchouli

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 柔らかなベールのような香り。いわゆるスキンフレグランスで、同コレクションの香りと重ねて使えるように出来ている。

 ムスクとは書いてないけど、とってもムスキーな香り。とにかくすごく軽い。ほんのりと甘く、ベチバーが独特な雰囲気を作り出していて、だんだんパチュリがキュイーッと染み出す。ローズがあんまり分からない…あれ?パチュリと混同してるのかな…そんな馬鹿な(偉そうにレビューしてますが香料もよくわかっていない香水歴半年の女なのである)。うっすらとモッシーな風がそよぐ感じがとてもいい。
 癖の強いはずのパチュリとベチバーも薄めなので、重ね付けに使ってもあくまで隠し味としてメインの香りを引き立ててくれてる。

 お風呂上がりの肌のような湿度と柔らかさ、そして少し汗のようなツンとした匂い。センシュアルな感じになりそう。
 透けるほど薄いベールをふわっと羽織るような。メイクの最後にミストスプレーをふりかけるような。キラキラしてるわけでもマットなわけでもなく、加工してきれいに見せるのではなくて、よりリアルな生々しい、本来の美を引き出すような。

 軽い香りだけどたくさんつけるもんじゃないかな。だんだん蒸したように広がってくるし。重ね付けするにしてもね。
 一人で家で楽しむ分ならもちろん何プッシュしても問題ない。それこそ風呂上がりに纏ったら、さっぱりするけど気持ちよくてすぐウトウトしそうな気がする。

 次第にベチバーが炭酸のようなキリッとした爽やかな刺激に。全体を漂う生ぬるい甘さとメリハリがついていい。こうなるとさっきまで古い畳の匂い(笑)みたいだったのが良いアクセントになって、温泉旅館のお部屋のみたいに感じられてくる…いい!
 時間が経つほど全体的にダレてきて、最初のしっかり装って仕上げもつけて、という完璧コーデからどんどん緩んでいく。やっぱ風呂上がりだなぁ。それも夏。子供の頃の夏かな(現代の夏って24時間酷暑だから…)。

 外の空気はわりとカラッとしていて、涼しい風が吹いてくる。湯上がりの火照った肌に心地よい。冷たい炭酸の苦味と酸味がなぜだか好ましく、体の中に染み渡っていくのを感じる。夏にはいいねぇ。


●Trouble-Fêtes / トロブル フェット

Fig Leaf
Fig
Olibanum
Sesame

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 トロブルフェットとは「水を差す人」とか「楽しみを邪魔する人」という意味。なんでそんな名前なんだ…?ちなみにコレクションの中で最も人気があるそう。

 かなり甘いフルーティな香り。フィグとあるけど、もっと桃や洋梨のようなとろける甘い香りだ。
 少しセサミのカラッとした癖があって、葉の香りとオリバナムが結びついてラクトニックな感じはするんだけどもやはり「桃」というかんじ。
 甘い印象の先にはグリーンな爽やかさがあり、風通しが良いのでそれほど重苦しさはない。さわさわ…と風の音がして解放的なかんじ。

 女性ウケは良さそうだけど、熟した果物を直に掴んだようなベタつく甘さなので付け過ぎは注意だ。私は顔から遠めのところに付けてる。

 しかしフィグ…フィグかなぁ?でもロジェガレのフィグもこんなんだったよな。どうも私の中のイチジク像と結びつかない…。
 普通に甘いとろけるような果実の香りです!でいいじゃないかと思う(笑)。

 集団の中にこんないい香りプンプンさせた人が登場したらみんなそっちに注目してしまいそうだ。それぐらい魅惑的でかつ清純で純粋そうに見えて、しかし同性から反感を買うリスクも高い。…あっ名前の意味はそれかも? だったら単体で付けてもいいや(笑)。みんなの視線を独り占め。「わざとよ」って覚悟を決めて堂々と無邪気を装って。


●Sans Merci / サン メルシー

Davana
Haitian Vetiver

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 お酒っぽいと聞いてたが、なるほどキンキンと刺激的でもないが、かと言ってだらけもせず優しく芳醇だ。少しインセンス風で品がある。クドくもないしムンムンしないから付けやすいと思う。好きだな~。

 えーとダバナってなんだろ。

レーズン、ラム酒のようなドライでフルーティーな香りがするインドが原産のダバナ。

Celes

 ヨモギ近縁種のシダ植物だそう。なるほどこの上品なアルコール感はダバナか。最初はベチバーのヂミヂミした刺激が強かったがだんだんダバナの出番に代わり、ベチバーは脇で支えてる。
 ベチバーのウェットな土の匂いにダバナのドライな甘い香り、良い。まったりとしてうっとり。

 ところでサン メルシーって慈悲がない、容赦がないという意味だから手段を選ばずぶっ叩くというイメージでいいのかな。それを思えば、ベチバーの刺激(というか癖)はそれだな。そんでダバナがそんな振る舞いも許されるだけの立場を示している。そういう人が慈悲のない仕打ちをしてくる…ああ、つまり、素敵な人の冷酷な一面を見たというかんじなのね。
 ときにふわっとウッディ、ときにドライでコクのあるフルーティ、洒落ているがよく確認するとぬらぬらと匂い立つベチバー。どんなモノも光が変われば突然違う顔を見せる。それを知ってどうするかは君次第だよ。

 この良さに寄り添える香りが合いそう。同じく上品な雰囲気のお酒系を足すとか、バニラ、サンダルウッドで協力関係にあるかんじ。ドライなウッディなんかも良さそうね。


●Garçon Manqué / ギャルソン マンケ

Leather
Osmanthus

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 スモーキーなレザーにほんのりチリチリしたインセンスのような甘さ、そしてフルーティにも近い金木犀の甘さがよく合う。スモーキーって苦手だけどこれいいねぇ!

 レザーとフローラルってかっこいいはずが、随分かわいくて面白い。高貴さはあるのだけど、なるほど名前の通り「おてんば」というかんじだ。甘さとスモーキーさが違う楽器でユニゾンしてるみたいに重なり合い響いてる。バランスがいいとか調和しているっていうんじゃなく、ユニゾン、つまり同じ音って感じられるのが素敵だ。こういうのってなかなか無い気がする。

 レザーはやはりよく香るし残る。甘さはだんだん消えかけるがふわっとあの濃いオレンジ色が飛び出したり、いなくなったり。他のレザー×フローラルな香りより馴染みやすいというか、ローズとかの高貴な香りよりも親しみやすいんだよね。おてんばが過ぎるお嬢様、魅力的だわ〜。

 香りが強いとスモーキーにウッてなるかもだけど、他の香りと合わせたらきっと素敵なレディになられる…と思う。お嬢様のお相手を見つけてさしあげたい。男はまだ早いのかなぁ。誰と合わせても逃げてしまわれる気がする…。


●MMW(廃番)

Top Notes
Guatemalan Cardamom
Middle Notes
Palo Santo
Base Notes
Ambroxan, Iso E Super, Atlas Cedar, Virginia Cedar, Haitian Vetiver

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 なんで…なんでこれ廃番なんですか…!めっちゃいい香りじゃん!!!

 素敵なパロサント、しっかりカルダモン。うーん気持ちいいねぇ、グーッと伸びをしてリラックスするかんじ。全体が違和感なく調和していて、日常に馴染むように、まろやかに甘い。スーッとする穏やかウッディ…どう考えても最高じゃん!
 香水っていうよりアロマみたい。お部屋に香らせたい。カルダモンがスパイシーで、シダーやベチバーのチリチリ感とも繋がってちょっと神経を昂らせるかもしれないけど、集中力を高めるのにはいい。
 リラックスして集中。からの高揚感。こういう神聖さのあるウッディって、瞑想から集中してゾーンに入るような独特な雰囲気があっていいよね。好き。本当に気持ちがいい。

 イソEスーパーってなんだ?地方のご当地スーパーか?

米国の香料メジャー IFF (International Flavors & Fragrances)社の商品名で非常に人気がある合成香料。

(中略)

香りの特徴は「アンバーグリスのような香り」で「ウッディの香り」と言われるが、一言では表現しがたい多彩な香りを醸し出す。

人によっては、乾いた香り、シダー(針葉樹)の香り、ベルベットのような香り、フローラルな香りとも表現される。中にはレモンのようなとも、つまり、多彩なのだ。

武蔵野ワークスBlog

 ああ、じゃあこの全体的な優しい雰囲気は君のおかげということか。なるほど植物性ムスクのようなものなんだね。
 いいわ〜これ…。その後もイソEスーパーな甘くまろやかなウッディがずっと残ってました最高だね。癒やされる。欲しい。これだけを浴びたい。


●Enflammé / アンフラメ

Tobacco
Madagascar Vanilla
Coffee

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 おまちかねのアンフラメ。やっぱこれだね…(満足)。タバコでバニラでコーヒーだぞ、最高に決まってるだろ。

 もうそれ以上言うことないな…。
 いい香りを前にするとポエマーになるか語彙が失せるんだ。

 そういやサロパでジバンシィのお姉さんに「これ似合う!てかこれ付けててほしい!」と言われたんだわ。デヘヘそう言われちゃ買わないとなぁ~。

 暖かい甘い香りだから冬に似合うけど、好きだから今の時期にも付けたい。エアコンの効いた室内なら…いける。やっぱり好き。この外国の匂い!ってかんじがいい。TOM FORDのタバコ バニラよりこっちの方が好きだな。
 この独特な風味、まろみのある乾いた草の匂い。タバコ!そしてコーヒー! FUEGUIAのアラビカのような酸味ある豆の匂いじゃなく、ラテのようなおいしい良い匂い感。バニラのおかげでますますおいしいこっくり感。そこにふわっと乗るタバコのなんともいい香り…たまらんなぁ!


●Foudroyant / フドロワイヤン

Top Notes
Cedar
Middle Notes
Tolu Balsam, Labdanum
Base Notes
Agarwood (Oud)

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 ここからはインセンスシリーズ。

 おっなんかこれ知ってる香りがする。甘く芳醇かつダンディなお酒のよう。シダーのジリジリ感がスパイシー。他は甘くまろやかでずっしり落ち着いてる。超洒落たダンディおじ様の香り…しかもだんだん精神が若返っていくよう…。

 ラブダナムのインセンス風味がおしゃれ。下手したらバニラコーク風味の液体っぽい香りなんだが、ラブダナムのおかげでパウダリーさとスモーキーさを引き出して、ふわふわと立ち昇るかんじに。だから雰囲気あるよね。バルサムのねっとり油脂感もあるからなおさら。

 最初は瑞々しくて、すごく甘い水分たっぷり&苦みとコク深めっていう不思議な心地よさがある…。それぞれが複雑だが絡まずにランダムに重なり合ってるような。その後バルサムとラブダナムが強くなり妖しさが増す。ウードは隠し味程度。

 しかしなんだろ何に似てるんだろ?
 あっもしかしてLUTENSか?アンブルスュルタンか? それだ…。香料全然違うのにな(Amber, Benzoin, Angelica Root, Patchouli)。
 試しにミニフラスコ(というか花瓶)にアンブルスュルタンとフドロワイヤンをそれぞれ吹き付けて比べてみる。

 フドロワイヤンの方が当然インセンス感が強い。そして華やかで酒っぽい、水分がある。それにシダーがシュワシュワじわ〜で強く、重そうな印象だけど意外と軽やかだな。さらっと液体のようなイメージがある。ラブダナムかバルサムか、ちょっと動物的な甘さがするんだよな。

 一方スュルタンはもっとフローラルな印象。花なんか入ってないけど、ぶわぁっと咲き誇ってるお庭が見える。アンジェリカとパチュリがアンバーに絡み合って、蜂蜜のように強くねっとり香ってる。深みがあるがベンゾインがやさしいためか、シンプルな構成でスッと入ってくる。不思議だな…LUTENSにシンプルだのスッだの言うとは…(笑)。重たさははっきり感じるんだが。


●Noctambule / ノクタンブル

Top Notes
Grasse Rose, Pink Pepper, Cumin
Middle Notes
Papyrus
Base Notes
Agarwood (Oud)

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 なんだろパピルスなのかな、不思議な香りがする。ローズが華やかだけどピンクペッパーにクミンがキリリと引き締めてくれて、フォーマルな雰囲気もあって派手過ぎない。
 ウードってベースを支えるっていうんじゃなくて、なんというかペイズリー模様みたいな複雑なデザインが下から立ち上ってくるようなかんじ。そこに他の香りが凸凹に入り込むように混じっていく。
 最初のうちはローズもフルーティで良さげだが…うーんやっぱり後でむんむんしてくるね(ローズ苦手民)。

 だけど湿度の高いむんむんした低気圧の日、なんか良さそうとフト思い立って付けてみた。おお…いい!ちょっと顔から遠めにつければ私でも大丈夫だ!屋外や風通しのいいところだと本当に素敵に香る。よかった…❤

 わりとFUEGUIAのルナロハのような、さらっと軽い口当たりって感じの香りだと思う。液体っぽいの。綺麗な半透明色の液体というイメージ。実際に香水自体も綺麗な色してるんだけど、もっと濃い赤が強めの茶っていうか…サラサラッと揺れる液体のイメージが浮かぶ。不思議だね。
 ルナロハよりも花の香りが強くて蜜の甘さも感じる。あともちろんウードね。独特の乾いた感じはパピルスなのか?

パピルス草(カミガヤツリ)は非常にドライでわずかにスモーキー。

Celes

 そうみたい。なんとなくお香のような甘さのあるドライな香り。最初のクミンからだんだんとバトンタッチしていくかんじだな。

 ローズの液体っぽさがだんだん落ち着いて、しっとりした夜から乾いたまっさらな大地と湿度の低いカンカン照りの日を迎えた感。夜を待ち侘びて花を活けども匂い立つ芳香にますます夜を焦がれる。外では容赦ない日差しに照りつけられたパサパサの草が粘り強く茂る。


●Équivoque / エキヴォーク

Top Notes
Guatemalan Cardamom
Middle Notes
Atlas Cedar, Virginian Cedar, Guaiac Wood
Base Notes
Agarwood (Oud)

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 おおーっこりゃすごい!煙たいほどにウッディ!革にも近いこの煙たさ…ピリッと爽やかスパイシーなのもいい。いや凄いな。
 カルダモンの柑橘風な爽やかさで重すぎないよう、風通りをよくしてる。加えてシダーの炭酸のようなシュワッとした感じ。ああ〜たまらん…たまらない…古い家具みたいなクセ強な木の匂いで逆に癒やされるやつ。ああ〜…。
 重厚な渋みが最高だ。FUEGUIAのアラビカより重たい香りを求めてたんだけどこういうことだな…ふはぁ。

 もう何度か使ってるけど、やっぱいいわぁ…重たいけど抜ける心地よさ。スモーキーウッディ。かっこいい。いぶし銀というか、堂々たる貫禄と色気がある。
 スモーキーさはウードだよな、まるで古い革製品のような…。ウードが醸す動物的な複雑な香り。

 はぁ〜かっこいい。好き。このおじ様大好き。おじ様っていうか高齢の紳士だな。ピーター・カッシングが好きです(突然の告白)。
 だんだんと混じり合ってお酒っぽくもなってきた。ああ、結局ずっと芳しい。はぁ〜好き…。

この人です


●Faux Semblant / フォー サンブラン

Top Notes
Olibanum, Angelica
Middle Notes
Orange Blossom, Honey, Patchouli, Spanish Labdanum, Amber
Base Notes
White Sandalwood, Agarwood (Oud)

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 最初に言ってしまうけど、正直これはちょっと…苦手。蜂蜜とオレンジブロッサムの組み合わせが…。子供の時、飲みにくい粉薬を蜂蜜で練ってもらって、嫌だけど飲まないといけないから我慢して舐めてた。あの記憶が蘇る…。
 その後少しパウダリーとウッディな落ち着きへ。でも蜂蜜感そのままだな。うーん。だんだんパチュリで不思議な酸味も増す…。

 とかなんとか思ってたんですが、また日を改めて使ってみたんですよ。
 あれなんか紅茶みたいな香りする。オリバナムとアンジェリカか?甘みが強いけどそう思うと穏やかかも。
 蜂蜜をねっとり絡ませたオレンジにダーティなウード感、サンダルウッドやパチュリの妖しさ。華やかだがキラキラしてはいない、ふわふわしてるが軽くもない、女性?男性?そもそもおいくつ?怪しいがまったく悪人には見えない…。姿が掴めないな。

 なんだか全体的に散漫で、イメージがまとまらずザワザワしてるというか。複雑なんだよね。サンダルウッドが上ってくるとますます砂嵐みたいな感覚に襲われる。
 だんだんウードが出てくると、低音のバランスを取ってくれてちょっと安定してくる。でももっと響かせてほしい。ノクタンブルでも書いたが、凸凹に立ち上るから全体の複雑さは変わらんどころかむしろ増すのだ。

「見せかけ」って名前なのは仮面を被って本心を見せないって感じかな? 香りごとの印象も大きさも位置もバラバラに散ってる。像がはっきりしないでゴニョゴニョしてるイメージ。モザイクというより画面の乱れ。

 …ああ、わざとそうなってるってことか…? 二十面相的な。じゃあ正体を見るには何か足せばいいんだ。私流の楽しみ方がわかった(笑)。そりゃそうだ、お近づきにならなきゃ何考えてるかなんてわかるはずないよな。

 じゃあFUEGUIAのルナロハやショコアトルはどうだ?エンデバーなんかもいいかもしれない。はっきりした香りと相性良さそうだな。お茶系もいいかも。
 試しにFUEGUIAのプーロを足してみた。いい!タバコ臭さが蜂蜜のアニマリックな癖と合致してより臭い感じに(いい意味で)。だから甘さがますます際立つ。ウードをさらに足してもいいと思う。う~んなるほど。


●まとめ

 みんなよかった。
 最初の注意書きでも書いたように苦手だなと思うやつもあるけど、でもいい香りなんだよ…!当たり前かもしれないけど。やっぱ試さないとこうは気づけないね。

 全体を通して液体のような、さらっとするっと流れる空気感があった。鮮やかすぎず、重すぎず。そのせいか香りがすぐ消えてしまうという時もあったけど、これは気温・湿度にもよると思うので日を改めて何度か試し、問題ないことは確認済み。
 癖はあっても控えめで上品な構成になっていて、どれかの主張が強いってこともない。こう、高級なおケーキみたいな。クリームもカスタードもコンポートもスポンジも、口の中で合致し同じ速度で溶けていくあのかんじ。
 サラサラとした流れがあるので割りと気軽に纏える香りが多いね。

 新しい香りの構成に出会えたり苦手な香りの使い方も見つけられたり、試せてほんとよかったな…。店頭で試せたとしても、手首と胸元とで香り方が変わるもんだから(手首の方がムエットに近い)、こうやって何度か家で試さないと実態を把握できないんだ。一目惚れしても家に帰ったら違う子になってたとかあるしね。

 とりあえずMMWとアンフラメとエキヴォークは買いたいリスト入り。うーんでもアコールとギャルソンマンケも悩ましい…サンメルシーだって…。


 さて、あとドジバではないものをひとつ。

●Gentleman Reserve Privée / ジェントルマン リザーブ プリヴェ

Top Notes
Bergamot
Middle Notes
Iris, Chestnut
Base Notes
Whiskey, Woodsy Notes, Amber

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 オリジナルのジェントルマンはとっても苦くてスモーキーだったと記憶してるが、こちらのリザーヴ プリヴェはこっくり甘い!栗!そしてパウダリーで酒!(ノートそのままじゃねぇか)
 香り自体はほんわかしたような優しい印象で、強くないのでとても使いやすい。ほっこりこっくりした栗の香りをメインに感じる。

 MAISON MARGIELAのバイ ザ ファイアープレイスと似てると思ったけど、香料的には栗しか被ってないし違った。
 あちらは暖炉の前で酒片手にぬくぬくしてるような木と炭と酒の香り。こちらにもウィスキーとウッディはあるけど、風景を構成するものじゃない、人物の一面を表すものというかんじかな。それに重くない。

 少し遠めから香ると、栗に加えてパウダリーな甘さによってお化粧品というよりもお菓子のようにも感じる。最中とかかるーいウエハースみたいな。だから最初トンカとバニラかと思ったんだけど、アイリスとアンバーなんだよね。外国の高級なお菓子の箱を開けたような…箱の匂い、独特な嗅ぎ慣れない匂い、上品で繊細な色、口溶け、鼻を抜ける芳醇なウィスキーの香り。ほっこりするなぁ…。

 ジェントルマンっていうより、かわいいと評判のおじいちゃん先生が浮かぶ。いつも身だしなみをきちんとしててお髭もふわふわしてて、通りすがるとほんのり甘い年月の香りとやわらかで清潔な服の匂い。にこにこしててちょっと話し方が面白くてかわいい。先生のゆるキャラっぷりから生徒たちも不遜な態度は取らない。ただ癒やされすぎて寝てしまうが。

 ここにシダーかベチバー足すとあからさまに加齢臭になっちゃうかな(笑)。タバコやウードを足してみたいところ。




 はい、以上でございました。お疲れさんでした。
 そしてハナダさん、ありがとう!!!!

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