見出し画像

美容師のお兄さんに言いたいこと

美容室で髪を切って結果に満足したことが,今まで一度もない。
私の脳裏にある髪型のイメージを,どうにかして伝えようと試みるのだが,いつもうまくいかない。かといって,
「天海祐希のようなショートカットにしてください」
なんて,言えるわけもない。
「あのね,髪の上部はふわっとさせてね。左右は若干アシンメトリーな感じでいいの。右側が撥ねやすいからあまり段をつけないでね。えーっとそれから…。」
あー,いっそのこと天海祐希みたいにって言いたい!
「はい,わかりました。すっきりさせたいんですね。」
え?ほんとうにわかったの?そうそう,すっきりした感じにね。それならやってもらおうじゃないの。頼んだわよ,お兄さん。
ちょいちょいちょい、ちょっと切り過ぎじゃない?そんなに梳いたらペタってなっちゃう。あー,そんなに切ったらたるんだ顎が目立っちゃう。
言いたい,でも…言えない。あーーー。

「いかがでしょうか。」
広げた鏡に映ったのは,髪を切り過ぎて露わになった私の短くて太い首筋。
「うーん,まあいいんじゃない?」
取ってつけたように言い放ち,早々に鏡から目をそらす私の脳裏から,天海祐希の影が瞬く間に消えていった。

そりゃあね,天海祐希なんて所詮無理な話よ。でもね,お兄さん,私みたいにさ,若干ぽっちゃり系がさ,ちょっとでも細く見えるように切るのがプロってもんでしょうよ!

って言いたいけど,言ったところで切った髪が元に戻るわけないから,作り笑いでごまかすしかないじゃない。…ねえ。

美容院の帰りに,TSUTAYAに寄って,またダイエット本のコレクション増やしちゃったじゃない。来月いや,再来月あたりにまた行くから,それまでにちゃんと修業しときなさいよ!いいわねっ。

って言えたら,どんなに気持ちいいか。はあ~。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?