ねんがんの コンサータは 手に入らなかった…が
今日は通院だった。
今通っているのは、昭和大学烏山病院である。『烏山』と病院の地名を言うだけで、「あっ発達障害なんだね」と察されるくらいには、成人の発達障害専門の外来があることで有名である。
以前通っていた病院は、割と主治医の先生が頻繁に入れ替わる、今思えば少し異例の病院だった。
四度目くらいに新しい先生が着任したタイミングで、今の烏山病院へ転院する紹介状を書いてもらった。
鬱病や双極性障害で通院する分には、町のクリニックの方がはるかに待たず楽であったし、新しい先生も別に嫌悪を覚えるような方ではなかったのだが、わたしはどうしても転院したかった。
なぜかと言えば、
「コンサータが飲みたい!!!(クソデカボイス)」
という欲求があったからである。
今更説明するまでもないが、コンサータは有用なADHD治療薬のひとつである。
かつてリタリンが覚醒剤代わりに消費され、ナルコレプシーにしか処方できなくなった、そんな発達障害者の絶望を受け止めてくれたのが、このコンサータだ。
飲んだ人の体験談を聞いていると、まるで魔法の妙薬のように感じられる。
「頭の中から雑音が消える」「健常者はこんなに静かな環境で暮らしていたのか…嫉妬」「衝動性が沸き起こらない」
四十年以上も多動性と衝動性に苦しまされて来たのだから、他の人が楽になっているのを見れば自分もと言いたくなる。
特殊な薬だから、きちんと発達障害の診断を下す専門医のところでなければ処方されないだろう、と判断したのだ。
転院し、新たな主治医の先生とも少しずつコミュニケーションを確立した。鬱病だと思っていたものが双極性障害だったという病名の再定義があり、そちらの症状はかなり持ち直していつつあるのだが…。
先生はなかなかコンサータの話をしてはくれない。
一度ぼやかして遠回しに要求したことがあったのだが、やんわりと諭されてスルーされた。
今度はより直球に、
「コンサータ試してみたいんです!」
と懇願してみた。
わたしの口ぶりに苦笑した先生は、別に意地悪で今まで処方していなかったわけではないと説明してくださった。
まず、去年の段階でコンサータの処方を厳格化する決まりができた。処方にあたって厚生労働省の機関への登録が義務化され、実質新規に処方することができなくなった。
また、コンサータや同じくADHD治療薬のストラテラは、気分に働きかけて躁が強まる。それらの副作用ともともと持つ躁が組み合わさったら目も当てられなくなるのは明らかだ。
というわけで、先生は第三の選択肢を用意してくださった。
その名はインチュニブ。
なんとなくインキュバスに似た名前だが、まったく関係ない。
これは相当新しい薬で、17年に小児への投与が始まり、19年に成人への認可が出た。わたしは勉強不足で知らなかった。
調べてみたところ、気分に働きかけず衝動性や多動性を抑えられる、双極性障害持ちの発達障害者としては神のような薬である。
とはいえ、自分と合う薬でなければ飲み続けられない。希望した作用が出ても、副作用が重篤だと断念する結果になるかもしれない。
だからこそ、まだ就職活動を始める前に試してみたかった。就職が決まってから初めてインチュニブを飲み、副作用に苦しみながら新しい環境になれるなんて無理ゲーがすぎる。すぐに離職の憂き目に遭いそうだ。
長々書いたが、結果として望みのものはもらえたので、これからも今まで以上に投薬に励み、健常者が日常認識している感覚を追体験したい。
そしてそのことをせっかくここで報告するのだから、毎日の変化や気づいたことを書いていければと思っている。ちょっとしたことが後のヒントになるかもしれない。同じ薬を飲む後進の人の役に立てるかもしれない。
情けは人の為ならず、と言う。誰かの役に立つことで、巡り巡って幸運を得られるに違いない。とにかく今は、noteでも散見された投薬記録を検索して見てみることにする。
ところで今日の診察→調剤の待ち時間は約4時間。本当、こういう時だけは町のクリニックがうらやましくなる…。
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