地方の俳句大会の一選者として〜量から質へ  涼野海音

 最近読んだ本に、沢木欣一著『俳句の基本』(東京新聞出版局、平成七年)がある。
 
「多くの句を見て率直に気付くのは月並句の氾濫ということである。月並句というのは子規が指摘した理屈に訴える句で、理屈や小主観で一句を仕立てたものである。」(「俳句ブーム」より)
 
「多くの作品の中から、いざ佳句を選ぼうとするとなかなか困難であった。(中略)俳句の基礎がしっかり出来ていない句が多い。句の中でのおしゃべり傾向が強く、その言葉もかなり粗雑になってきている」。(「現代俳句の欠点」より)
 
 私は、年に数回ほど地方の俳句大会の選者を引き受けているが、沢木欣一氏と同様の危機感を抱く。

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