サウジ生まれのDJお姉さん・NOORIYAHは、ロンドンを拠点に独特アラブ音楽プレイで活躍中。
すごいねぇ、イケイケのムスリムおねえさんがぶっ飛んだDJプレイを炸裂してらして。びっくりするでしょ、だってサウジは中東でいちばん強くリッチな国、ムスリムが一生に一度は礼拝におとずれるべきメッカのある厳格なイスラム国、法体系はイスラム法Shari'aに直接結びついていて、国民はみんなアラーを介して神様と結びつき、国民はみんなアラーの僕(しもべ)です。サウジは王様の国ゆえ民主主義はありませんが、ただし人々はおおむね幸福に暮らしています。ただし、ムスリム国ゆえ、アルコールは禁止。ついこのあいだまではレイヴパーティで異性とダンスするだけで罰金が科せられたり、刑務所に入れられたりする可能性がありました。(なにしろ、中東通の石田和靖さん情報によると、サウジのバーガーキングは長らく男の客と女の客の入口が別だったそうな。)したがってサウジの首都Riyadh (リヤド)では、あくまでもアンダーグラウンドカルチュアとして、たまに秘密裡に地下倉庫などでパーティがおこなわれるていどでした。(参加者はさぞや興奮したことでしょう。)ところが近年サウジの経済多角化計画の一環として多くの制限を緩和したため、状況がゆっくりと変化し始めていて。
さて、そんなサウジのトレンドに大きく大胆に先駆けているのがムスリムのDJおねえさんNooriyah(ヌーリヤ)さん。彼女はサウジアラビア生まれ日本育ち、近年はロンドンを拠点に活躍中。彼女は中東および北アフリカの音楽をミックスして、彼女独自のサウンドスケープを作り出す。そして彼女はロッテルダムのニュー・ラディカリズム・フェスティバルのステージから、ニューヨークのYallaパーティー、ドバイのFemme FestやロンドンのShubbak Festivalまで参加して、観客たちを熱狂させます。
彼女のプレイには、彼女ならではの世界の見方があって、自らの出自を大事にするのみならず、音楽的視野が広く、異文化への感情移入もあって、かつまた創造的で、リアルでありながら幻想的です。
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いま国際社会でサウジアラビアのプレゼンスは増すばかり。サウジはもはやアメリカおよびEUの従属国ではなくなっていて、むしろ国際社会の調停役としての役割を果たすべく自立した姿勢を堅持していて。他方、アメリカもイスラエルも中国もサウジアラビアとの友好関係を求めています。サウジアラビアの動向が国際政治を左右すると言っても過言ではありません。