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【小説】 小さな部屋と私 2

⒉大切な落とし物

私は帰って来ると仕事をするためにコーヒーを持って二階に上がった。
一瞬コーヒーをこぼしかけたその時に。
左手を見た。
無い。大切な結婚指輪がない。
確かデスクに置いてたと思うけど……。
私は慌てて二階の自分のデスクを見たけどない。
どうしよう。あれは変わりなんてない大事なものなのに……。
考えているとミニチュアのセットが眼中に入ってきた。
そこには虹色の霧が立ち上っていた。
「え……」
私は慌ててアクリル越しに何か見えないか覗いてみた。
すると何か見えてきた。
小人が私の結婚指輪をミニチュアの机に置いてまじまじと見つめていた。
「なんだろう?」
その子の声が聞こえた。
小さくて、か細く今にも消えてしまいそうな声。だが高音で、それも驚くほど、高い音。
長年好きなオペラを聴いてきたがここまでの高音は聞いたこと無かった。
小人はこっちを見るとハッとしたような顔をして、何かを置いて消えていった。
それと同時に虹色の霧も消えた。何なの、今の。
私は恐る恐るアクリルの箱を持ち上げた。
そこには結婚指輪と一緒に小さな紙でそれまた小さな字で何かが書いてあった。
その文字はICチップ程で何て書いてあるかが分からなかった。
私はデスクのペンケースからミニルーペを取り出すとその字を読んだ。
そこにはこう書いてあった。

—大切なものそうなのでお返しします。RIRI—

と……。

                        to be continued……

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