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それぞれのバレンタイン🍫💕【ひな編】~ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝の外伝~



まえがき

鈴蘭と申します。
毎朝、SNSのClubhouseで今井雅子先生のnote『「ち」に飢えるさみしさードラキュラとあかいチョコレート』『「ち」のつく幸せードラキュラとあかいチョコレート』を読ませていただいてます。

こちらのお話は今井雅子先生の『ドラキュラとあかいチョコレート』と漂流工房さんの『ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝』の世界をお借りした二次創作外伝になります。
『「ち」に飢えるさみしさードラキュラとあかいチョコレート』はこちら。

『「ち」のつく幸せードラキュラとあかいチョコレート』はこちら。

今井雅子先生の短編小説『究極の愛のカタチー膝枕』(通称正調膝枕)はこちら。

漂流工房さんの『ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝』のnoteはこちら。

ーキャラクター紹介ー

ドラキュラ

美男子だけどちょっとドジで結構不幸な目に遭う。
吸血鬼なんだけど基本優しい。嫁様の尻に敷かれる座布団なんだけど結構この立場も気に入ってる。
実はすっごく腕の良いパティシエやってます。
娘ちゃんのパパ。

ひな

夕日の丘でドラキュラさんと遊んでいた子どもの1人。体動かすのが大好き。ダンスにハマっていたが、オリンピックで跳馬の競技を見て体操に興味を持ち、体操教室に通ってる。
ドラキュラさんが目が覚めた時、嬉しくて踊り出した子。

かける

夕日の丘でドラキュラさんと遊んでいた子どもの1人。
スポーツ大好き食べることも大好き。
サッカークラブのレギュラーで毎日学校が終わってからクラブで練習している。


今回のお話は、ふみねぇさんから女の子達がドラキュラさん指導で、お店でチョコレートをワイワイしながら作ってる光景が浮かんできちゃいましたというコメントから作らせていただいたものです。ふみねぇさん、素敵なシチュエーションをご提案くださりありがとうございました。

まえがきが長くなり失礼しました。
それでは、本編スタート。


鈴蘭作 それぞれのバレンタイン🍫💕【ひな編】~ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝の外伝~


今日は冬休み最後の体操教室の日。

コーチ「ひなちゃん」

レッスンを終えて帰ろうとしたひなに、コーチが声をかけます。

コーチ「ひなちゃんは、明日から学校だっけ?」

ひな「はい、明日始業式です」

コーチ「急で申し訳ないんだけど、この時間に新しく複数人入ることになってね、何人かこの後の時間のクラスに移ってもらうことになったんだ。で、ひなちゃんにも明日から移ってもらおうと思ってるんだけど」

ひな「このクラスの後の時間って、19時からですよね?」

コーチ「そう、19時」

ひな「う~ん、ウチはええけど…」

コーチ「これ、時間変更のお知らせのプリント。お母さんに渡してね。じゃあ、気をつけて」

ひなの通う体操教室はコーチ陣が優秀で、大会に出たらたくさんの選手が優秀な成績を収めています。そのため、保護者からも大人気です。
時間遅なるけど、まあ、ええか。

ひな「ただいま~」

ひながリビングに入ると、おかんが夕食の準備をしていました。

おかん「ひな、おかえり。体操教室、楽しかった?」

ひな「うん。あ、明日から19時になるって。これ、プリント」

コーチから預かった封筒を渡します。

おかん「今までひながいたクラスは初心者クラスやったね」

ひな「うん。ウチ、レベルアップしたから19時になるみたい」

おかん「レベルアップでのクラス変更はいいんやけど、時間遅なると勉強出来なくなりそうやね…教室、変えよか」

ひな「え!?ちょ、待ってえや!ウチは19時でも大丈夫やで!?」

おかん「あんたはそう言うけど、時間遅くなると宿題やる時間も遅くなるやろ。まあ、すぐには無理やけど…ちょっと他の教室探しとくわ。決まるまで19時の教室に行っといて」

その後、時間変更の話はおかんの口から出なくなり、ひなは諦めてお風呂に入ったのでした。


ひながお風呂から上がり自室に入ると、机の上のスマホが【夕日の丘のみんな:女子】のLINEグループからの通知を表示しています。
見てみると、なぎさからの書き込みがありました。

なぎさ『今日、ドラキュラちゃんのお店に行ったら、レジのお兄さんにバレンタインに向けてのチョコレート教室があるって教えてもらったの。手作りチョコレートの作り方とか、色々教えてくれるんだって。』

ゆず『それってドラキュラちゃんが作り方教えてくれるってこと?』

なぎさ『そうみたい。あたしはお得意様だからって教えてもらった』

りん『でも、ドラキュラちゃんに教えてもらうんならお金かかるんじゃないの?』

なぎさ『それが無料でいいみたい。材料費はいるみたいだけど』

ひな『夕日の丘の子ども特典とかやったりしてな(笑)』

なぎさ『そんなこと言ってなかったよ。4人までなら友達連れてきても大丈夫って言われたんだけど、バレンタインデーのチョコ、手作りしたい人いる?』

ゆず『…私、作ってみたい』

ひな『うちもうちも』

ドラキュラちゃんのチョコレート教室!!
チョコレート作ったことないけど、めっちゃおもろそう!
体操教室も当分19時みたいやし、時間はある。

みゆき『私も』

りん『私も作りたい』

なぎさ『みゆきちゃん、ひなちゃんレッスン大丈夫?』

ひな『ええって。たまには女の子らしいこと、やりたいし』

みゆき『私も。手作りチョコレートの作り方、気になるし』

なぎさ『よかった。じゃあ、お店に伝えるね。明日14時にお店に集合だよ』

ドラキュラちゃんに会うのも久しぶりやし、明日楽しみやなあ。


次の日。

登校中のひなは、かけるに声をかけられました。

かける「ひな、おはよう!!」

ひな「おはよう…」

かける「?なんか、元気なくね?」

ひな「そんなことないで」

かける「いや、いつものひなと違うし、なんかあったんじゃねーのか」

…かけるんには隠し事出来へんな。

ひな「実は体操教室の時間が今日から19時に変更になってんけど」

かける「そうなんだ」

ひな「おかんに話したら、時間遅くなるなら教室変えよかって言われてん」

かける「え?なんで?」

ひな「学校の勉強が遅れるからってことみたいやねんけど…ウチは今の教室好きやから辞めたないんよな」

かける「そうか…」

ひな「まあ、すぐ辞める訳やないんやけどね」

かける「…ひな、放課後って時間ある?」

ひな「あ、ごめん。14時に用事あんねん」

かける「それって何時に終わる?」

ひな「ん~、多分16時か17時かなあ」

かける「じゃあ、終わってからボウリング行かね?ボウリング代は俺が奢る」
 
ひな「サッカーの時間大丈夫?」

かける「今日は遅れますって連絡しとくから」

ひな「ええの?やったあ!行く行く!!かけるんとボウリング行くの久しぶりやなあ」

かける「じゃあ、駅で待ち合わせしようか。ひなの用事が終わったらLINEして」

かけるのさりげない気遣いが嬉しくて、ひなは大きく頷きました。
かけるが行った後、クラスメートがひなに声をかけます。

クラスメート「ひなちゃん、おはよう」

ひな「おはよう」

クラスメート「今の見たわよ。かける君にボーリング誘われてたわね。かける君、私が何回誘っても断るくせに、ひなちゃんには自分から誘うのね。ひなちゃんが羨ましい。
ね、かける君とひなちゃんってつき合ってたりするの?」

ひな「は?んなわけないやろ。お互いサッカーと体操で忙しいっつうの。そんな暇ないわ」

クラスメート「そうなの?な~んか怪しい」

ひな「怪しまれる理由がわからん」

クラスメート「かける君ってかっこいいし優しいから、み~んなかける君狙ってるのよ」

ひな「へ~そうなんや」

クラスメート「ホントに知らなかったの?」

ひな「知らんかった」

クラスメート「ひなちゃんはレッスン一筋って感じね」

ひな「せやな。夢はオリンピック!…とまでは言わんけど、ウチ、もっと頑張って体操のレベル上げたいねん」

クラスメート「そうなんだ。…でも、かける君ってひなちゃんに対しては他の女子よりも優しくしてるように見えるわ」

ひな「んなこと、ないない。ウチとかけるんは昔なじみで同じお稽古組やから、お稽古の悩みとか打ち明けやすいってだけや」

クラスメート「昔なじみはわかるけど、お稽古組って何?」

ひな「ウチもかけるんも幼稚園の時からお稽古やってんねん。かけるんはサッカークラブ、ウチは体操教室。で、お稽古で嫌なことあったりするとよく2人で話しててん。だから、かけるんからしたら他の子より気安いんとちゃうかな」

クラスメート「そうなのね」

ひな「そうそう。だから気にせんで大丈夫やって」

クラスメート「わかったわ」

クラスメートは行ってしまいました。

くるみ「ひなちゃん、大丈夫?」

ひなと仲良しのくるみが声をかけてきました。

ひな「くるみちゃん、おはよう。うん、ウチは大丈夫やで。ちょっと絡まれてびっくりしたけど」

くるみ「あの子、かける君のこと好きでかける君と喋る女子全部チェックしてるみたいなのよね」

ひな「へえ~」

くるみ「ひなちゃんは一番マークされてるのよ。かける君とよく喋ってるから」

ひな「マークする必要ないと思うけどな」

くるみ「ひなちゃん、気をつけてね」

ひな「うん。くるみちゃん、ありがとう」


学校が終わり、ひなは自転車でドラキュラさんのお店に向かってました。

ひな「やば、ギリギリや」

お店に着いて扉を開けると、ゆず以外の3人がドラキュラさんと喋っていました。

ひな「ドラキュラちゃん、こんちは~!」

ドラキュラ「やあ、ひなちゃんいらっしゃい」

ひな「みんな、早いな。何の話してたん?」

りん「みゆきちゃんのバレエ教室3月までお休みになったって話」

ひな「そうなんや。うちも19時に変更になってん、先生の都合で」

みゆき「ひなちゃんとこの先生も有名だもんね」

ひな「うん。けどおかんが、勉強する時間がなくなるから教室変えよかって言ってて。ウチ、今の先生やから楽しく行ってるのにさあ」

みゆき「そこは、ちゃんとお母さんに伝えなきゃ」

ひな「せやな。言うてみるわ」

りん「宿題とかだったらみんなで集まって勉強会しようよ。その方が宿題早く終わるし遊べるし」

ひな「あ~、それええかも」

お店のドアベルが鳴り、ゆずが入って来ました。

ゆず「遅くなってすみません」

ドラキュラ「まだ14時になってないから大丈夫だよ。ゆずちゃんも座って、ココア淹れてくるね」


ドラキュラさんが淹れてくれたココアを飲みながら、チョコレート教室が始まりました。
ドラキュラさんの説明はとても丁寧で分かりやすく、みんなメモ取りながら真剣に聞いています。

ドラキュラ「今日は初日だからこれで終わり。みんな用にケーキ作ってるから持ってくるね~」

ドラキュラさんの言葉に歓声が上がります。

ひな「さっすが、ドラキュラちゃんやで!!」

ドラキュラさんが紅茶を淹れ、みんなで手分けしてケーキを配りお茶会がスタートします。
や~っぱりドラキュラちゃんのケーキ、美味しいわ!
ガツガツ食べてるひなの元にドラキュラさんが来ます。

ドラキュラ「ひなちゃん、チョコレート教室1回目お疲れ様」

ひな「ドラキュラちゃんもお疲れさん。ウチ、アホやから分からんかったらどうしよって思っててんけどドラキュラちゃんの講義、めっちゃ分かりやすかったわ」

ドラキュラ「それはよかった。ところでひなちゃんはレッスンで忙しいんじゃないかって思ってたんだけど、どうして参加してくれたんだい?」

ひな「体操教室、今日から19時に変更になってん。で、時間出来たから。あとチョコレート作りってやってみたかってん。ドラキュラちゃんに教えてもらえるならウチも作れるようになるかな~って」

ドラキュラ「なるほど。ところで、ひなちゃんはチョコレート贈りたい人とかいるのかな?」

ひな「特にはおらへんかな」

ドラキュラ「そうなんだ。じゃあ、自分用?」

ひな「うん!ドラキュラちゃんに教えてもらった美味しいチョコレートは、毎日体操頑張ってる自分へのご褒美として食べたいねん」

ドラキュラ「そうか。ひなちゃんはどんなチョコレート食べたい?」

ひな「せやな~。ドラキュラちゃんが夕日の丘で食べてたあのチョコレートがいいなあ」

ドラキュラ「へえ、なんで?」

ひな「あの時、ドラキュラちゃんめっちゃ大きいチョコレート持ってたやろ?で、チョコレートちょうだいなって言ったら人数分折ってくれて、小さくなったチョコ、みんなで食べたやん?あれ、いつも食べてたチョコより美味しかってん。それに自分だけの大きいチョコって食べてみたいからw」

ドラキュラ「あれがいいって言うの、ひなちゃんらしいね(笑)
わかった。じゃあひなちゃんは夕日の見える丘のチョコレートの準備しておくよ」

ひな「ありがとう、ドラキュラちゃん。明日もよろしく!…あ、今何時?」

ドラキュラ「今?もうすぐ16時30分だね」

ひな「ウチ、予定あるから帰るわ」

ドラキュラ「そうか。じゃあ明日またおいで」

ひな「うん、ありがとう」

ドラキュラさんのお店を出ると、かけるに終わったとLINEし、駅で待ち合わせました。


ひなが待ち合わせ場所に着くとかけるが待っていました。

ひな「かけるん、遅なってごめん!!」

かける「そんな待ってないから。じゃあ行くか」

駅の側にあるボーリング場で1ゲームだけすることにしました。

ひな「かけるんとここ来るのも、ほんまに久しぶりやなあ」

かける「だな。さ、ひなからどうぞ」

久しぶりとはいえ、2人はストライクをとり続け、あっという間に次のゲームでおしまいです。

かける「もう次で終わりか。早かったな」

ひな「せやな。次もストライク行くで!」

言葉通り、ひなはストライクを決めます。
続くかけるもストライクを決め、終わってしまいました。

ひな「楽しかった~!かけるん、ありがとう。なんかスカーっとしたわ!!」

かける「そうか、よかった」

ひな「ボーリング代出してもらったから、飲み物はウチが奢るわ。何飲みたい?」

かける「じゃあ、コーラで」

飲み物買って来たひなは、かけるとベンチに腰かけます。

ひな「久しぶりのボーリング、ほんま楽しかった!」

かける「気分転換できたみたいだな。(スマホ確認して)あ、もう時間か。じゃあ、俺クラブ行くわ。またな」

かけるは行ってしまいました。
かけるん、こういうとこ男前なんよな。
あ、ウチももう行かんと遅刻や。
慌てて自転車に乗ると体操教室へ行きました。


次の日の放課後。
ひなは、ドラキュラさんのお店でチョコレートを刻んでいました。初めて使う包丁に緊張しドキドキしながらチョコレートを刻み続けます。

りん「ひなちゃん、ありがとう。次はこっちのチョコレートも刻んでくれる?」

ひな「りんちゃん、ウチ、ちゃんと出来てる!?」

りん「大丈夫よ。チョコの次は、このナッツとドライフルーツも刻んでね。大きさはこの刻んであるのと同じ大きさでよろしく」

刻んだチョコレートはお鍋の前にいるゆずとみゆきが湯煎で溶かし、トッピングはなぎさの担当とそれぞれ楽しそうに作業しています。

ドラキュラ「そろそろ終わろうか。お茶の準備してくるから片付けてね」

ドラキュラさんの言葉でみんな一斉に片付け始めます。
ひなもりんに聞きながら道具を片付けました。

りん「ひなちゃん、包丁上手く使えてるよ。明日は湯煎やってみようね」

ひな「りんちゃん、ありがとう!明日もよろしくお願いします」

ドラキュラさんはお店の洋菓子を作りながらなので時々いなくなります。
その時はりんとゆずが、みゆきやひな、なぎさのサポートをしていました。

ドラキュラさんが紅茶を淹れ、お茶会が始まります。
今日のケーキも美味しそうです。


こうして毎日ドラキュラさんのお店に通いながら体操教室へ行く毎日が続きました。
家に帰ると疲れで眠くなるひなに、高校生のお兄さんが勉強をおしえてくれるようになりました。

更に日は過ぎ、明日はいよいよバレンタイン。
それぞれ作ったチョコレートを鞄に入れ、最後のお茶会が始まりました。

チョコレート作りおもろかったなあ。
ドラキュラちゃんもりんちゃんもゆずちゃんも優しく教えてくれたし。
明日も綺麗な夕日が見えるみたいやし、チョコは夕日の見える丘で食べるか。

ドラキュラさんが来ます。

ドラキュラ「ひなちゃん、お疲れ様」

ひな「ドラキュラちゃんもお疲れ様。チョコ作り、めっちゃ楽しかった!」

ドラキュラ「それはよかった。明日はお家で食べるのかい?」

ひな「いや、明日もお天気いいって言ってたしせっかくやから、ドラキュラちゃんがやってたみたいに丘に行って夕日をチョコに写しながら食べてみよう思てんねん」

ドラキュラさんが微笑みます。

ドラキュラ「きっと綺麗なあかいチョコレートになると思うよ。ひなちゃんはチョコレート教室で色々頑張ってたね。時間があったらまた
作ってみてね」

ひな「うん!」

もうすぐ17時になります。

ドラキュラ「さあ、もう大分暗いから帰りなさい。明日のバレンタイン、みんなが楽しく過ごせるよう祈ってるよ」

ドラキュラさんの言葉にみんな帰り支度するとそれぞれ帰っていきました。


バレンタイン当日。
学校用のトートバックにチョコレートを入れ、ひなは家を出ました。
歩いてると、2人組の女の子に声をかけられます。

女の子「おはようございます。ひな先輩ですよね?」

ひな「うん。そやけど」

女の子「初めまして。同じ体操教室に通ってる内村です。いつもひな先輩の練習見てて…大会も応援に行ってます」

ひな「そうなん?ありがとう。同じ教室に通ってるんや、知らんかった」

内村「私は週3だから…先輩とは違うクラスですし」

ひな「それやのに見に来てくれたんや、ありがとう」

内村「で…毎日頑張ってるひな先輩にチョコ渡したくて。受け取ってもらえますか?」

ひな「え、ウチにくれんの?ありがとう」

ひなにチョコレート渡すと、女の子達は行ってしまいました。

ひな「女の子からチョコレートもらうの初めてや。わ、これめっちゃ高そう…体操教室で
見てもらえてたんや、嬉しいな」

また歩いてると、今度は5人くらいの女の子達から声をかけられます。

女の子達「ひな先輩、おはようございます」

ひな「おはよう」

女の子達「私たち、先輩のブレイクダンスめっちゃ好きで…時々、YouTubeやTikTokで動画上げてましたよね?」

ひな「うん、上げてたで。今は気分転換で上げるだけから、あんま更新せえへんけど」

女の子達「私たち、ひな先輩の
大ファンなんです!!これ、受け取ってください!!」

ひなの手にペーパーバック押し付けると女の子達は走っていってしまいました。

ひな「また、もらってもうた」

そんな調子で、歩いてはもらい歩いてはもらいをしてるうちに、ひなのトートバックにはチョコレートがいっぱいになっていました。

くるみ「ひなちゃ~ん、おはよ」

ひな「あ、くるみちゃんおはよう」

くるみ「わぁ、チョコいっぱいだね」

ひな「うん、歩いてたらあっちからもこっちからもチョコもらえてん。びっくりや」

不思議そうにトートバックを覗くひなに、くるみはクスクス笑う。

くるみ「だって、ひなちゃんは有名人だもん」

ひな「へ?」

くるみ「ダンスの時はYouTubeとかTikTokとかで動画上げてたでしょ?それに体操教室で大会出たら毎回記録更新してるし」

ひな「まあそうなんやけど…まだまだやで、ウチは」

くるみ「全然そんなことないって。ひなちゃんファンって、たくさんいるのよ」

ひな「そうなん!?知らんかった…」

くるみ「で、これは私から」

高級チョコレートメーカーのチョコレートを渡されます。

ひな「くるみちゃんもくれるん?ありがとう」

その後は職員室へ行き、事情話して冷蔵庫で保管してもらいました。

放課後。
職員室へ行くと、かけるが先生と話しています。

先生「今回は見逃すけど、次回はちゃんと提出してね」

かける「はい。すみませんでした」

チョコレート受け取ったひなは、かけるに声をかけます。

ひな「かけるん」

かける「ひな」

ひな「かけるんもいたんやね」

かける「ああ。提出してなかった課題出してたんだよ」

ひな「そうなんや」

かける「ひなは何しに来たんだよ」

ひな「ウチ?チョコレート受け取りに」

かける「は?」

これと、ひなはかけるにトートバックを見せます。

かける「すげぇ、チョコいっぱいじゃねーか」

ひな「かけるんもいっぱいもらってたやん」

かける「まあな、でもひなには負けたかも」

ひな「そんなことないやろ」

かける「…なあ、これから夕日が見える丘行かね?」

ひな「ええよ。ウチも今から行くとこやったから」

かける「なんで?」

ひな「ドラキュラちゃんのチョコレート教室で作ったチョコレート、夕日の見える丘で食べよ思て」

かける「それってひなが作ったの?」

ひな「うん」

かける「誰かにあげるんじゃないのか?」

ひな「違う。自分用」

かける「自分用?」

ひな「うん。毎日ドラキュラちゃんとこのスイーツ食べるのも我慢して、体操頑張ってる自分にご褒美のチョコレート作ってん」

胸を張るひなに、かけるは笑いだしてしまいます。

かける「あはははっ、ひならしいな」

ひな「それ、ドラキュラちゃんにも言われてん。どういうことやろ?」

かける「さあな。じゃ、行こうぜ」

さりげなくひなの手からトートバックを取りあげ肩に担ぎます。

ひな「?自分の荷物くらい自分で持つで?」

かける「いいから、いいから」


丘に着くと、夕日で真っ赤なそこはすごく綺麗です。

途中で飲み物を買った2人はベンチに座りました。

かける「ひな、どんなチョコ作ったんだよ」

ひな「こーれっ♪」

ひなが取り出したチョコレートは、トートバックと同じくらいの大きさでした。

かける「デカ過ぎwww 」

ひな「ええねん、それだけ毎日体操頑張ってるんやから」

大きな口を開けて食べようとしたひなの手から、ヒョイとかけるが取りあげます。

ひな「何すんねん、かけるん!!」

かける「俺にもくれよ」

ひな「なんでやねん!」

かける「俺も毎日サッカー頑張ってるんだぜ。それに」

かける「ひなが作ったチョコ食べたい」

耳元で囁かれたひなは、真っ赤になって飛び退きます。

ひな「み、み、み、耳元で言うなや!!」

囁かれた方の耳を手で押さえ、涙目で叫ぶひなにかけるはニヤニヤしています。

かける「ひなは、耳が弱い…ね。覚えとく」

ひな「~~~~~!!!」

かけるはチョコレートを小さく割ると、ひなの
口に押し込みます。そしてまた小さく割ると、今度は自分の口に放り込みます。

かける「あ、うまい」

ひな「ドラキュラちゃんレシピのチョコレートなんやから、美味しくて当たり前やっちゅうねん。ん~、美味しい」

かける「…このチョコさ、ドラキュラちゃんがここで食べてたあのチョコだろ」

ひな「!!かけるん、なんでわかったん!?」

かける「俺もあそこにいたんだぜ。わかるに決まってんだろ」

そのまま食べやすい大きさに割っていき、敷いていたハンカチの上に落としていきます。

かける「あの時、1人で食べるよりみんなで食べた方が美味しいってドラキュラちゃんも嬉しそうに食べてた」

ひな「かけるん、覚えてたんやね」

かける「まあな。あの時のチョコレート、いつもよりも美味しく感じたし」

ひな「かけるんもそうやったんや」

かける「友達と分け合って食べるのは美味しい。でも、好きな女の子が作ったチョコレートをその子とシェアして食べるのはもっとうまい」

ひな「へ?」

かけるはくすっと笑うと、ひなの口にチョコレートを押し込みます。

かける「ひな、好きだよ」

ひな「え!?嘘…」

かける「その反応もひならしいなw」

ひな「だって…かけるんはウチのことはお稽古組の1人と思ってるもんやと」

かける「んな訳ねーだろ」

ひなの頭を自分の胸に引き寄せます。

かける「恋バナに興味も示さず、ただ自分の可能性を信じて体操に打ち込むひなが、俺は好きだよ」

ひな「それ、冗談とかじゃないよね…?」

不安そうに言うひな。かけるは、またひなの口にチョコレートを押し込みます。

かける「マジで告ってんのに、冗談にするんじゃねーよ。
このチョコも絶対俺にくれるんだと思ってたのに自分用とか言い出すし…ま、そんなとこも好きなんだけどさ」

チョコレートを一掴み口に放り込み、ひなに向き直ります。

かける「お互いサッカーと体操忙しいけどさ、俺、ひなといる時が一番楽しいんだ」

ひな「ウチも…かけるんと一緒やとめっちゃ楽しいよ。それにウチもかけるん好きや」

かける「…じゃあ、つき合ってくれる?」

コクンと頷くひなをかけるは強く抱きしめます。

かける「ひな、好きだよ。これからもよろしく」

また耳元で囁かれたひなは飛び退きます。

ひな「だ、だ、だから耳元はやめえって言ってるやろ!!!」

かけるは大笑いです。
その後は日が沈むまで喋りながらお互いのチョコレートを食べたのでした。


数日後ー
ドラキュラさんのお店にひなとかけるが来ました。

ひな「ドラキュラちゃん、こんちは~」

ドラキュラ「やあ、いらっしゃい。ひなちゃんのチョコレートはかける君に食べてもらえたようだね」

話そうとしたことを言い当てられ、ひなはびっくりしました。

ひな「ドラキュラちゃん、なんでわかったん!?」

ドラキュラ「さあ、なんでだろうね」

くすっと笑うドラキュラさんに、ひなは
なぎさとゆずに言われたことを思い出しました。
ドラキュラちゃんってやっぱり魔法使いで予言者なんや。


                終

あとがき

お読みくださりありがとうございました。
こちらのお話は、今井雅子先生の『「ち」に飢えるさみしさードラキュラとあかいチョコレート』『「ち」のつく幸せードラキュラとあかいチョコレート』に登場する夕日の見える丘でドラキュラさんと遊んでいた子ども達を、オリジナルキャラクターとして作らせていただいたものです。
夕日の見える丘の子ども達と漂流工房さんのドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝のキャラクターの娘ちゃんが幼稚園で一緒にクリスマスパーティーを楽しむお話も少し前に書かせていただきました。
幼稚園のクリスマス会🎄🎅🎁🔔あの丘の子ども達と一緒に🎶~ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝の外伝~はこちら。

今回はひな編として書かせていただきました。

タイトル画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。
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