芹沢怜司の怪談蔵書「39.あなたをみていたの」
「ちょっと怜司さん! どこに行くんですか!」
「この家に入るんだよ」
外壁がまったく見えないほどお札が貼られている家の前に立つ。表札がないから誰の家かは知らないけど、きっとここには強大な怪異が封印されているのだろう。家の持ち主はどうなったのか――考えたくもない。
「……こんなお札だらけの家、危険じゃないですか? 危ないところに自ら入っていくなんて、怜司さんらしくありませんよ」
「お札で埋め尽くされているから入るのさ。中途半端に貼られているのなら絶対に入らないよ。でも、壁