メンタルヘルス担当の始まり
最近私のnoteが皆さんからスキとフォローをたくさん頂き、ちょっとしたモテ期と勘違いしております。
数としては他の方には程遠いのですが、個人的な喜びとして受けとめております。本当にありがとうございます。
その勢いでフォローを返していたところ、私のnoteホーム画面の記事に一定の傾向が現れました。
私の記事に興味を持ってくれた方が「心」に関わる何かに携わってる方が多かったんです。
正直そんなことを全く意図して書いていませんので「へぇ~」と思っただけなんですが、他の方の記事を見ながら「心」に関わる部分って大切だなということを再認識させられたので、今回の記事を書こうと思った次第です。
前置きが長くなりましたが、私は現在も人事全般の仕事を任されており(そのために面接の記事も書いていますが)、そのうちメンタルヘルスの担当も15年ぐらい前から任されました(むちゃむちゃ「心」に関わってます)。
当時も採用と並行しながらでしたが、幸いなことに社内でメンタルヘルス不調で勤務できないという人はまだ1人もいませんでした。
(まだ病名としてもメジャーでは無かったせいか、休職する前に辞めてしまう社員が多かったから気付けなかったのかもしれません)。
そんな中、自分が採用して5年ぐらい勤務していた女性社員がうつ病を罹患して休職することになり、私が月に一度、女性社員の最寄り駅で定期的に面談をすることになりました。
彼女は結婚したてで、旦那さんがバンド活動で夢を叶えたいという方だったらしく、生計は彼女の収入が中心になっていました。
旦那さんの生活環境はあらかじめ分かっていたとは言え、結婚での生活の変化と将来への不安を感じ始めたのに加え、職場環境の上司が変わったことで様々な心理的ストレスが増えたことがメンタル不調の原因とのことでした。
私も当時はメンタルヘルス初心者だったので、この時はかなり勉強しました(この経験のお陰で基本的な知識は相当身に付きましたので、その意味でも彼女には感謝しています)。
採用担当だった事もあって彼女も面談当初から心を開いてくれていたので、面談自体は毎月スムーズに進んでいました。
ただ一度崩した体調はなかなか元に戻らず、彼女には「自分がなぜこうなってしまったか分からない」という疑問が付きまとっていたので、個人的には「環境が大きく変わっているからなぁ」とか、「旦那さんバンドマンだしなぁ」とか、だいたいの方が思う理由を心に抱きながら、こちらの想像した内容は言うべきではないと思って聞く側に徹していました。
(言ってしまうと彼女の新しい生活を否定してしまうような気がしたので)。
そんな面談も1年近く続き、会社で決まった休職期間も残り僅かだったため面談自体はあと2回を残すのみとなったとき、忘れもしません、とても暑い夏の日だったんですが、とても晴れやかな表情の彼女が面談に来てくれました。
「○○さん、何度も面談して頂いてありがとうござました。私、今日で辞める決心が付いたので、お話したくて来ました。今までありがとうございました。」
全く予想していなかった話をしてきたので驚きました。
実際会社では「働いてもいないのに在籍し続けるのはどうなのか」とか「休職期間満了での退職はやむを得ないのだから、早く納得して欲しい」とか、色々な意見が出ていました。
当然そういった意見があることは理解できますが、直接本人と面談している身としては「彼女が納得できる答えを見つけるまでは時間が欲しい」と話し続けていました(休職期間を延ばそうとかそういう気持ちではなかったし、彼女が辞めるしかないんだろうなという事は分かっていたつもりでした)。
でもどこかで、彼女が「自分がなぜこうなってしまったか分からない」という答えを見つけて欲しかったんだと思います。
私は彼女の退職の意向を聞いて「どうして?」と率直な想いを彼女に聞きました。
「私、色々考え直してみたんです。なぜこんな風に調子が悪くなってしまったかを。
ここ1週間ぐらいでわかったんですけど、私の(上司の)上司が過剰に私に期待していたんですね。
今まではそれを優しさとして考えていたので気付けなかったんですが、今思えば環境が変わっている私に対して優しさが無かったように思うんです。
正直怒りとまではいきませんが、私は原因が分かって納得出来たので、もうあの人には何も求めません。
だから退職しようと思います。」と。
私は頭の中では「?」がたくさん並んでいました。
実際その上司の上司は誰よりも彼女のことを心配していました。
しかし休職前にその上司の上司は直接彼女と話す機会もほぼ無かったと思います。
「(会ってもいない人が)理由になってしまうんだ・・・」と思いながらも、1年近く彼女の辛そうな表情を見ていたので、どんな結果でも「彼女が見つけた理由」を尊重したいという想いの方が強く、退職希望を会社に伝え、手続きを始めました。
手続きも郵送で進み、電話で何度か話しましたが、その面談を最後に彼女とは会っていません。
時代の流れもあるのでしょうか、その後もメンタル不調者との面談は数多く対応していますが、「彼女の出した答え」が私の中でとても意外だったため、どの面談の時にも「先入観は持たず、相手の考えを尊重しよう」と思わせてくれているので、今でも感謝しています。
今も元気に過ごしてくれればいいな。