その広告、本当に自信をもって出せるものですか?
※はじめに言っておきますが、筆者はマーケティングに関してはずぶの素人ですし、KPIといった数字の話も一切しません。“そういうレベル” のクソ文系脳が書いたということを理解した上でご覧下さい。
本当は、こうやってタイムリーかつ感情的に書き殴るみたいなことはあまりやりたくないのだが、まあたまにはいいかと思って書いてみる。
ヘッダー画像でお気づきの通り、話題はシャニマスの広告について。サクサクいこう。
まずは11月30日付でYouTubeにアップされた以下のCM。
はい、どう見てもニコマスMADです。本当にありがとうございました!!!
しかも異様にクオリティの高いやつ。芸細。つくったヤツは確実にプロ。初見時に投稿者を三度見ぐらいしたけど、紛うことなくアイマス公式だった。これが「公式が病気」ってやつか……。
しかも、12月2日からテレビ放映も開始してる。さっきテレビで流れてたし。
いや正直、まさかシャニマスでこんな中身の無いテンプレソシャゲCMを打ってくるとは思わなかったから、ただただ残念でならなかった。
その残念な理由は単純で、「作風に合ってない」から。
だって、あれだけ繊細なシナリオとイラストを売りにしてるコンテンツがよ、あんな無料ガシャの回数を連呼するだけのしょーもないCMを流す (しかも、おそらく全国のお茶の間に流れる) ってだけで、もはや滑稽に思わんかね?
えぇ??お前の売りはガシャだったんか???(まあ、“ある意味” ではそうなんだが……)
じゃあ、今までのCMはどうだったかと言うと、最初が2019年の1周年時に放映された、まさかまさかのYOSHIKI出演のコレ。
あの「デレステ×中居正広」CMばりのインパクト。リリース1年そこそこのペーペーなコンテンツで、これほどの大物をCMに引っ張ってくるという当時のバンナムの胆力たるや、潔し。他のスマホゲームとの “格の違い” をこれでもかと見せ付けてくるような心意気に目を見張ったものだ。
次の2周年では実写ドラマでWebCMを作成。
個人的にこの実写化はあまり好きではなかったりするのだが、しかし、シャニマスというコンテンツの思想や雰囲気がこの短い尺の中でしっかりと仕立て上げられており、WebCMならではの良作であったかと思う。
……からの、例のCMである。
やはり気が狂ったか???
あれ?でも、そういや似たようなCMをどっかで見たことあったような……
……あ、うん、完全につくり一緒だよねぇ。
まあそれはそれとして……
2年半かけてあれだけ丁寧にコンテンツをつくってきたというのに、いきなりベートーヴェンの「運命」にのせて「200れ~ん!」「50れ~ん!」って歌うだけのCMつくるか?
……え?ベートーヴェンの「生誕250年」と「無料250連」が掛かっててシャニマスらしい??
いや、それ以前の問題だから!まじ声優の無駄遣いすな!!(いや、このCMで声優に金が落ちてると思えば、否定したくないな……)
ともかくこのCM、公式が悪ノリして「こんなMADつくっちゃった☆テヘペロ」ぐらいでニコ動に投稿するならまだしも、これをテレビCMとして放映するのは正気の沙汰ではない。ブランディングの「ブ」の字もない。お前はいつからそんなやっっすいソシャゲに堕ちたんや……。
……と、まあこんなふうに、コンテンツ自体の空気感とプロモーションでの空気感の乖離が凄まじくなってしまったのだ。
そして、その悪手プロモの極めつけはコレである。
https://twitter.com/imassc_official/status/1333306873978646528?s=19
https://twitter.com/imassc_official/status/1333307383280386048?s=19
https://twitter.com/imassc_official/status/1333307152467853312?s=19
悪い夢でも見とるんか???
なに? 真乃がアイドルになった理由??「プロデューサーに一目ぼれ」??? おい、それは一線越えたぞ??? しかもそれでリツイート乞食するんか?????
え? 今度は樹里??「元ヤンキー」って設定初めて聞いたぞ??? しかも「ツンデレ」ってなんだよ、そんな属性付いてねぇが?????
しまいにゃ恋鐘か?「いつでも準備できてとるんけんね!」って方言以前に日本語すらまともに喋れてねぇよ?? しかもなんだ「どきっ♡」って、煽りが激安すぎるぞ???
さすがにこれはイカンでしょ
あまりにもヒドすぎて開いた口が塞がらない。なんだこのクソゲー感溢れる謳い文句は。これ見てシャニマス始める新規とか地獄やろ……。どう見てもFANZA落ちしたギャルゲーだし。どうせプロデュースモードがメンドくて辞めるんやろなぁ……。もういっそのこと『シャニマスX』とかいう名前にして再リリースでもするか???
中でも特にヒドいのが、真乃の「一目ぼれ」と樹里の「元ヤン」。
アイマスにギャルゲー的要素が含まれているのはそうなんだが、ことシャニマスに関しては制作チーム (主に高山P) が “恋愛的描写” をなるだけ避けようとするきらいがあり、そのあたりは公式としてもかなりデリケートに扱っている部分である。そのため、今回の真乃に対する「Pへの一目ぼれ」という選択肢の用意は、明らかに今までの公式の意向とは相容れないものであり、しかもその選択肢でリツイートを誘導してるのはかなり悪質である。
また、樹里を「元ヤンキー」と形容したことについても、そもそも公式では「バッドガール」という形容の仕方を普段はしており、初期の放クラPVにおいても「ヤンキーって言うな!」という本人の否定を表す文言が付いている。
「ヤンキー」も「バッドガール」も言葉自体はどちらも「不良(少女)」を表すわけだが、それでも社会通念上における「元ヤン」という言葉のネガティヴなイメージは想像に難くない。いくら広告的に “キャッチー” であるとは言え、それが本当に正しい表現かを精査する必要はある。
というより、そもそも樹里が「バッドガール」であるのかすらも疑問視されるべきで、彼女の素行に問題があるような描写は今のところ確認されていない。むしろ「金髪」に「イヤーカフ」を付けた見た目、初期の「言葉づかいの悪さ」といった外見的要素でのみ判断されていると言っても過言ではない。まず、こういった安易な“キャラ付け”をしているのがシャニマスの中でも珍しい事例なのだが、これを機に、樹里に対して「バッドガール」という形容を今後も使い続けるのであれば、過去の「チエルアルコ」の時のように、それ相応の対応(コミュでの補完等)をする必要があるだろう。あるいは、もし相応しくない表現であるのなら、今すぐ表現として撤回するべきものである。
……
ここまで、好き勝手に脈絡なくテキトーにまくし立ててきたのだが、とどのつまり何が言いたいかって、
それって本当に広告として正しいの?
ってこと。
新規顧客の獲得や認知度向上のためだったら、そのコンテンツの雰囲気を壊してでも、特異な手法で広告を打つのが本当に正しいのか?
あるいは、そのコンテンツの作風からかけ離れた様式であっても、慣例に沿った広告のつくり方をするのが本当に正しいのか?
そもそも、人口減少社会で新規顧客の獲得が難しい現代において、こんなやり方をしてまでCMを打つ必要があるのか?
むしろ、近年よく耳にするようになった “ファンベース” 的思考のもと、今ある顧客を大事にしたものづくり (ここには当然「広告」も入る) をした方がいいのではないか?
要は、広告やプロモーションにおいても「既存の顧客の満足度」みたいなものが大事なのではないか ということ。
企業 (制作チーム) の打った広告が、既にそのコンテンツに触れている人にとっても、満足できるようなものであるか。
企業 (制作チーム) はその広告を、既にそのコンテンツに触れている人に対しても、自信をもって見せることのできるものであるか。
最終的に、その既存の顧客が、そのコンテンツのことが好きであることを誇りに思うことができるか。
そういった考え方が、指標や数字なんかよりもよっぽど大事なことのように思えるのである。
広告はもはやただの宣伝媒体ではなく、コンテンツ内のストーリーの一部である。
今回のようなシャニマスのプロモーション施策が、どのような意志決定で決められたのか定かではないが、どう考えても既存のユーザーにとっては悪印象を与えるものであったのは間違いない。思うに、外注先である広告代理店とのコミュニケーション齟齬が原因であろうが、だからといって「外注したから」などというつまらない言い訳なんかは成立しない。せっかくの素晴らしいコンテンツを、このような広告で台無しにしてしまうのは、正直見るに忍びない。バンナムには、プロモーション施策のあり方を今一度考えてもらいたいものである。
……あんなヘタな広告打つより、SSR総選挙の投票ツイートを拡散させたりして、バイラルの力に頼った方がよっぽど効果的だと思うんだがねぇ。。。
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