金曜日の大人たちへ
私は泣き虫だ。
だけど、泣き虫だなんて、思われたくない。
泣きたいときは、たいてい夜。
バスタブにお湯をはって、涙を流す。
目が赤くなっても、石けんが目に入ったせいにすればいい。
大声で泣いたって、シャワーの音に掻き消される。
ここでひとつ、誤解のないようにするならば、
なにも私は悲しいときばかり泣くのではない。
嬉しいときだって、涙がでる。
家族や友だちから、自分のことを大切に思ってくれているようなことばや行動が感じられたとき、
思わず泣きそうになる。
だけど涙って、
ときに人を困らせる。
だから、めったに人前では泣かない。
嬉しいときも、もちろん悲しいときも。
もし、涙がこぼれてしまいそうなときは、
空を見上げる。
雫がこぼれないようにじゃない。
単純に、空が好きなのだ。
お月さまや星々、雲を見つめて考える。
こんなちいさなことで、泣いてちゃいけないよ。
そう、空が言ってくれているように感じる。
私の心は、小さい心は、
ほんの些細なことでいっぱいいっぱいになって、
すぐに息苦しくなる。
そんなときは、心の窓を開けてやる。
青空が広がって、お昼間のお月さまも、こっそりそこにいる。
夜なら綺羅星が広がって、うんと目をこらせば、私が行きたくて仕方がない、宇宙の何かが見えるかもしれない。
今、思い悩んでいるのは
ちいさなこと。ほんとにちいさなこと。
今日は金曜日。
心も体も疲れた大人たちへ。
心の窓を開けてみて。
もう少しで満月になる、お月さまが見えるはず。
あなたの思いも、私の思いもみんな
解放されて、穏やかな眠りにつけますように。