ダイシング技術について
はじめに
今回は前回の続きです。前回はスクライブラインに関して簡単に説明いたしました。前回の記事がまだの人はこちらを先に読まれると話の流れがわかるかと思います。
スクライブラインを扱う上で重要なことはダイシングにより、情報を物理的に隠蔽できるというところです。そこで疑問に残ってくるのは、ダイシングって何?ということになります。今回はこのダイシングに関してまとめていきます。
自己紹介
日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で一年も経たずに外部に出向し、先行きが見えないため別の日本企業に転職。なぜか転勤族になり西の方に移住。英語を勉強して外資系に転職しVISAをサポートしていただきUSに移住。その後GCを取得しBay Areaの大手テック企業に転職して今にいたります。専門は半導体のプロセス設計です。
半導体に関する記事等はこちらに集約しておりますので、ご参考までにリンクを貼っておきます。一部有料ですが作者のお茶代と思ってください。
ダイシングとは
まずはダイシング自体に関して簡単に紹介していきます。英語で書くとDicingです。つまりDice + ingです。スクライブライン上に切れ目を入れて、それぞれのチップを物理的に切り離す技術のことです。個片化技術という場合もあります。
言葉にするとかなり簡単なように見えますが、このダイシング技術はかなり難しい技術です。というのもスクライブの幅が<100um以下であり、その幅で機械的な作業をしつつゴミを出さないようにすることが要求されます。
では実際にあり得るスクライブラインの構造を見てみましょう
前回にも書きましたが、スクライブライン上にはモニター用のWATなど色々なものがあります。また、配線工程で使用するCu(銅)が曲者で、CMPという技術を使用する必要があります。このCMP技術は均一性を確保するにはDummyパターンの配置は必須なので、スクライブライン上にも多数配置されています。
お気づきの方もいるかと思いますがScribe Lineの左右に謎の配線がありますよね。これはScribe lineの一部であることもありますし、チップ端に配置されている場合もあります。これは後ほど出てくるチッピング防止用のDummy BarだったりGuard ringだったりします。これらに関しては後ほど解説します。
ではどのようにScribe lineを切るかですが、色々な手法があります。最近のものはLaser Grooving + Die sawが主流かと思います。これらに関しても後ほど解説します。
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アメリカSilicon Valley在住のエンジニアです。日本企業から突然アメリカ企業に転職して気が付いた事や知って役に立った事を書いています。