クリスマスパーティー編🎄🎅🎁~ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝の外伝~
まえがき
鈴蘭と申します。毎朝SNSのClubhouseで読ませていただいてる今井雅子先生の絵本のようなお話、『「ち」に飢えるさみしさードラキュラとあかいチョコレート』スイート篇とビター篇、『「ち」のつく幸せードラキュラとあかいチョコレート』ビタースイート篇。
そして、私がドラキュラさんが1人ぼっちなのは可哀想だよねと言ったところから、1人ぼっちのドラキュラさんがかけがえのないパートナーと出会うお話を漂流工房さんが書いてくださるようになりました。それが【ドラキュラとあかいチョコレート二次創作ショートストーリー外伝】。
その物語は、終わることなく今も毎日新しいお話が生まれています。
今井雅子先生のnoteを読ませていただいた後、即興で楽しく読ませていただいてます。
今井雅子先生の『「ち」に飢えるさみしさードラキュラとあかいチョコレート』のスイート篇ビター篇はこちらです。
同じく今井雅子先生の『「ち」のつく幸せードラキュラとあかいチョコレート』ビタースイート篇はこちらです。
漂流工房さんの最新作『ドラキュラ一家とお祭り篇』はこちらです。
今井雅子先生、漂流工房さんありがとうございます。
前回ハロウィン編としてハロウィンパーティー準備編とドラキュラさんがハロウィンパーティーの余興でバルーンアートにチャレンジするお話を書かせていただいたのですが、今回はクリスマスパーティー編を書かせていただきました。
楽しんでいただけたら幸いです。
メインキャラクター紹介
ドラキュラ
美男子だけどちょっとドジで結構不幸な目に遭う。
吸血鬼なんだけど基本優しい。嫁様の尻に敷かれる座布団なんだけど結構この立場も気に入ってる。
実はすっごく腕の良いパティシエやってます。
娘ちゃんのパパ。
嫁様
鬼、ものすごく力が強くて頭もいいし料理もできる完璧美女。
娘ちゃんのママ
基本優しいんだけどドラキュラさんを尻に敷く鬼嫁やってる。弱点はものすごい方向音痴
娘ちゃん
ドラキュラさんと嫁様の娘。幼稚園児
ドラキュラと鬼のハーフ。嫁様の血を受け継いで力が強い。
性格はすっごく素直で優しい子
それでは、本編スタート。
鈴蘭作 クリスマスパーティー🎄🎅🎁編~ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝の外伝~
クリスマスパーティー2日前。
夕食前のドラキュラさん家のリビング。
娘ちゃん「♬あわてんぼーのサンタクロース、クリスマスまえーにやってきたー♬」
一生懸命歌っている娘ちゃん。そこへ嫁様が入ってきます。
嫁様「娘ちゃん、ご飯出来たわよ~って…お歌歌ってたの?」
娘ちゃん「うん!今度のクリスマスパーティーは、みんなでクリスマスソング歌うの~」
嫁様「そうなのね、どんな歌、歌うの?」
娘ちゃん「いろいろだよ~!1曲目はあわてんぼうのサンタクロース、2曲目は赤鼻のトナカイ、3曲目はサンタが街へやって来る、4曲目はもろびとこぞりて、5曲目はジングルベル、6曲目はきよしこの夜、7曲目はWe wish You a Merry Chrismas。5曲目6曲目7曲目は英語で歌うんだ 」
嫁様「たくさん歌うのね。もろびとこぞりてって難しかったと思うんだけど」
娘ちゃん「うん、めっちゃ難しい(^_^;)でも、すっごく綺麗な曲だから歌えるようになりたいの!」
嫁様「そうなのね、練習もいいけどご飯冷めちゃうから先に食べよっか」
娘ちゃん「うん!今日はね~…」
夜ご飯の間も、娘ちゃんのお喋りは止まりません。
娘ちゃん「…でね、園長先生が、今年のケーキはすっごく美味しいから楽しみにしててねって言ってたの。どんなケーキなんだろ。気になるな~」
一緒にご飯食べてたドラキュラさん、思わずムセてしまいます。
娘ちゃん「? パパ、どうしたの?大丈夫?」
ドラキュラさん「だ、大丈夫だよ、ハロウィンパーティーでは劇だったけど、クリスマスパーティーでは歌を歌うんだね、楽しみだなあ」
嫁様「娘ちゃん、お喋りはちょっとストップしてご飯食べましょ。ご飯食べ終わったらお話聞かせて」
娘ちゃん「うん!!」
いつもの賑やかなドラキュラさん家の夕食タイムでした。
娘ちゃんが寝ついて、嫁様がリビングに戻ってきます。
嫁様「娘ちゃん、寝たわ」
ドラキュラさん「今日はいつもより早かったね、お疲れ様」
嫁様「幼稚園での歌の練習がかなりハードみたい。家でも熱心に練習してるから、結構疲れてるんだと思うわ」
ドラキュラ「そっか、クリスマスパーティー楽しみだな」
嫁様「そうね。…あ、それから忙しい時期にごめんね、また寝不足なんじゃない?」
ドラキュラ「今回は園長先生直々に依頼されたからね、嫁様が気にしなくて大丈夫だよ。それにこども達に喜んでもらえるなら多少の寝不足は平気…それにしても、こども達に内緒って言ってた園長先生にバラされるとは思わなかったな」
嫁様「こども達に聞かれて、つい答えてしまったのかもよ」
ドラキュラ「娘ちゃんがいきなりケーキの話しだしたから、びっくりしてムセてしまったよ」
嫁様「(笑) クリスマスパーティーももう明後日ね。それじゃ、ケーキはもう準備出来てるのね」
ドラキュラさん「うん、明日は徹夜だから帰って来るのはクリスマスパーティー当日の明け方だと思う」
嫁様「OK、それじゃバルーンアートの準備しておくわ。当日は私が車運転するから、あなたは寝てて」
ドラキュラさん「ありがとう、助かるよ。帰ってきたらお風呂だけ入りたいな」
嫁様「わかったわ、お風呂とあと軽く食べれるもの用意しとく」
ドラキュラ「ありがとう…あ、もう23時か。それじゃ寝ようか」
嫁様「ええ、おやすみなさい、あなた」
あと2日でクリスマスパーティー。お昼休み後の教室
先生「さあ、今日もお歌のおけいこ始めましょうね」
園児「は~い」
先生「みんな、お歌はいっぱいあったけど練習してきたかな~?」
園児「は~い」
先生「それじゃあ、あわてんぼうのサンタクロースから練習しましょう」
ピアノ伴奏が始まり、みんなが歌い出します
時々つまづく子もいますが周りの子がフォローし、クリスマスパーティーの練習の時間が過ぎて行くのでした。
その日の放課後、たくさんの園児が待つ中、娘ちゃんが難しい顔をしてクリスマスソングのプリントが入ったバインダーを見つめています。
ケントくん「娘ちゃん、どうしたの?」
声をかけられた娘ちゃん、振り返ったその顔は今にも泣き出しそうです。
ケントくん「娘ちゃん、ちょっとこっち来て」
教室の隅に連れていくケントくん。
ケントくん「何か困ったことでもあった?話してみて」
恥ずかしそうに俯く娘ちゃん。
ケントくん「あ、言い辛いなら無理には聞かないけど…」
娘ちゃん「ううん、大丈夫!あのね…クリスマスソングなんだけど英語の歌難しくて…何回練習してもうまくいかないんだ」
ケントくん「そう…か」
娘ちゃん「本番は明後日なのに…パパもママも楽しみにしてくれてるのにって思ったら…」
ケントくん「不安になったってことか」
泣きそうな顔で頷く娘ちゃん。
ケントくん「娘ちゃんが楽しく歌えるならそれでいいんじゃないかとボクは思うけど」
娘ちゃん「今のままじゃ楽しく歌えないかも…」
涙を浮かべ、俯き呟く娘ちゃん。
そんな娘ちゃんの顔を覗き込むケントくん。
ケントくん「そっか…じゃあ、ボクでよければ教えようか?」
娘ちゃん「え?」
ケントくん「娘ちゃんがよければ…だけど」
娘ちゃん「ケントくん!教えて!!」
勢いよくケントくんの両手を握る娘ちゃん。
ちょっと驚いた様子のケントくんでしたが、すぐ笑顔になります。
ケントくん「先生にピアノある部屋空いてるか聞いてくるよ」
娘ちゃん「え!?ケントくんってピアノ弾けるの!?」
ケントくん「うん、ちょっと待っててね」
早足で歩き出したケントくん。
娘ちゃん「ケントくん、すごいなぁ…」
──10分後。少し離れた音楽室に来た娘ちゃんとケントくん。
ピアノの蓋を開け、指慣らしをするようにピアノを弾き出すケントくん。真珠が転がるような綺麗な音色に、またまたびっくりする娘ちゃん。
娘ちゃん「ケントくん、ピアノ上手だね」
ケントくん「(クスッ)ありがとう。さて、『ジングルベル』と『きよしこの夜』と『We Wish You a Merry Christmas 』だったっけ?」
娘ちゃん「うん!その3曲だよ」
ケントくん「じゃあ、まず歌ってみるから聴いててね」
ピアノを弾きながら歌い出すケントくん。
ケントくん「この歌はこんな感じかな」
娘ちゃん「ケントくん!!カッコいい!!!」
ケントくん「ありがとう。この歌で歌いにくい所はどこ?」
娘ちゃん「う~んと…ここと、ここと…」
ケントくん「OK。そこだけもう1回歌ってみるね」
また弾き語りが始まります。
ケントくん「…って、こんな感じ。次は一緒に歌ってみようか」
娘ちゃん「うん!!」
一緒に歌うケントくんと娘ちゃん。最初はたどたどしかった娘ちゃんの歌も、何度も歌う内にだんだんスムーズになってきました。
ケントくん「うん、いい感じ。明日もう1回練習しようか」
娘ちゃん「うん!ありがとう、ケントくん。明日もよろしくね」
ケントくん「こちらこそ。(時計を見て)あ~そろそろ教室に戻ろうか」
空き教室に鍵をかけ、教室に戻ります。
娘ちゃん「ケントくん、ピアノも英語のお歌も上手なんだね、すっご~い」
ケントくん「ありがとう。ピアノは3才から教えてもらってるから」
娘ちゃん「誰に?」
ケントくん「ママ。その他にもTik Tokやってる従兄弟とか…色々教えてもらってる」
娘ちゃん「Tik Tok?」
ケントくん「これだよ」
動画を見せてもらう娘ちゃん。
娘ちゃん「ケントくんのママも従兄弟のお兄さんもすっごいんだね~」
ケントくん「そんな事ないと思うけど…あ、ママだ。娘ちゃんママもいるよ」
娘ちゃん「あ、ホントだ!じゃあね、ケントくん!」
ケントくん「うん、また明日」
パタパタ走っていく娘ちゃん。
ケントくん「…娘ちゃん、可愛いなあ」
嫁様とケントくんママが話していると娘ちゃんが来ました。
嫁様「娘ちゃん、迎えに来たわよ~」
ケントくんママ「娘ちゃん、こんにちは」
娘ちゃん「ケントくんママ、こんにちは~」
嫁様「それじゃあ、ケントくんママ、また明日」
ケントくんママ「はい。また明日、よろしくお願いします」
幼稚園からの帰り道。手を繋いで歩く娘ちゃんと嫁様。
嫁様「さっき教室にいなかったみたいだけど…どこ行ってたの?」
娘ちゃん「えへへ~、な~いしょ!!」
嫁様「あら、娘ちゃんが内緒って言うの珍しいわね」
娘ちゃんから内緒と言われた嫁様。
嫁様「これはあの人には黙っておいた方が良さそうね…」
その日の夜ご飯の時間にも、娘ちゃんからは放課後どこに行っていたか聞くことは出来ませんでした。
次の日の放課後。昨日と同じく音楽室で特訓する娘ちゃんとケントくん。
娘ちゃん「歌えるようになったあ!!」
ケントくん「うん、完璧だよ。これで明日のクリスマスパーティーは大丈夫だと思う」
娘ちゃん「ケントくん、ありがと~!!」
ケントくん「どういたしまして」
娘ちゃん「ケントくんに教えてもらってよかったぁ。ケントくんってなんでも出来るんだね。本当にすごいなあ」
ケントくん「娘ちゃんが頑張ったからだよ、明日楽しもうね」
ケントくんと娘ちゃんが教室に戻ると、嫁様とケントくんママが話していました。
嫁様「あ、来た来た。娘ちゃん、迎えに来たわよ!」
ケントくんママ「ケント、お待たせ~」
娘ちゃん「ケントくん、バイバイ、明日頑張ろーねっ!」
ケントくん「また明日。クリスマスパーティー楽しもうね」
嫁様と歩き出す娘ちゃん。
嫁様「昨日と今日ケントくんと一緒だったのね」
娘ちゃん「うん!特訓してたの!」
嫁様「特訓?」
娘ちゃん「私、英語のお歌歌えなかったから、ケントくんに教えてもらってたんだ」
嫁様「そうだったのね。で、歌えるようになった?」
娘ちゃん「うん!明日のクリスマスパーティー楽しみにしてて!!」
嫁様「うん、今日は早く寝ようね」
その夜、早々とクリスマスパーティーの準備を済ませた娘ちゃん、いつもより早くお布団に入ったのでした。
嫁様「早く寝てくれてよかった。さ、こっちの準備もしとかなきゃ」
バルーンアートの材料を車に詰め込み嫁様も寝てしまいました。
その頃のドラキュラさん。
ドラキュラ「これで完了、と」
スタッフ「ドラキュラさん、仮眠室で少し寝ておいた方がいいっすよ」
ドラキュラ「いや、でも片付けとか残ってるし…」
スタッフ「それくらいやっときますよ!クリスマスパーティーの余興でまたバルーンアートするんでしょ?」
ドラキュラ「ああ」
スタッフ「寝不足で失敗したら大変じゃないですか!」
スタッフ「オレら明日は休みなんで後の片付けとか任してください。あ、ケーキの搬入もやっときますよ~」
ドラキュラ「ありがとう、じゃあちょっと寝てくるよ」
スタッフ2人「おやすみなさいっす」
ドラキュラ「おやすみ」
時間は24時を過ぎていましたが少し眠ることが出来たドラキュラさんでした。
クリスマスパーティー当日。
ドラキュラさんが自宅に向かってる頃、嫁様はお風呂を準備し朝ご飯のおにぎりを作っていました。
今回は膝枕型おにぎり3種類。
ライスペーパーとのりのスカートの膝ママおにぎり、大葉のホットパンツの膝枕の葉月さんおにぎり。いつもより早く起きた娘ちゃんが喜んだのは言うまでもありません。
娘ちゃん「わ~、膝枕おにぎり増えてる!これ葉月さん?」
嫁様「そうよ、エメラルドグリーンのホットパンツは大葉で作ってみたの。どうかな?」
娘ちゃん「ん~、美味し~」
嫁様「よかった!いっぱい食べてね」
そこにドラキュラさんが帰ってきました。
ドラキュラ「ただいま~」
嫁様「おかえりなさい、食べる?」
ドラキュラ「先にお風呂入ってくるよ」
嫁様「いつでも入れるわよ」
ドラキュラ「ありがとう、行ってくる」
ドラキュラさんがお風呂に入ってる間に幼稚園のバスが来て娘ちゃんは迎えに来た先生と行ってしまいました。
ドラキュラ「あ~娘ちゃん、もう行ってしまったか」
嫁様「あなたも急いで」
ドラキュラさん朝食をささっと済ませ、嫁様の運転する車で幼稚園に向かいます。
幼稚園に到着すると、ドラキュラさんのお店のスタッフ2人が門から出てくるところでした
スタッフ「ドラキュラさ~ん、お疲れ様っす。ケーキの搬入終わりました~」
ドラキュラ「お疲れ様~、終わったんだね。助かったよ、ありがとう」
スタッフ「いえいえ、バルーンアート頑張ってくださ~い」
スタッフのお兄さん2人は笑顔で帰って行きました。
嫁様「あなた、搬入までお願いしたのね」
ドラキュラ:「自分でやるって言ったんだけどね」
嫁様「そうなの?人望あるのね」
ドラキュラ「これでもオーナーパティシエだからね」
嫁様「え!?オーナーパティシエ!?じゃ、あのお店ってあなたのお店なの?」
ドラキュラ「仕事仲間とやってる店だよ。見習いの時に仲良くなってね。製菓全般はわし、経営は彼にやってもらってるんだ」
嫁様「さっきのお兄さん達のちょっと先輩みたいな感じかと思ってたからびっくりしたわ」
ドラキュラ「惚れ直した?」
嫁様「うん」
ドラキュラ「え!?」(マジ!?ちょっと言ってみたかっただけなんだけど)←ドラキュラさん心の声
慌てるドラキュラさんを見てクスクス笑う嫁様。
嫁様「なあんてね、冗談よ(実は惚れ直したんだけど今は黙っとこ)←嫁様心の声
さ、早く行きましょ」
ドラキュラ「あ、嫁様、先に控え室行ってて。園長先生に挨拶してくる」
足早に歩いていくドラキュラさん。園長室をノックします。
園長「ドラキュラさん!おはようございます」
ドラキュラ「おはようございます、園長先生。ケーキは給食室の冷蔵庫に入れてます」
園長先生「ありがとうございます。もう少ししたら始まります。奥様とのバルーンアート、頑張ってください」
ドラキュラ「はい、では失礼します」
控え室ではバルーンアートの準備が整っていました。
ドラキュラ「嫁様、遅くなってごめん」
嫁様「大丈夫よ、準備も済んだし、娘ちゃんの教室に行きましょう」
控え室を出て教室へ急ぐ2人。教室に着くと先生の話が終わるところでした。
嫁様「間に合ったわね、よかった」
ドラキュラ「ところで、クリスマスソングとしか聞いてなかったけどどんな曲歌うんだい?」
嫁様「あ、言ってなかったわね。今回は7曲歌うそうよ。娘ちゃんが曲の紹介するんですって」
ドラキュラ「そうなんだ。あ~そう言えば、娘ちゃん練習してたな」
嫁様「あなた帰りが遅かったから、娘ちゃんが練習してるのあまり聴いてなかったでしょ」
ドラキュラ「そうだね、最初の2、3回くらいかな」
嫁様「娘ちゃんね、クリスマスパーティー直前にケントくんと特訓したんですって」
ドラキュラ「え!?」
嫁様「娘ちゃん、英語の歌が歌えなくて悩んでたみたいなの。そしたらケントくんが「教えてあげる」って。音楽室でお迎え来るまでずーっと練習してたんだって」
ドラキュラ「それって…2人だけで!?」
嫁様「そうみたい、あ、始まるわ」
ドラキュラ「娘ちゃんとケントくんが2人きりで特訓…」
嫁様「ほら、娘ちゃん出て来たわよ」
左右の舞台袖から園児が出てきて横2列に並び、中央のマイクに向かって娘ちゃんが歩いてきます。
ドラキュラ「娘ちゃん、ベレー帽にスモック姿も可愛いなあ❤️」
娘ちゃん「パパ、ママ、メリークリスマス!これからクリスマスパーティーを始めます。私達星組はクリスマスソングを歌います。1曲目はあわてんぼうのサンタクロース、2曲目は赤鼻のトナカイ、3曲目はサンタが街にやって来る、4曲目はもろびとこぞりて、5曲目はジングルベル、6曲目はきよしこの夜、7曲目はWe Wish You a Merry Christmas 。5曲目、6曲目、7曲目は英語で歌います。毎日、みんなで一生懸命練習しました。それではお聴きください」
挨拶が終わると走って列の端に並びます。
一呼吸置いて先生のピアノ伴奏が始まりこども達が歌い出した途端、クリスマスパーティーはクリスマスコンサートになっていました。
嫁様「みんな、上手ね~」
ドラキュラ「ああ」
嫁様「パンフレット見たら英語の歌は1人で歌うみたいね。…あら、7曲目は娘ちゃんが歌うみたい。5曲目は友子ちゃん、6曲目はケントくんですって」
ドラキュラ「何!?それはなにがなんでも聴かないと!!」
嫁様「あとは~保護者の余興の後、何人か園児が特技を披露するコーナーがあるんですって」
ドラキュラ「へ~そうなんだ。そこはハロウィンパーティーの時と違うんだね」
嫁様「色々あるけど…ラストはケントくんのジングルベルロックでダンスだそうよ」
ドラキュラ「それは?」
これよ、とジングルベルロックの動画を見せる嫁様。
嫁様「ジングルベルロックを歌いながらダンスするんですって。あら、娘ちゃんと2人で踊るのね。これは楽しみ♪」
ドラキュラ「2人で…ダンス…」
嫁様「考えすぎないで。あ、もうケントくんのきよしこの夜が終わるわ。娘ちゃんの歌、始まるわよ」
ケントくんの歌が終わり、いよいよ娘ちゃんの歌が始まります。その歌声は、以前嫁様が聴いたものとは全然違っていました。
嫁様「娘ちゃん、上手になったわね」
その隣でうっとり聴き入るドラキュラさん。
ドラキュラ「娘ちゃんの歌、サイコーだ…」
娘ちゃんが歌い終わると大きな拍手が送られたのでした。
舞台の外の廊下。
娘ちゃん「は~、緊張したあ」
しゃがみこんだ娘ちゃんに近づくケントくん。
ケントくん「お疲れ様。特訓の成果、バッチリだったよ」
娘ちゃん「ケントくんのお陰だよ!!ありがと~!!」
ケントくん「次のプログラムは、月組のクリスマス劇、その次は鈴蘭先生とお友達によるミニコンサート、先生チームの朗読劇に娘ちゃんママと娘ちゃんパパのバルーンアート、友子ちゃんママチームのカードマジック、そしてボク達のジングルベルロックで終わりだよ」
娘ちゃん「次の番までいっぱい時間あるね!じゃあその間にパパの作ったケーキたーべよっ」
ケントくん「そう言えば、今回のケーキって娘ちゃんパパが作ったんだよね。さっきちょっと食べたんだけど、すごく美味しかった」
娘ちゃん「でしょでしょ~♪パパの作るケーキってめっちゃおいしーんだよ!」
ケントくん「娘ちゃんのパパのお店ってもしかして…」
ケントくんがお店の名前を口にすると、娘ちゃんは目を丸くします。
娘ちゃん「どうして知ってるの?教えたことないよね?」
ケントくん「超がつく程の有名店だよ。ネットでもいつも評価高いしボクのママも大ファンでさ、いつも買いに行ってる」
娘ちゃん「え、そうなんだ。全然知らなかった」
そこへ友子ちゃんが来ました。
友子ちゃん「娘ちゃ~ん、ケントく~んこんな所にいたんだね~。もう、クリスマス劇、始まってるよ~」
ケントくん「娘ちゃん、行こうか」
娘ちゃん「うん!!」
クリスマス劇が終わり、鈴蘭先生とお友達によるミニコンサートが始まりました。お友達はピアノ、鈴蘭先生はフルート。曲は主よ、人の喜びよ・アヴェ・マリア・もろびとこぞりて。
パパママは綺麗な音色にみんなうっとり聴き入っていますが、こども達はケーキやお菓子、お喋りに夢中です。
友子ちゃん「ねえねえ娘ちゃん、娘ちゃんパパの作ったケーキ、すっごく美味しいね~❤️」
娘ちゃん「ね~❤️美味しいよね~❤️」
友子ちゃん「秋キャンプの時も美味しかった~」
娘ちゃん「美味しかったよね、またキャンプ行こうね~」
友子ちゃん「うん~」
ケントくん「2人とも静かに。もうすぐ演奏終わるよ」
しばらくしてミニコンサートが終わりました。
ドラキュラ「鈴蘭さん、素敵だった…」
嫁様「はいはい、わかったから。今から始まる先生チームの朗読劇の次なんだから、そろそろ控え室行きましょ」
ドラキュラ「ああ、そうだね。行こうか」
控え室へ行くと、中には漂流工房さんがいました。
嫁様「漂流さん!お久しぶり、来てくれたのね」
ドラキュラ「漂流師匠!!ありがとうございます」
漂流工房さん「よ、お2人さん。元気そうだね。今回は2人でやるんだよね、楽しみにしてる」
軽く挨拶すると、漂流工房さんは控え室を出ていきました。
嫁様「漂流さんにカツ入れてもらったわね!頑張りましょ!」
ドラキュラ「ああ」
その後のバルーンアートパフォーマンスに園児もパパママも大興奮。ドラキュラさん達のバルーンアートは大成功でした。
娘ちゃん「パパとママ、カッコよかった~!!」
友子ちゃん「うんうん、みんなにプレゼン卜してくれるし、やっぱりすごいよね、娘ちゃんママと娘ちゃんパパ」
娘ちゃん「うん!」
ケントくん「娘ちゃん、そろそろ行こうか」
娘ちゃん「あ、そうだね!友子ちゃん、行ってくるね」
友子「うん。娘ちゃん、ケントくん、頑張ってね~」
ドラキュラさんと嫁様が舞台袖に戻ってくると漂流工房さんが待っていました。
漂流工房「(拍手)2人ともすごかったよ。ドラキュラさんまた上達したみたいだし、嫁様も上手だった」
ドラキュラ「漂流師匠、ありがとうございます!」
嫁様「漂流さん、ありがとう。緊張したけど楽しかったわ!」
漂流工房「そりゃよかった。じゃあ私はそろそろ帰ろうかな」
嫁様「漂流さん、待って。この後予定ある?」
漂流工房「いや、特には…」
嫁様「この後クリスマスパーティーラストの演目なんだけど、娘ちゃんとケントくんがジングルベルロックするから見ていって」
嫁様がスマホを操作し、ジングルベルロックの動画を漂流工房さんに見せます。
嫁様「こういうのやるみたいなの」
漂流工房「へえ~、可愛いね」
嫁様「でしょ?一緒に見ましょ」
漂流工房「そうだね、じゃあ行こうか」
漂流工房さんがさりげなく嫁様の肩を抱いて歩き出そうとした時、ドラキュラさんが漂流工房さんの肩に手をかけます。
ドラキュラ「漂流師匠、その手どけてくれないか。嫁様、まだ片付け終わってないよ(怒)」
漂流工房「お~、怖っ(笑)」
漂流工房さん、苦笑い。
漂流工房「じゃ、先、行っとくな」
ドラキュラ「あ、師匠、クリスマスケーキまだあると思う。入り口でもらえるから食べて。今日のケーキはわしが作ったんだ」
漂流工房さんの背中に話しかけるドラキュラさん。
漂流工房さんは振り返らず右手だけ上げるとそのまま行ってしまいました。
嫁様「ふふっ、焼きもち?」
ドラキュラ「そんなんじゃないよ(怒)もうすぐ娘ちゃんのジングルベルロックだろ?急いで片付けよう」
手早く片付けた2人。教室に急ぎます。
先生「次の演目がラストになります。星組のケントくんと娘ちゃんによるジングルベルロックでーす!!」
ドラキュラさんと嫁様が教室に着いた時、先生の紹介が始まってました。
嫁様「よかった、間に合ったみたいね」
ドラキュラ「うん、よかった」
舞台袖の左右からお揃いの衣装を着た娘ちゃんとケントくんが登場すると同時に曲が始まり定位置についた2人がリズムを刻みます。
嫁様「出て来たわ!可愛いわね、2人とも」
ドラキュラ「しーっ、始まるよ」
ピンマイクで歌い踊るケントくん。ケントくんと息ピッタリで踊る娘ちゃん。
とにかく可愛い2人に「可愛い~❤️」の声があっちこっちから聞こえます。
嫁様「すごく息合ってる。特訓したって言ってたもんね」
ドラキュラ「さっき言ってたね。娘ちゃん楽しそうだ」
ジングルベルロックが終わりました。
可愛い2人にしばらく拍手が鳴り止みませんでした。
友子「娘ちゃ~ん、ケントく~んめっちゃよかったよぉ~」
友子ちゃんが拍手しながら、戻ってきた2人に話しかけます。
娘ちゃん「友子ちゃん、ありがとー、楽しかった~!!」
ケント「終わったね。ボクもすごく楽しかったよ」
娘ちゃん「ケントくんもありがと~!!」
こうして楽しかったクリスマスパーティーは終了しました。
漂流工房「いや~楽しかった。それじゃ私は帰るよ。ドラキュラさん、ケーキご馳走さん、美味しかったよ~」
嫁様「漂流さん、ありがとう。またね~」
漂流工房「嫁様、今度遊びに来てね~」
漂流工房さんが出て行くと、娘ちゃんが走ってきました。
娘ちゃん「ママ!パパ!来てくれてありがとう。バルーンアートすごかったぁ」
嫁様「ありがとう、娘ちゃんもお疲れ様!歌もダンスもすっごく上手だったわよ」
ドラキュラ「娘ちゃん、お疲れ様!挨拶してる時の娘ちゃんかっこよかったよ」
娘ちゃん「ありがとう!あのね、今日友子ちゃん家にお泊まりしてもいい?ケントくんと3人でお疲れ様会しよって言ってるの!!」
嫁様「あら、そうなの?友子ちゃんママは?」
友子ママ「娘ちゃんママ~」
向こうから友子ちゃんママが歩いてきました。
友子ママ「娘ちゃんママ、娘ちゃんパパ、バルーンアートお疲れ様でした。素敵でした~。さっき友子から娘ちゃんとケントくんとお疲れ様会したいと言われて。娘ちゃんお預かりしてもよろしいでしょうか?娘ちゃんの着替えは友子のお貸ししますので…いかがでしょう」
嫁様「いいんですか?」
友子ママ「ええ、こども達も泊まる気マンマンですし(笑)ウチは全然構いませんので」
嫁様「それじゃ、よろしくお願いします」
友子ママ(振り返って)「娘ちゃ~ん、お泊まりOKだって~」
娘ちゃん「やったあ~!パパ、ママありがとー!じゃあ、お片付けしてくる~」
心配そうに話を聞いてた娘ちゃん、泊まれると判った途端、教室へ走って行ってしまいました。
嫁様「友子ちゃんママ、ありがとうございます」
友子ママ「いえいえ、秋キャンプにも誘ってもらってますし、いつも友子と仲良くしていただいてるので…」
にこやかに頭を下げる友子ちゃんママ。
友子ママ「娘ちゃんママ、娘ちゃんパパはお疲れでしょうから、夫婦水入らずで今夜はゆっくりなさってくださいね」
それでは、と友子ちゃんママは行ってしまいました。
ドラキュラ「それじゃ、そろそろ帰ろうか。帰りは運転するよ」
嫁様「あなたは寝不足でしょ。帰りも私が運転するわ」
ドラキュラ「そう?じゃ、頼むね」
こうして無事にクリスマスパーティーは終了し、アンケートではバルーンアートすごかったとか、ジングルベルロック可愛かった、ドラキュラさんのケーキめっちゃ美味しかったなど、たくさんのコメントが寄せられたのでした。
ドラキュラ「は~、さっぱりした。嫁様、上がったよ」
途中で夕食を済ませ、帰ってきたドラキュラさん達。
お風呂から上がったドラキュラさんは今日のために買っておいた赤ワインとグラス、チーズやクラッカーをカウンターに並べます。
ドラキュラ「昨日今日とバタバタだったけどこども達に喜んでもらえたし、嫁様とのバルーンアートも楽しかったな」
嫁様「お待たせ。さ、飲みましょうか」
リビングに嫁様が入ってきました。
ドラキュラ「はい、どうぞ。お疲れ様」
嫁様に赤ワインのグラスを渡し乾杯。
嫁様「は~、美味し~」
ドラキュラ「嫁様のバルーンアート、レベルアップしたね」
嫁様「そう?ありがとう。あ、園長先生からケーキ大好評だったって。他のママ達やこども達にも美味しかったって言われたわ。あと、お店の事知ってる人も多かった」
ドラキュラ「ありがとう。あ~そうかもね」
嫁様「え?どういうこと?」
ドラキュラ「うちの店、行列の絶えない店として有名だから」
嫁様「そうなの!?」
ドラキュラ「検索してみて」
スマホでドラキュラさんのお店を調べる嫁様。
嫁様「え~!?超人気店じゃない、あなたの店!!」
ドラキュラ「経営担当が優秀だからね」
嫁様「イートインのケーキもテイクアウトのケーキもすごく美味しいって。あと、ホールスタッフのお兄さん達カッコいいって」
ドラキュラ「あ、ケーキはわし担当。今日少し話したよね」
嫁様「あ、ケーキ搬入の時の…」
ドラキュラ「うん。あれは…まだ嫁様と出会う前だから10年くらい前かなあ。師匠の所で修行してた時、気の合う仲間と出会ったんだ。それで、お互い独立したらふたりで店をやろうってなってね。1年前にオープンしたのが今の店。で、わしは製菓全般、仕事仲間には経営を任せてる。彼はとても優秀でね、あっという間に名前を知られるようになったんだ」
嫁様「でも製菓全般って…」
ドラキュラ「オーナーパティシエだからね。イートインもテイクアウトも全部わしが作ってるんだよ」
嫁様「あなたってそんなにすごいパティシエだったの!?」
ドラキュラ「食べてくれる人の笑顔を想像しながら作るのが好きなだけで、すごい訳じゃないよ」
嫁様「……」
ドラキュラ「(クスッ)びっくりした?」
嫁様「だって、うちでのあなたはそんな雰囲気全然ないもの」
ドラキュラ「まあ、家ではね」
グラスを空け、新しいワインを注ぐドラキュラさん。
ドラキュラ「…嫁様、ソファー行って飲もうか」
嫁様「? なんでよ」
ドラキュラ「ソファーの方がリラックス出来るでしょ?」
嫁様「ま、それもそうね」
カウンターで飲んでた2人、ソファーに移動します。
ドラキュラ「わし…嫁様には本当に感謝してるんだよ。嫁様と出会ってからはいい事ばかりなんだから」
ワイングラスをテーブルに置くと嫁様に微笑みかけるドラキュラさん。その優しい笑顔に嫁様ドキドキ。
嫁様「わ、私だって同じよ。ボッチだった私があなたと出会って、娘ちゃんが生まれて…憧れだった賑やかな毎日を送れるようになったんだもの。それに…それに頼りないと思ってたあなたが意外と頼れることも判ったし!!」
ラストは嫁様の照れ隠し。そんな嫁様が可愛くて、ドラキュラさんは嫁様の肩を抱き寄せます。嫁様の頭はそのままドラキュラさんの方へ倒れます。
ドラキュラ「嫁様、いつもお疲れ様。そしてありがとう…」
ドラキュラさんのよく響く低い声が嫁様の耳元をくすぐります。
嫁様「あなた…あなたこそいつもお疲れ様、ありがとう。これからもよろしくね」
ドラキュラ「うん、よろしく」
何故かいつもの調子が出ない嫁様。それを不思議に思いつつも、まあこんな日があってもいっか~とドラキュラさんにすり寄ります。
一瞬驚いたドラキュラさんですが、嫁様の髪に口付け、ギュッと抱き寄せます。
甘いクリスマスの夜はこうして更けてゆくのでした。
終
あとがき
お読み下さりありがとうございました。
前回のハロウィン編がハロウィンっぽくなかったような気がしたので今回はクリスマスの雰囲気が出るようにしました。(と思ってるのは私だけかもしれませんが💦)
今回のお話ではチョコっと成長見せる娘ちゃんとドラキュラさんと嫁様のイチャイチャを書いてみたくて書いてたのですが、私の妄想もかなり入ってるので予想以上に長くなってしまいました💦
すみません、でも楽しんでくださると嬉しいです。
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