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「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」岸田奈美さん

私が岸田奈美さんを知ったのは、Twitter。誰からのリツイートだったのは、よく覚えてないけど、ブラジャーの話がめっちゃ面白いと思ったのが最初。

で、それからフォローして見ていた。

ぼんやり笑いながら見ていたはずなのに、何度も読みながら泣いていた。

「忘れるという才能」

私にはくも膜下出血で失語症になった母がいる。幸い命は助かった。私が中学校3年のとき。それから母はずっと片言だ。アッとか。アーとか。それまでは普通に会話していたのに、母の言葉、話し方が私には思い出せない。夕食の手伝いをしながら、1日の出来事を聞いてもらったり、わがまま言って怒られたり、15年間の会話の積み上げはどこかにいってしまった。 

岸田さんの本を読んで、過去の自分のことを思い出した。つらかったんだ。私にも「忘れる才能」があったんだ。

ありがとう、岸田さん。薄情な娘ではなく、「才能」に変えてくれて。

幡野広志さんとのやりとりも最高だ。

「死ぬから?」

ガン患者である幡野さんに言ってしまう、岸田さん。切り取るとやばいパワーワードがこの本にはたくさんあるけど、この時ニコニコ返す幡野さんが目に浮かぶ。

そして、本の間に差し込まれた幡野さんが撮られた3人の写真。偶然挟んだままになったような、。たくさんのひとに愛されて作られた本だってあらためて思った。

岸田さんが読者のことを親戚みたいって言っていて、私もそう思っていたから、嬉しかった。好きだなと思いながら、どの立ち位置だ?って自分に問いかけていたから。親戚ってなんかしっくりくる。きっと私のように思っている読者がたくさんいる。

この感謝の気持ちを伝えることが出来るキナリ読書フェスを開催してくれてありがとう。

#キナリ読書フェス
#岸田奈美
#家族だから愛したんじゃなくて 、愛したのが家族だった


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