それぞれのバレンタイン🍫💕【ゆず編】~ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝の外伝~
まえがき
鈴蘭と申します。
毎朝、SNSのClubhouseで今井雅子先生のnote『「ち」に飢えるさみしさードラキュラとあかいチョコレート』『「ち」のつく幸せードラキュラとあかいチョコレート』を読ませていただいてます。
こちらのお話は今井雅子先生の『ドラキュラとあかいチョコレート』と漂流工房さんの『ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝』の世界をお借りした二次創作外伝になります。
『「ち」に飢えるさみしさードラキュラとあかいチョコレート』はこちら。
『「ち」のつく幸せードラキュラとあかいチョコレート』はこちら。
今井雅子先生の短編小説『究極の愛のカタチー膝枕』(通称正調膝枕)はこちら。
漂流工房さんの『ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝』のnoteはこちら。
ーキャラクター紹介ー
ドラキュラ
美男子だけどちょっとドジで結構不幸な目に遭う。
吸血鬼なんだけど基本優しい。嫁様の尻に敷かれる座布団なんだけど結構この立場も気に入ってる。
実はすっごく腕の良いパティシエやってます。
娘ちゃんのパパ。
ゆず
ドラキュラさんと夕日の見える丘で遊んでた子どもの1人。
絵本や物語が好きな内向的でのんびり屋な女の子。
小柄で話す声は小さめ。
ドラキュラさんを最初に「ドラキュラちゃん」と呼んだ。
たくと
ドラキュラさんと夕日の見える丘で遊んでた子どもの1人。
合唱団に入ってる声の大きな男の子。
ゆずが「ドラキュラちゃん」と言って笑われた時、「ドラキュラちゃんにも「ち」が入ってる!」と言った。
ゆずのことは夕日の見える丘で遊んでた頃からずっと好き。
今回のお話は、ふみねぇさんから女の子達がドラキュラさん指導で、お店でチョコレートをワイワイしながら作ってる光景が浮かんできちゃいましたというコメントから作らせていただいたものです。ふみねぇさん、素敵なシチュエーションをご提案くださりありがとうございました。
まえがきが長くなり失礼しました。
それでは、本編スタート。
鈴蘭作 それぞれのバレンタイン🍫💕【ゆず編】~ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝の外伝~
お正月も過ぎ、冬休みも終わりが近づいてきました。
早めに冬休み中の課題を済ませていたゆずは、明日から始まる3学期の準備をしていました。
スマホからLINEの着信音。
【夕日の丘のみんな:女子】のグループLINEになぎさが何か書き込んだようです。
なぎさ『今日、ドラキュラちゃんのお店に行ったら、レジのお兄さんにバレンタインに向けてのチョコレート教室があるって教えてもらったの。手作りチョコレートの作り方とか、色々教えてくれるんだって。』
ゆず『それってドラキュラちゃんが作り方教えてくれるってこと?』
なぎさ『そうみたい。あたしはお得意様だからって教えてもらった』
りん『でも、ドラキュラちゃんに教えてもらうんならお金かかるんじゃないの?』
なぎさ『それが無料でいいみたい。材料費はいるみたいだけど』
ひな『夕日の丘の子ども特典とかやったりしてな(笑)』
なぎさ『そんなこと言ってなかったよ。4人までなら友達連れてきても大丈夫って言われたんだけど、バレンタインデーのチョコ、手作りしたい人いる?』
手作りチョコレート…。クッキーはよく作るけど、チョコレートって作ったことない。
ドラキュラちゃんが教えてくれるなら作ってみようかな。
ゆず『…私、作ってみたい』
ひな『うちもうちも』
みゆき『私も』
りん『私も作りたい』
なぎさ『みゆきちゃん、ひなちゃんレッスン大丈夫?』
ひな『ええって。たまには女の子らしいこと、やりたいし』
みゆき『私も。手作りチョコレートの作り方、気になるし』
なぎさ『よかった。じゃあ、お店に伝えるね。明日14時にお店に集合だよ』
明日の14時ドラキュラちゃんのお店と手帳に記すと、準備を済ませベッドに潜り込みました。
ドラキュラちゃんのお店かぁ…。久しぶりにドラキュラちゃんに会えるの嬉しいな。
ゆずは、再会した時のドラキュラさんを思い出しました。
後ろ姿だったから最初は本人かどうか分かんなかったけど、ホール係のお兄さんとお話してる時のあの笑顔、夕日の丘で遊んでた時のままだったから、つい声かけちゃったんだっけ。
あれからお店には行ってないから本当に楽しみ…。
次の日。
学校から帰って来たゆずは、ドラキュラさんのお店へ急ぎます。
ゆず「あ、もうすぐ14時だ。走っても間に合わないかも」
ゆずが走り出そうとした時、向こうから自転車が来ます。乗ってるのは…。
ゆず「たくとくん!!」
たくともすぐ気づき、ゆずの前まで来ます。
たくと「ゆずちゃん、なんか急いでる?」
ゆず「うん、ドラキュラちゃんのお店に14時までに行かなきゃいけないの。でも時間間に合わないかも」
たくと「ドラキュラちゃんのお店ってどこだっけ?」
ゆず「駅のすぐ近く」
たくと「ここから駅までかなり遠いじゃねーか!とりあえず駅まで送るわ、乗って!」
ゆず「え、でも…たくとくんも用事あったんじゃ…」
たくと「俺は大丈夫だから!はい、これ被って!」
たくとからヘルメットを渡され装着するゆず。
たくと「ゆずちゃん、乗った?」
ゆず「う、うん」
たくと「じゃ、行くよ。飛ばすからしっかり掴まってて!」
そう言われても、自転車の2人乗りなんてしたことないゆずはどこに掴まっていいのか分かりません。
ゆず「え、え~と…こう?」
ゆずは、たくとの上着を申し訳程度につまみます。
たくと「違う!こう!!」
ゆずの両手を掴み、自分の腰に巻きつけます。
ゆず「え?え?」
狼狽えるするゆずに
たくと「本気で飛ばすから。落ちないようにしっかり掴まっててくれよ」
ゆず「う、うん。お願いします」
最初は抱きつくのが恥ずかしかったゆずですがたくとが走り出すとあまりの速さに慌てて抱きつき直します。暫く走ってるとやっと落ち着いてきて、たくとの背中に頬を寄せました。
たくとくんの背中、温かくて気持ちいい…。
たくとのお陰で14時5分前に駅に到着しました。
ゆず「たくとくん、ありがとう。そこの角のお店がドラキュラちゃんのお店なの。」
たくと「礼はいいから、早く行けって」
ゆず「うん、いつも本当にありがとう」
少し慌てて歩いていくゆずを見送るたくと。
たくと「とりあえず間に合ったな、よし行くか」
たくとは本来の目的地に向かって走り出します。
目的地に着くと双子の兄のあるとが待っていました。
あると「やあ、たくと。随分ゆっくりだね」
たくと「わりぃ、あると!途中でゆずに会ったんだ」
あると「遅刻の原因は、やっぱりゆずちゃんだったか。ま、予想してたけど。…にしても連絡くらいしなよ。僕だったからいいけど」
たくと「ドラキュラちゃんの店に14時までに着かなきゃいけねぇのに、あいつのんびり歩いててさ。店の近所まで送ってきたんだよ。連絡するの忘れてたわ、ごめん!」
あると「次はペナルティつけるからね」
たくと「え~!?勘弁してくれよ~」
ゆずがお店の扉を開けると、もうみんな来ていました。
ゆず「遅くなってすみません」
ドラキュラ「まだ14時になってないから大丈夫だよ。ゆずちゃん、ココア淹れてあげるね」
ドラキュラさんは厨房に行ってしまいました。
なぎさ「ゆずちゃん遅かったね」
ゆず「先生の手伝いしてて帰るの遅くなったの。帰ってからすぐ来たんだけど、家出るのも遅かったみたいで」
なぎさ「連絡してよ、そういう時は」
ゆず「うん、ごめんね。今度からそうする」
りん「よく間に合ったわね」
ゆず「途中でたくとくんに会ったの。時間に間に合わないかもって言ったら自転車で送ってくれたんだ」
みゆき「自転車の2人乗りって違反じゃなかったっけ?」
ゆず「え?そうなの?」
りん「道路交通法では原則違反ね」
ゆず「それってヘルメット被ってても?」
りん「ヘルメット被るのは当たり前。幼児用の椅子とか複数人乗れるタンデム車ならOKだけど、普通の自転車はダメ。罰金もあるみたいよ」
ゆず「そうなんだ、知らなかった」
ひな「お巡りさんに見つからなくてよかったな」
ゆず「うん…」
たくとくん、知らなかったのかな?
なぎさ「そもそもなんで歩いてきたの?自転車は?」
ゆず「それが…お母さんがお買い物行くのに乗ってったみたいで帰ってきたらなかったの。お母さん、普段はネットスーパーでお買い物してるし、車でのお買い物ばかりだから、まさかお母さんに自転車使われてるとは思わなかったの」
ひな「このタイミングで乗ってかれたんか~。ゆずちゃん可哀想すぎる~」
みゆき「たくとくんに会えてよかったね」
ゆず「うん。たくとくん、いつも助けてくれるんだ。だからお礼したいんだけど…」
なぎさ「そういうことなら、2月14日ってうってつけなんじゃないかな」
ゆず「え?どうして?」
なぎさ「あるとくんとたくとくんの誕生日は2月14日だから」
ゆず「そうなの?知らなかった」
りん「だったら、たくとくんにお誕生日のプレゼントとして渡すのもありなんじゃない?」
そっか。たくとくんのお誕生日ってバレンタインなんだ。じゃあ、いつもフォローしてくれるお礼の気持ちも込めてチョコレート作ってみようかなぁ。
そこへドラキュラさんが入ってきました。
ドラキュラ「遅くなってごめんね、ココアどうぞ」
ドラキュラさんは全員分のココアを淹れてきたのでした。
ドラキュラ「じゃあ、始めようか。ココア飲みながら聞いてね」
ココアを飲みつつ、ドラキュラさんの説明を聞きます。
ドラキュラちゃんの説明、分かりやすいな。
ドラキュラ「今日はこの辺で終わろうか」
みんな「ありがとうございました!」
みんな帰り支度をしてさっさと帰ってしまいました。ゆずも帰ろうとした時ー
ドラキュラ「ゆずちゃん、まだ時間大丈夫かな?もう少し喋らない?」
ドラキュラさんと話したかったゆずは、ソファーに座り直しました。
ドラキュラ「ゆずちゃんはどうして参加してくれたんだい?」
ゆず「私、クッキーはよく作るんだけど手作りチョコレートって作ったことないんです。で、ドラキュラちゃんが教えてくれるってなぎさちゃんに聞いて…手作りチョコも作ってみたかったし、ドラキュラちゃんに教えてもらいたかったので参加しました」
ドラキュラ「そうか…ゆずちゃんって好きな人、いる?」
ゆず「う~ん、いないかも」
ドラキュラ「そうなんだね、じゃあ気になる人は?」
気になる人…だったら、たくとくんかなぁ。
いつも気にかけてくれてるし助けてくれるし…。
ドラキュラ「気になる人のこと想いながら作ると、きっと美味しいチョコレートになると思うよ」
そうなんだ。だったら、手作りチョコレートはたくとくんのために作ろう。
ドラキュラ「引き止めてごめんね、また明日おいで」
ゆず「いいえ、ドラキュラちゃんとお話出来て楽しかったです。また、明日よろしくお願いします」
扉を開けると、辺りは薄暗くなっていました。
ドラキュラ「わ、結構暗くなってるね。ゆずちゃん、送ろうか?」
たくと「ドラキュラちゃん、大丈夫っすよ!俺が送るんで」
大丈夫ですと答えようとしたゆずの後ろから、たくとの声が聞こえました。振り返ると、自転車を停めて、壁に寄りかかっているたくとがいます。
ゆず「たくとくん、来てくれたの?」
たくと「たまたまだよ。さっきこの店の前通った時、ゆずちゃんが見えたから待ってたんだ」
ドラキュラ「たくとくんが送ってくれるなら大丈夫だね、じゃ、よろしく。ゆずちゃん、また明日」
ゆず「はい。ありがとうございました。また明日よろしくお願いします」
ドラキュラさんは暫く2人の後ろ姿を見ていましたが、ホール係のお兄さんに呼ばれ、店内に戻っていきました。
ゆず「たくとくん、待っててくれてありがとう。思ったより外暗くてびっくりした。」
たくと「この暗さだとゆずちゃん1人じゃ危ねぇから。ところで、ドラキュラちゃんのお店で何してたの?」
ゆず「内緒。それより、たくとくんは自転車の2人乗りはやっちゃダメって知ってた?」
たくと「知ってるよ。でも今日は特別。ゆずちゃん困ってたでしょ。あの時の選択肢は俺が送るしかなかった。それにこの道が人通りが殆どないことも知ってたし。遅い時間に女の子1人で歩く道じゃない」
やっぱり知ってたんだ。
なのに猛スピードで送ってくれて、帰りも…。
でも、この時間まだそんなに遅い時間でもないような…。
ゆずちゃん「たくとくん、ありがとう。でもそんなに遅い時間じゃないよ?まだ17時だよ」
たくと「冬のこの時間は結構暗いよ。さっきゆずちゃんもびっくりしてたじゃないか。それにこの辺は外灯も少ないから、犯罪が多い場所として有名なんだ」
ゆず「そうなの?」
全然知らなかった…。
たくと「その顔は知らなかったって感じだね」
ええっ!?なんでバレたの???
たくとに見透かされて、ゆずは慌ててしまいます。
…可愛い。抱きしめたくなるけど我慢我慢。
たくとは、はやる気持ちを抑え、ゆずに微笑みかけました。
その後、20分程歩いてゆずの家に着きました。
ゆず「たくとくん、送ってくれてありがとう」
たくと「どういたしまして。じゃ、またな」
走り去るたくとの姿が見えなくなるまで見送るゆずでした
たくとくん、本当にいい人だなあ。
私も手作りチョコ頑張ろう。
自転車で走りながら、たくとは今日の出来事を思い返していました。
お昼にゆずに会ったのは本当に偶然だったんだけど、泣きそうなあの顔見たらとてもじゃないけどそのまま行くなんて出来なかった。
交通ルール無視してしまったけど、時間通りにゆずを送れたからいいや。
…それに。
たくとは、2人乗りしてた時のことを思い出しました。
あの時は間に合わせるのに必死だったから何も考えずに走ってたけど、俺、ゆずに抱きつかれたんだよな(注:彼女は落ちないように必死でしがみついていただけです)
背中に彼女の呼吸を感じて、ちょっとドキドキだった。
帰りもドラキュラちゃんの店覗いたらまだいたから待ってたんだけど、30分くらい待つことになるとは思わなかったな。
ドラキュラちゃんの店で何やってたんだろ。
内緒って言われると気になるんだよなぁ。
外出た時に薄暗くなってるのにびっくりしてたのに1人で帰ろうとしてたし、治安の悪さにも無頓着だったし…。
ゆずって危なっかしいんだよな。放っておけない。
ドラキュラちゃんみんなで起こした時、最初にドラキュラちゃんって言ったのはゆずだった。
あの時、みんなが笑ってる間、ゆずの顔は今にも泣きそうで…。
つい、「ドラキュラちゃんにも「ち」が入ってる!」って言ってしまったんだよな。あの時から俺の気持ちは変わっていない。
…ずっとゆずだけを見てきた。
幼稚園のクリスマス会の特訓の帰り道に言ったドラキュラちゃんの店に2人で行きたいって言ったのも本気だったけど、気持ちは伝わらなかったようだ。
もっと積極的にアピールした方がいいんだろうか…。あるとに相談してみるか。
次の日。
ドラキュラちゃんのチョコレート教室では女の子達の賑やかな声が聞こえてきます。
チョコレートを削ったりお湯の温度を確かめたり、ナッツやドライフルーツをトッピングしたり…。
ゆずもみんなと一緒に楽しく作っています。
毎日続けているうちに色々なチョコレートを作れるようになってきました。
そして、ゆずはたくとに生チョコを使ったトリュフを贈ることに決めたのでした。
ゆず「ドラキュラちゃん、出来たよ。味見お願いします」
ドラキュラ「うん、甘すぎなくて美味しいよ」
いよいよ明日はバレンタインデー。
ゆずは最後の味見をドラキュラさんにお願いしていました。
ゆず「よかった!」
ドラキュラ「チョコレートはこれでOK。ラッピングしていこう」
ゆず「はい!」
ゆずがラッピングを仕上げると、みんなもラッピングを終えていました。
ドラキュラ「チョコレートは鞄に入れたかな?じゃ、チョコレート教室最後のお茶会をしよう」
みんな紅茶を飲みながらお喋りに夢中です。
チョコレート教室楽しかったな。ちゃんとチョコレート作れたし。
紅茶を飲んでるゆずの元にドラキュラさんが来ました。
ドラキュラ「ゆずちゃん、お疲れ様。生チョコトリュフすごく美味しかったよ」
ゆず「ドラキュラちゃん、ありがとう。勉強になったしチョコレート作り、すごく楽しかったです」
ドラキュラ「それはよかった。ゆずちゃんのチョコレート、きっと喜んでもらえるよ」
ゆず「そうだといいなあ」
その日はいつもより早めに解散となりました。
バレンタイン当日。
登校中、ゆずはたくとと会います。
ゆず「たくとくん、おはよう」
たくと「ゆずちゃん、おはよう」
ゆず「たくとくんとあるとくんは今日がお誕生日なんだよね?おめでとう」
たくと「そうだよ。ありがとう、ゆずちゃん」
ゆず「でね、渡したいものあるから、学校終わったら一緒に夕日の見える丘にいかない?」
たくと「わかった。正門で待ってる」
ゆずは走っていってしまいました。
たくと「誕生日プレゼント準備してくれたのか。今から放課後が楽しみだ」
放課後。
ゆずとたくとは夕日の見える丘に来ていました。
綺麗な夕日を見に来る人でかなり賑わっていましたが、2人が遊んでた場所には誰もいません
。
ゆず「たくとくん、改めてお誕生日おめでとう!これ、私からのプレゼント」
渡されたペーパーバッグの中には楕円形の箱が入ってて、蓋を開けるとトリュフが8つ並んでいます。
たくと「…これ、ゆずちゃんが作ったの?」
ゆず「うん…ドラキュラちゃんに教えてもらって初めて作ったの…どうかな?」
ドラキュラちゃんの店に通ってたのはそういうことだったのか。
トリュフを1つ摘まんで口に放り込みます。
たくと「うまい!!」
ゆず「手作りチョコって初めて作ったから不安だったんだけど…よかった」
嬉しそうにゆずが微笑みます。
たくと「ゆずちゃん俺の誕生日知らなかったよね?」
ゆず「なぎさちゃんが教えてくれたの」
たくと「このチョコレートって誕生日プレゼント?」
ゆず「ううん、それだけじゃなくてバレンタインのチョコレートでもあるの。チョコレート作る時にね、ドラキュラちゃんが贈る人のことを想いながら作ると美味しいチョコレートになるって教えてくれたんだ。だから私、たくとくんのこと、いっぱい考えて作ったの」
ゆずはたくとを真っ直ぐ見つめて言葉を続けます。
ゆず「たくとくんはここで遊んでた時から、ずっと私のこと気にかけてくれてたよね。そしていつも優しく寄り添ってくれた。それがすごく嬉しかったから、チョコレートでその気持ちを伝えようと思ったの」
たくと「…」
ゆず「たくとくん、いつもありがとう」
たくと「俺はドラキュラちゃんと会う前からゆずちゃんが好きだったよ。いつだって君だけを見てきた。今もそうだよ。これからも君の隣で守りたい。俺とつき合って欲しい。ゆずちゃん、好きだ」
ゆずの顔がどんどん赤くなっていきます。
ゆず「わ、私…たくとくんは最初はいいお友達だと思ってたの。でも、いっぱい助けてもらったりフォローしてもらってるうちに、私の中で友達よりももっと大切な気になる人になった」
たくとを見つめながらゆずは話します。
ゆず「私もたくとくんが好きです…」
その瞬間、ゆずはたくとに抱きしめられてました。
たくと「こんなに嬉しい誕生日は初めてだ!!」
ゆず「たくとくん…」
たくと「これからはカレカノとしてよろしく、ゆず」
ゆず「よろしくお願いします、たくとくん」
たくとはクスッと笑い、ゆずの頭を撫でます。
たくと「これからは、たくとって呼んで」
数日後ー
ゆずとたくとがドラキュラさんのお店に来ました。たくとは念願のゆずとの初デートなので嬉しくてたまりません。
ドラキュラ「やあ、いらっしゃい。待ってたよ」
ゆず「待ってた?」
ドラキュラ「君が次来る時は、きっとたくとくんと一緒だろうと思ってたんだ」
ドラキュラさんはオーダーのケーキセット2つをテーブルに置くと行ってしまいました。
たくと「ドラキュラちゃんには未来が見えてたのかな」
ゆず「そうなのかも」
ドラキュラちゃん、ありがとう。
終
あとがき
お読みくださりありがとうございました。
こちらのお話は、今井雅子先生の『「ち」に飢えるさみしさードラキュラとあかいチョコレート』『「ち」のつく幸せードラキュラとあかいチョコレート』に登場する夕日の見える丘でドラキュラさんと遊んでいた子ども達を、オリジナルキャラクターとして作らせていただいたものです。
夕日の見える丘の子ども達と漂流工房さんのドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝のキャラクターの娘ちゃんが幼稚園で一緒にクリスマスパーティーを楽しむお話も少し前に書かせていただきました。
幼稚園のクリスマス会🎄🎅🎁🔔あの丘の子ども達と一緒に🎶~ドラキュラとあかいチョコレート二次創作外伝の外伝~はこちら。
今回はゆず編として書かせていただきました。
タイトル画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。
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