「稼ぎ」と「仕事」
すず辰の前掛けには、「味本位」と「三方よし」という文字があります。すず辰のマーク、三つ巴にも、この「三方よし」の意味を含ませています。
この「三方よし」、近江(滋賀)の商人に伝わる家訓として、「売り手よし、買い手よし、世間よし」が大事だという教えです。売り手だけでもダメ、買い手だけでもダメ、世間様も満足させなければ、本当の商売でなく、かつ長続きしないということです。
他にも、昔の商人は、「稼ぎ三割、仕事七割」とも言いました。この場合の仕事は、「周りの人への奉仕」をいったようです。
先日、NHKの「あの人に会いたい」というドキュメント番組で、日本に金メダルをもたらした、元バレーボール日本代表監督、松平康隆さんの回をたまたま目にしました。
その中で、刺さった言葉。
『今褒められたいと思うと、目先のことになるわけですよね。』
昨今のいろんな問題はすべてここやなぁ、と思うわけです。
『厳しいなあ、嫌だなあって思われたっていいじゃないですか。今褒められようと思うなってことですよ。今褒められたいと思うと、目先のことになるわけですよね。褒められるのは、10年後でいい、いや100年後でいい。』(松平康隆氏)
昔、商売がビジネスでなく、家業であった頃。信用第一で長く商売を続けられるかが大事だったわけで、そのためには世間のことを考え・奉仕する「仕事」が「稼ぎ」より重視されたということかと。
まぁ「稼ぎ」がなければ商売も続かないのですが、目先の「稼ぎ」に目が行きすぎると、土台となる世間を、お客様を、従業員を踏みにじるようなことになってしまうということを昔の商人は重々わかっていたのでしょうね。
まだまだ「稼ぎ」も薄い八百屋ではありますが、「野菜で笑顔を結ぶ」をモットーに始めた店でもありますので、子どもらの笑顔を咲かすため、「こども食堂」を「仕事」として育てていきたいと思います。
「稼ぎ」と「仕事」のバランスが悪いな、とお気づきの時はちょいとご指摘くださいませ。こども食堂での実践が、すず辰での惣菜販売につながれば、とのそろばんも少しあったりなかったり。
100年先を見据えて、八百屋の道を進みます。