#3 オリックスの首脳陣について

2位と15.5ゲーム差をつけてパリーグ3連覇を果たし、黄金時代に入りかけていると言っても過言ではないオリックスバファローズ。
中嶋聡さんが監督に就任してから、素人がテレビで見ていても分かるくらいチームの雰囲気が変わった。
中嶋監督以前は森脇監督・福良監督・西村監督など、人柄の良さそう、物腰柔らかいイメージの方が多かった。だからとは言わないが、覇気がないように感じる選手もおり、負けている時は画面から重苦しさが伝わってくるくらいベンチが暗く沈んで見えていた。
それが中嶋監督に代わるとなくなった。様々な選手を使っているのでどんな場面でも起用された選手としては結果を出さないといけない。レギュラー格であっても若手にスタメンを奪われるかもしれない。若手であれば負けていても結果を残せば次に繋げてくれる。そういう起用法、戦い方が選手にも伝わり、浸透しているのだと強く思う。
中嶋監督を褒める記事は他にも多くあるはずなのでこのくらいにしておいて、この記事ではその他のコーチの方にスポットライトを当てたい。
まずは水本ヘッドコーチ。
失礼ながら就任されるまでお名前を聞いたことがなかった。広島の捕手として現役を過ごされ、中嶋監督就任に伴いオリックスに来てくれた。
試合前のハイタッチの儀式を見ていると毎試合水本ヘッドは「OKOK!」「レッツゴーレッツゴー」と選手を鼓舞している。
試合に入ると中島監督の前にどっしり座り時折グラウンドに向けて声をかけながら戦況を見つめている。
中嶋監督は裏ではそうでないと思うが、表向きはあまり多く語らない。きっと思いを共有しているから表向きなところを水本ヘッドが担っているのだと思う。誰だったか、選手への取材で水本ヘッドがいなくなって1番困るのは監督だと思う。」と言っていた。それくらい全幅の信頼なのだろう。
FA宣言せず残留を表明した若月選手も、「今のチームは監督、ヘッド、森など捕手が多く、この環境ならまだ成長できると思った。」という旨の発言をしている。
監督からも選手からも信頼され、愛すべきキャラクターの水本ヘッドも今のオリックスには欠かせない1人である。

次にあげるのが辻竜太郎打撃コーチ。
2軍で熱心な指導を続けられ、中嶋監督が代行となったタイミングだったか、1軍打撃コーチに配置転換された。
辻コーチの良いところはとにかく明るい。得点が入るとベンチの中の誰よりも大きな声で喜び、大きなガッツポーズをし、ベンチ前で生還した選手を出迎える。低迷していた頃、ソフトバンクの松田選手がベンチを大いに盛り上げ、その雰囲気に毎回オリックスは飲まれていた。ソフトバンクのベンチと窮状の勢いに飲み込まれる様を見る度に「オリックスにも松田のような存在がいれば…」と感じていた。
その盛り上げる役割を辻コーチが担ってくれている。ロッテに移籍した大下選手も非常に良いムード―メーカ―だった。
辻コーチの役割を担う選手がいなくなってしまったと思った矢先日本ハムから石川亮選手が来てくれた。あまり試合には出られなかったが、シーズンのほとんどを1軍で過ごしたことから分かるように、試合に出ないところでの重要な仕事を全うしている。
チームが乗っていくために、辻コーチは打撃を教えることに加え、選手を鼓舞し、勇気づけてグラウンドに送り出してくれている。

次は以前1軍投手コーチだった高山郁夫さん。
2014年からオリックスに来て1度他球団にいかれた後、2018年から再度オリックスに戻ってきて山岡や山本由伸などを若手の頃から指導されている。
まず高山コーチは大きく、そのいで立ちや立ち居振る舞いから安心感が伺える。その高山コーチがベンチから歩いたほうが早いのでは?と思ってしまうようなジョギングでマウンドに向かい、投手に声をかける。またイニングの合間には必ず投げ終えた投手に声を掛け、先発投手が交代する時には時折頭をポンポンとする仕草などを踏まえながらねぎらいの言葉を掛けている。
傍から見ていて良い人というのがとても伝わるコーチだった。コロナ禍によち退団したディクソン投手は「日米を通して、僕が指導を受けたなかで、彼は最も素晴らしいコーチの1人です。まず、すごく頭のキレがいいんです。」とさえ述べている。投手陣の層が厚いオリックス。その礎を築いた1人である。
高山コーチに代わって1軍投手コーチを担当しているのが平井正史コーチである。高山コーチに比べると気さくな感じがして、ベンチでもどちらかというと笑顔で会話をしている様子が多く見え、兄貴分的な存在なのだろう。
また平井コーチが最初にやり始めたように感じるのが、マウンドに向かう時にその選手のタオルを持っていくことである。
汗をぬぐえるよう、細かなところまで配慮し選手のことを考えてくれている。
ブルペンには厚澤コーチもいる。日ハムからよく来てくれたなと思ったが、ブルペン担当として裏で大いに投手陣の為に助言をし、良い状態でマウンドに送り出せるように動いてくれている。
またバッテリーコーチとして斎藤俊雄コーチもいるのだが、私は中嶋監督の後任になるのではないかなと睨んでいる。同じ捕手出身ということもあるだろうが、試合中1番監督と会話しているのが斎藤コーチのように感じる。(テレビで切り部かれた部分だけなので違うかもしれないが)
他にも引退スピーチで誰よりも先にオリックスに成長、躍進を予想していた岸田コーチ、選手に寄り添い選手とコーチの立場から助言を続けてきた能見さんなど、素晴らしい首脳陣が多いことが間違いなくオリックスのここ数年の快進撃に繋がっている。

選手だけでなく、首脳陣がどんな動きをしているか、どんな会話をしているのかなどを予想しながら観戦すると、また違った楽しみ方ができる。

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