シロツメクサのティアラ
電車に乗っていると、
王女さまになった気分になる。
だって、ゆく先々の踏切では、
車が、自転車が、人が、
ずらーっと立ち止まって、
私が過ぎ行くのを待っているんだもの。
そりゃ、私は早い乗り物に乗っているし、
そんなのに突っ込んでりゃ、
命がいくらあっても足りない。
そうなのだけど。
でも、少し進んだ先、
広がる田んぼがくっきりと
空の蒼さを写していたり、
アヤメがそよそよと
揺れているのを感じたりすると、
ああ、こんなに豊かな景色を見られるのは、
やはり私が王女さまだからだな、
と、心で小さく、えっへん!と思ったり。
そんな私は夢の中で、
お気に入りのドレスに
シロツメクサのティアラを載せて、
車窓から見える景色を存分に楽しんでいる。