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ドラキュラさんバルーンアートにチャレンジ~ドラチョコ二次創作ショートストーリー外伝の外伝~

こちらのお話は、今井雅子先生の『「ち」に飢えるさみしさードラキュラとあかいチョコレート』と漂流工房さんの『ドラチョコ二次創作外伝シリーズ』の二次創作で、私が前回公開した『ハロウィンパーティー編🎃ドラチョコ二次創作外伝の外伝』の続編です。

今井雅子先生の『「ち」に飢えるさみしさードラキュラとあかいチョコレート』はこちら。

そして11月4日にビター編の続編『「ち」のつく幸せードラキュラとあかいチョコレート「ビタースイート篇」』を公開されました。

漂流工房さんのドラチョコ二次創作外伝シリーズの最新作、『ハロウィン編』がこちらです。

今井雅子先生、漂流工房さん、ありがとうございます。
それでは…本編スタート


鈴蘭作 ドラキュラさん、バルーンアートにチャレンジ~ドラチョコ二次創作外伝の外伝~


娘ちゃんのハロウィンパーティーの保護者の余興で、大盛況だったドラキュラさんのバルーンアート。
色んなバルーンアートを作り出すドラキュラさんに、こども達は大興奮。パパママ達も、鮮やかなドラキュラさんのパフォーマンスに目を奪われ、余興の時間の中でも一番盛り上がったのでした。

ドラキュラ:「はあ~…なんとか終わった。準備大変だったけど、みんなに喜んでもらえて本当によかった。これも、漂流師匠のお陰だな」

星が輝き始めた空を見上げ、ドラキュラさんは嫁様の元へ歩きだします。


 始まりは1ヶ月前。
嫁様から渡された、幼稚園からのハロウィンパーティーのお知らせから、話は始まります。

ドラキュラ:「え、ハロウィンパーティー?」

嫁様:「そう、来月の第1土曜日に娘ちゃんの幼稚園でハロウィンパーティーがあるんですって」

ドラキュラ:「ハロウィンパーティーって、何するの?」

嫁様:「こども達は、ハロウィンだから『ドラキュラーだぞ』っていう絵本を劇にして上演するそうよ。
で、ママは衣装作って、当日はこども達に配るお菓子を持ってきてくださいだって」

ドラキュラ:「そうなんだ」

嫁様:「衣装はすぐ作れそうなんだけど、お菓子はまだ何作るか決めてないの。
あなたに手伝ってって、お願いするかも」

ドラキュラ:「いいよ。困ったらいつでも言って」

嫁様:「それから後は…(プリント見て)余興の時間もあるんですって。こども達の劇が終わってから、1時間くらい。これは希望者のみ、みたいなんだけど…
あなた、やってみない?」

ドラキュラ:「いいけど…何すればいいの?」

嫁様:「そこは、あなたに任せる」

ドラキュラ:「ええ~…何にも思いつかないんだけど」

嫁様:「シャラップ!劇の練習頑張ってる娘ちゃん達が、喜んでくれそうなの、お願いね」

ドラキュラ:「う~ん、わかった」


 嫁様のムチャ振りに困り果てたドラキュラさん。

ドラキュラ:「何も思いつかない…どうしよう」

どうしていいかわからないドラキュラさんの頭に、フッと1人の人物が浮かび上がります。

ドラキュラ:「あ、こういう時こそ漂流工房さんの知恵を借りよう。自称役に立たない無駄知識って言ってるし、きっと助けてくれるはずだ」

早速、電話をかけるドラキュラさん。
プルルルル、プルルルル、プルルルル…
ピッ

漂流:「もしもし…ああ、ドラキュラさん!久し振り~!!元気?」

ドラキュラ:「もしもし、漂流さん、お久しぶりです。ちょっと相談したいことが…いいですか?」

漂流:「いいよ~」

ドラキュラ:「来月の第1土曜日に、娘ちゃんの幼稚園でハロウィンパーティーがあるんです」

漂流:「へえ~、今は幼稚園でハロウィンパーティーなんてやるんだ」

ドラキュラ:「ええ。それでこども達の劇の後、保護者による余興の時間があるらしいんですが何をやったらいいか…全く思いつかないんですよ」

漂流:「なるほど。それで私に電話してきたんだね」
 
ドラキュラ:「そうなんです。何かいいアイデアないですか?」

漂流:「う~ん、余興ね…そうだな~…紙のブーメランをこども達に作ってもらうのとかは?」

ドラキュラ:「それは、こども達が投げるから危ないし、幼稚園児なんだから作るのに時間かかるだろ!」

漂流:「それもそうか。それじゃあ…バルーンアートとかは?」

ドラキュラ:「バルーンアート?なにそれ?」

漂流:「あれ、知らなかった?細長いゴム風船を膨らませて、それをねじることでいろんな形が出来るんだよ」

ドラキュラ:「それの写真見れる?写真あるなら送ってくれるか?」

漂流:「いいよ~、画像検索したら、プロの作品見れるけどね」

写真を見たドラキュラさん。

ドラキュラ:「こ、こんな複雑なの、難しすぎる」

漂流:「それはプロの作品。素人がそんなもん作れる訳ないだろ。簡単なやつにしろって。
え~と…簡単なのは、剣とかハチマキとか犬とかだな」

ドラキュラ:「作り方見たけど、犬なら作れそうだぞ!!」

漂流:「犬がいいんじゃないか?長さを変えたらプードルやダックスフントも作れるよ」

ドラキュラ:「それだ!犬にする!」

漂流:「それじゃ、今度遊びにおいで。道具貸してやるから、練習してみな」

ドラキュラ:「めっちゃ助かる!ありがとう!!」

数日後。漂流工房さんのお家を訪ねたドラキュラさん。

ドラキュラ:「こんにちは~!漂流さん、よろしくお願いします」

漂流:「やあ、いらっしゃい。さ、入って」

リビングに通されたドラキュラさん。テーブルには風船やいろんな道具が置いてあります。

ドラキュラ:「うわ~…」

漂流:「あ、ドラキュラさん、爪切ってきたかい?」

ドラキュラ:「うん!言われた通り切ってきた」

漂流:「OK。それじゃあ、まずはバルーンアートの基本ね」

ドラキュラ:「はい、よろしくお願いします!!」

漂流:「爪を切ってもらったのは、引っ掛かって風船が割れる時があるからなんだ。キレイに切ってもらったら大丈夫だとは思うけど、不安なら薄い手袋するのでもOKだよ」

ドラキュラ:「了解です!漂流師匠!!」

漂流:「いや、師匠じゃないから(苦笑)
まずは、バルーンアートの基本ね。
風船の空気は大体7割くらいまで。入れすぎると風船割れるから」

ドラキュラ:「押忍(おす)!!」

漂流:「そんな言葉、どこで覚えたんだよ。
まぁいいか。まずは…曲げたい場所の所は左手の親指と人差し指でキュッと締めて、細くなった所を右回りにねじる。ねじる時は、必ず同じ方向にねじること。右回りと左回りをごっちゃにすると、ねじったのが戻る時があるんだ。
ねじる時は、ねじる部分を引っ張るようにねじって。こうすると、風船同士が擦れて割れにくくなる」

話しながら実演してくれる漂流工房さん。その手際の良さにドラキュラさんが見惚れてると…

漂流:「ドラキュラさんもやってみて」

ドラキュラ:「で、出来るかな…」(ドキドキ)

風船を膨らませるも、パンッ!!風船は破裂してしまいました。

ドラキュラ:「わ、割ってしまった…」(ガックリ)

漂流:「初めてなんだから仕方ないよ。それに風船はいっぱいあるから。ちょっと練習しよう」

暫く風船を膨らませる練習を続けるドラキュラさん。いくつか割ってしまったけど、やっと風船に空気を入れられるようになってきました。

ドラキュラ:「よーし、割れなくなってきたぞ」

漂流:「うんうん、いいね。じゃ、右回りにねじってみて」

ドラキュラ:「こう…かな?」

今度は割れることなくすんなり出来ました。

漂流:「OK。これで基本はマスター出来たかな。じゃ、次ね。まずは犬の作り方からいこうか」

ドラキュラ:「押忍(おす)!!」

漂流:「だから、それやめろって(笑)
作り始めは、空気を入れた口元の方から」

ドラキュラ:「そうなんだ」

漂流:「プードルを作る時は空気の量は半分くらいかな。最初に鼻になる部分をねじる。
鼻は丸いボールくらいになる長さにすると、プードルっぽくなるよ。
で、鼻の所から7cmぐらいでねじって。そこから更に7cmぐらいでねじる。これで丸~7cm~7cm~残りの出来かけのソーセージみたいなのが出来る。
これから7cmと7cmの間を半分に折って。
そうすると、丸のねじった所と残り部分のねじれてる所が同じ場所に来るから、今度は7cmを2本まとめて持ってねじってね」

ドラキュラ:「む、難しい……(汗)」

漂流:「大丈夫、ちゃんと出来てるよ~。
これで、顔完成ね。
この部分が基本で重要なんだよ」

やっとプードルの顔を完成させたドラキュラさん。

ドラキュラ:「な、なんとか出来た…」

漂流:「うん、上出来。じゃあ、ちょっと休憩しようか。ドラキュラさんはトマトジュースでいいかな?」

ドラキュラ:「うん、ありがとう」

漂流:「持ってくるまでバルーンアートの動画でも見てて~」

漂流さんが出ていくと、バルーンアートの動画を視聴するドラキュラさん。

ドラキュラ:「すごいなぁ。わしも本番まで頑張って練習しよう」

食い入るように動画を観てると、コーヒーとトマトジュースを載せたトレーを持って漂流工房さんが戻って来ました。

漂流:「お待たせ~。お、熱心に観てるね~」

ドラキュラ:「こんな複雑そうなのに、作ってる人めっちゃ簡単そうに作ってるなあ」

漂流:「そりゃプロだからね~(笑)」

ドラキュラ:「バルーンアートって初めてやってみたけど楽しいね。もっと練習頑張るよ
漂流師匠、ありがとう!!」

漂流:「その意気だよ~、頑張ってね~。
あと、私師匠じゃないから(苦笑)
あ、そうだ。ハチマキも教えてあげるね~」

コーヒー飲み終えた漂流さん、ささっとなにやら作り始めましたが…

スパーン!!

ドラキュラ:「それはいらん!!!」

ハリセンで漂流工房さんをしばいた(叩いた)ドラキュラさんでした。

漂流:「いったいな~!!どっから出したんだよ、そのハリセン」

ドラキュラ:「わしの懐」

漂流:(あんなの、持ってたっけ?)←漂流工房さんの心の声


そろそろ帰る時間です。

ドラキュラ:「漂流師匠、ありがとうございました!!」

漂流:「だ~か~ら~、私は師匠じゃないっての(苦笑)
ハロウィンパーティー、頑張ってね~
またわからないこととかあったら、連絡して」

帰りに材料を買ったドラキュラさん。

ドラキュラ:「よーし、練習頑張るぞ~!!」

こうして、バルーンアートを教えてもらったドラキュラさん、毎晩練習に明け暮れるように。
そんな旦那様の様子にいち早く気づいた嫁様。

嫁様:「最近、ず~っと部屋に籠りきりなのよね。気になるけど、とりあえずやることやってしまわないと」

娘ちゃんの劇の衣装はさっさと仕上げたもののこども達に渡すお菓子のアイデアが中々思いつかない嫁様は、ドラキュラさんに相談することに。

嫁様:「あなた、ちょっといい?」

ドラキュラ:「なんだい?」

嫁様:「実は…こども達に渡すお菓子、思いつかなくて」

ドラキュラ:「今回は劇の主人公はドラキュラだよね?だったら赤いチョコレートとか…嫁様、レシピ持ってるよね?」

嫁様:「あ、それいいね!うん、持ってるわ。
じゃあ、それ作る!!」

ドラキュラ:「後はウサギファミリーとか木、棺とか話に出てくるキャラクターのクッキーとかどう?で、チョコレートとクッキーをセットにしてこども達に渡す、みたいな」

嫁様:「うん、明日100均行ってラッピング用品買ってくるわ。ありがとう、あなた」

ドラキュラ:「どういたしまして」

嫁様:「…ところで」

ドラキュラ:「ん?」

嫁様:「最近、徹夜が続いてるみたいね。
目の下のクマ、すごいわよ」

ドラキュラ:「そう?元々だと思うけど…」

嫁様:「あと、あなたの部屋から時々パンッて音が聞こえてくるのよね。さあ、毎晩何やってるか白状しなさい」

ドラキュラ:「バルーンアート」

嫁様:」え?バルーンアート?」

ドラキュラ:「うん、ハロウィンパーティーの余興の」

嫁様:「あ、バルーンアートに決めたのね」

ドラキュラ:「うん。実は、漂流さんに相談したら、バルーンアート勧められてね」

嫁様:「漂流さん?…あ、キャンプに詳しいあの人?」

ドラキュラ:「そうそう、自分で考えたんだけど思いつかなくて漂流さんに電話したんだ」

嫁様:「あ~、それでこの前のお休みの日に出かけてたのね。どこに行ったんだろって思ってたのよ」

ドラキュラ:「言ってなかったっけ?」

嫁様:「うん、いそいそ出かけていったでしょ」

ドラキュラ:「黙って出かけてごめん」

嫁様:「いいわよ、気にしてないから」

ドラキュラ:(そこは気にして欲しい…)←ドラキュラさん心の声

嫁様:「で、作れるようになった?」

ふっと不敵な笑顔を見せるドラキュラさん。

ドラキュラ:「…見てて」

あっという間にトイプードルを作り上げるドラキュラさん。嫁様に渡します。

ドラキュラ:「はい、どうぞ」

嫁様:「あ、ありがとう…わぁ、トイプードルね
よくできてる。可愛い…」

しっかりした造りのトイプードルを抱きしめる嫁様。

ドラキュラ:(嫁様の方が可愛い…)←ドラキュラさん心の声

嫁様:「もう完璧じゃない、すごいわ」

ドラキュラ:「いや、まだだめなんだよ」

嫁様:「え?そうなの?」

ドラキュラ:「うん。ハロウィンパーティーまでにもっと練習しなきゃね」

嫁様の腕の中のトイプードルを軽く撫でるドラキュラさん。

ドラキュラ:「嫁様こそ、忙しそうだね。
お菓子作り、手伝おうか?」

嫁様:「ううん、大丈夫よ。それより、バルーンアートって面白そうね。私も作りたい」

ドラキュラ:「教えようか?」

嫁様:「いいの?」

ドラキュラ:「うん、娘ちゃん寝かしつけたら、わしの部屋に来て。教えてあげるから」

夜、娘ちゃんを寝かしつけた嫁様、ドラキュラさんの部屋へ。

コンコン

ドラキュラ:「どうぞ」

ドアを開けると、ドラキュラさんが何かをつくっていました。

嫁様:「お疲れ様。娘ちゃん寝かしつけてきたわ」

ドラキュラ:「お疲れ様。じゃあ、始めようか
座って」


漂流工房さんに教えてもらった通りに、嫁様に丁寧に教えます。

ドラキュラ:「そうそう、嫁様飲み込み早いな」

嫁様:「ありがとう。これで顔が完成ね

ドラキュラ:「うん。次は胴体ね。
まだ作ってない方で首を作るよ。ココは短くつまんでねじって。短く作るとプードルっぽくなるんだ」

嫁様:「こう?」

ドラキュラ:「そうそう、次はね…前足。
前足も5cm~5cmを作って二つ折り。
胴体と首の部分をねじれば前足完成だよ」

嫁様:「……出来た!」

ドラキュラ:「さすが嫁様だね。仕上がりもいい感じだ。前足と同じ様にねじれば後ろ足も完成」

嫁様:「出来た。うん、大分犬っぽくなってきた」

ドラキュラ:「ラストは尻尾ね。風船の先の細くなってる部分、分かる?お尻部分にある空気をこの風船の先に移動させるんだ。
こうすると、尻尾の先が丸いデザインになるからプードルらしくなるんだよ」

嫁様:「……出来たわ!!」

ドラキュラ:「嫁様すごいな。初めて作ったとは思えないよ」

テーブルの上には、可愛らしいトイプードルが載っていました。

ドラキュラ:「これでトイプードル完成」

嫁様:「バルーンアート、楽しい!!」

ドラキュラ:「同感。師匠の教え方が上手なのも勿論なんだけど、嫁様の飲み込みが早かったから思ったより時間かからなかったな。
あと、もっとプードルらしく見せる技も教えてもらったんだけど…」

嫁様:「それも教えて!!」

ドラキュラ:「それは当日に披露するから。
あ、もうこんな時間か。
遅くなってごめん。
おやすみ、嫁様」

時間は24時を過ぎてたので、嫁様は寝室へ。


そして、どんどんハロウィンパーティーの日が近づき、いよいよ明日はハロウィンパーティー。

嫁様:「娘ちゃん、忘れ物はない?絵本や衣装、ウサギカチューシャは鞄に入れた?」

娘ちゃん:「うん、全部入れたよ~」

娘ちゃんの鞄の中を覗く嫁様。

嫁様:「うんうん、ちゃんと入ってるわね。
じゃあ、寝ましょうか。娘ちゃんの好きな絵本読んであげる」

娘ちゃん:「絵本持ってくる~!!」

本棚に走っていった娘ちゃん、すぐ2冊抱えて戻って来ました。

娘ちゃん:「ママ、これとこれ読んで~」

嫁様:「OK。『わにのだんす』と『イジラとクルカ』ね。さ、お布団に入って」

布団に潜り込んだ娘ちゃんの横で、嫁様が
『わにのだんす』を読み始めます。
最初は楽しそうに聞いていた娘ちゃんでしたが、読み聞かせが終わる頃には気持ち良さそうに眠っていました。

嫁様:「よし、寝かしつけ完了。
さ、明日の準備しなきゃ」


ハロウィンパーティー当日。

娘ちゃん:「パパ、ママ、おはよ~」

いつもは中々起きない娘ちゃん、今朝はいつもより早く起きてきました。

嫁様:「娘ちゃん、おはよう。早起き出来たね
えら~い!」

ドラキュラ:「おはよう、娘ちゃん
今日はいい天気だよ。ハロウィンパーティーにぴったりだね」

娘ちゃん:「うん!!パパ、ママ、ハロウィンパーティー来てね!」

嫁様:「勿論!娘ちゃんの弟うさぎ楽しみだわ」

ドラキュラ:「そろそろご飯食べないと遅れるよ?朝ごはんはおにぎりだよ」

ドラキュラさんが差し出したお皿には、小さな俵型のおにぎり2個くっつけたのが2つ。三角の形に切られたライスペーパーがのっかってるのと、三角の味付け海苔がのっかっている不思議な形のおにぎりです。

娘ちゃん:「ママ、このおにぎりの形、いつもと違うね」

嫁様:「これはね、この間の秋キャンプに一緒に行った膝ママ。膝ママ、可愛かったよね。
白のスカートと黒のスカートの膝ママを作ってみたの」

娘ちゃん:「あ~膝ママ!!すっごいそっくりだね、ママ。でも食べるのちょっと可哀想かも」

嫁様:「そんなこと言わないで食べてみて。
美味しいから」

娘ちゃん:「それじゃあ、いただきま~す!
…あ、おいし~!!」

嫁様:「でしょ~。タコさんウインナーと卵焼きも食べてね」

賑やかなドラキュラさん家の朝ごはんでした。


今日だけはバス通園の娘ちゃん。
幼稚園の先生が迎えに来てくれて、娘ちゃんは幼稚園に。

嫁様:「あなたの準備は終わった?」

ドラキュラ:「うん、大丈夫。嫁様は?お菓子の数、確認したかい?」

嫁様:「私も大丈夫。それじゃあ行きましょうか」

車に荷物を積み込んで、出発です。


幼稚園に到着。園庭では金魚すくいやヨーヨー釣り、射的といろんなお店が並んでます。
嫁様はそのまま娘ちゃんのクラスに行きますがドラキュラさんは控え室へ。

ドラキュラ:「もう少しだけ練習しておくか」

準備しているドラキュラさんの肩を、誰かがトントンと叩きます。
振り返ったドラキュラさん。

ドラキュラ:「ひょ、漂流師匠!!!」

漂流:「よ、ドラキュラさん」

ドラキュラ:「来てくれたんだ、ありがとう!!」

漂流:「ちょっと気になったからね。
…出来はどう?」

ドラキュラ:「まあ、なんとか…でも師匠が来てくれたから気持ちが少し楽になったかも」

漂流:「いい加減師匠はやめろって(笑)
まあ、リラックス出来てそうだね。
じゃあ、また後で」

漂流工房さんが出ていき、準備を進めるドラキュラさん。

ドラキュラ:「こども達に喜んでもらえるように頑張るぞ!!!」


こども達の劇も終わり、父兄による余興タイムが始まりました。
ドラキュラさんは、最後です。
余興タイムが始まる前くらいからドラキュラさんの足はずっと震えています。

手品、クイズ、パントマイム…披露される度、大きな拍手と賑やかな歓声が聞こえてきます。

そしてーいよいよドラキュラさんの番です。
舞台袖から登場したドラキュラさん、舞台の中央に立った途端、それまでの震えがなくなり、観客1人1人の顔を確認出来るくらい冷静になりました。

ドラキュラ:「あ、あそこに嫁様と娘ちゃんが
いる。よし、頑張るぞ」

ドラキュラさんのバルーンアートが始まりました。
まずは、トイプードルを作るドラキュラさん。
足の先を小さく丸くなるようにねじっていくと足の先に小さいボンボンが付いてるような可愛らしいトイプードルが完成。
出来上がった瞬間、こども達の大歓声と父兄からの大きな拍手。
その後も失敗することもなく、次々とバルーンアートを披露するドラキュラさん。

嫁様:「最初のトイプードル、練習の時と違ってたわ。あの時言ってたのってこの事だったのね」

娘ちゃん:「ママ、今日のパパすっごくかっこいいね!!!」

嫁様:「そうね、お家に帰ったらまた作ってもらいましょ」

娘ちゃん:「うん!!!」

こうして、余興タイムのトリだったドラキュラさんのパフォーマンスは最高だったと沢山のアンケートに書かれていたのでした。

漂流:「ドラキュラさん、成長したなあ
さあて、今度は何を教えようか…」

漂流工房さんが次回、ドラキュラさんに教えるものは…?



               終

お読みくださり、ありがとうございました。こちらのお話は拙作『ハロウィンパーティー編🎃~ドラチョコ二次創作シリーズ外伝の外伝~』の続編になります。
『ハロウィンパーティー編🎃』はこちら。

それから今回のお話のバルーンアートについては漂流工房さんに色々教えていただきました。
漂流工房さん、ありがとうございました。







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