半導体工場の立地条件に関して考察
はじめに
今回は少し違った視点で半導体を見てみようと思います。最近話題の半導体工場の立地条件は何かを考察したいと思います。1980年代と今は状況が大きく変わっているのでそのことも考慮して考察したいと思っています。
自己紹介
日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で一年も経たずに外部に出向し、先行きが見えないため別の日本企業に転職。なぜか転勤族になり西の方に移住。英語を勉強して外資系に転職しVISAをサポートしていただきUSに移住。その後GCを取得しBay Areaの大手テック企業に転職して今にいたります。専門は半導体のプロセス設計です。
半導体に関する記事等はこちらに集約しておりますので、ご参考までにリンクを貼っておきます。一部有料ですが作者のお茶代と思ってください。
昔から言われていること
まぁ良く言われるのは、以下の3つですね。それぞれに関して自分の知識として理解している範囲で理由をまとめてみます。ただこれが現在に当てはめた場合に今も妥当なのかも併せて書いておきます。
水質
空気の質
物流
水質
半導体は水を大量に使います。そのため水質が良い水源があれば超純水が作りやすいのでメリットがある問いのが主な理由でした。
現在は、超純水を作る技術が発達しており必ずしも綺麗な水源が必要というわけではありません。工業用水道管が来ており使用容量に余裕があれば問題ないです。まぁ泥水や河川から直接超純水を作ることはほぼないです。
コストに関してもFilterの交換頻度やRO膜の交換頻度が2倍や10倍になることもないので水質に関しては関係ないかと思います。
それよりも水道容量ですね。水道インフラがきちんとしていれば特に制約はないかと思います。
空気の質
これも同様にHEPAフィルターなどがかなり強力にゴミを除去できますし、最近のCRは局所的にクリーン度をコントロールしているのでそこまでシビアではないです。局所的に工夫をすることで回避できると思います。
まぁ金属加工工場の横に半導体工場を建てるのはNGですが・・・。普通の工業団地で良いかと思います。
物流
これは今でも必要です。鉄道は不要ですが道路インフラや航空貨物に近いところはいいですね。
自分が考える必要なもの
ここでは自分が考える半導体工場建設で必要と思うものを挙げて、その理由に関して理由を書いておこうと思います。
人材
地盤
電気
人材
台湾以外で人材確保がスムーズに行っている国はみたことがないです。なのでこの人材を育て確保するのかは今後の大きな課題かと思います。人材育成は半年や短年でできるものではないので長期的な視点が必要かと思います。
地盤
EUVとかを使用するのを考えると地盤は非常に重要なのかぁなと思っています。免震構造は必須ですが頻繁に地震がきたり常に微振動があるような場所は歩留まり管理の点でかなり苦労するかと思います。個人的には近くに地下鉄が通っているのはかなり厳しいのではと思います。
電気
最近の半導体工場は電気をかなり使います。なので電気が安定供給できる場所は必須かと思います。ここでの安定供給とは値段とかではなく、周波数が一定で瞬低電圧が発生しない状況です。もちろん工場には自家発電がありますがあくまで瞬低電圧を一時的に回避するだけなので、連続して発生すると完全停電になります。
まとめ
今回は半導体工場に関して考察してみました。何かご意見や、何か抜けてるというのがあればぜひ教えてください。