カスミというカードの本質
相手が使うカスミは強い
(当記事には多数のガバが含まれています。ご了承の上、我慢してご覧下さい)
現在ポケモンカードゲームポケットを賑わせている破壊神、カスミ。
表が出るまでコイントスをし、その数までエネ加速をするカードです。
これとフリーザーexに蹂躙された方は数多いらっしゃるかと思います。
しかし、このカスミというカードは、本当に「強い」カードなのでしょうか。
不可能を可能にするカード
結論から申し上げると、このカードは強くはありません。ですが、弱いかと言われれば決してそんな事はないと感じますし、むしろ現行のポケポケの対戦レギュレーションとの相性は良いと言えます。
まず、このカスミというカードの本質を整理します。
このカードは、50%で不可能を可能にするカードと言えます。
現行のポケポケでは、先攻1ターン目にはエネルギーを付けられません。
そのため、先攻後攻で順次使えるようになるワザは、
後攻1tと先攻2t 1エネのワザ
後攻2tと先攻3t 2エネのワザ
後攻3tと先攻4t 3エネのワザ
・
・
・
というように、後攻側から先んじてワザの使用範囲が拡大していく形になっています。
これ故に後攻有利と言われているわけですね。
しかし、カスミのようなエネルギー加速が絡むと、この限りでは無くなります。
場合によっては先攻1tからワザが使えたりもしてしまいます。まさに無法と言えるでしょう。
ですがここで「じゃあカスミ強すぎるやんけ」となるのはいささか早計です。
問題は、どれくらいの確率で「カスミでエネ加速」という現象が実現されているのか、ということです。
ポケポケのデッキは20枚。同名カードは2枚までの制限があります。カスミを最大枚数採用したとして、デッキ全体に占めるカスミの割合は2/20です。
ここから、ゲーム開始時の初手5枚にターン開始時の1ドローを含めた6枚で、カスミを引けるおおまかな確率は以下の通りです。
(初手たねポケモン確定の内部処理がどうなってるか分かりませんが、今回は1枚目をたねポケモンに固定して考えておきます)
1枚目 たねポケモン
2枚目 2/19 10.526…%
3枚目 2/18 11.111…%
4枚目 2/17 11.764…%
5枚目 2/16 12.5%
6枚目 2/15 13.333…%
カスミは2tに1エネ加速しても強いので、追加で7枚目の確率も載せておきます。
7枚目 2/14 14.285…%
一応2tのカスミを引ける確率は、1tの博士の研究やボール等の使用でもう少し高くなったりもしますが、おおむね10%強といった値です。
まぁそんなもんかと思われるかもですが、これはあくまで「カスミを引ける」確率であり、「カスミを引けてコイントスで表が出る」確率ではありません。
「カスミを引けてコイントスで表が出る」確率は、上記から更に1/2にまで低くなります。
こうして見ると、序盤にカスミを引き込み、かつコイントスに成功するということがどれほど低い確率なのかがよくわかります。
10数戦ほどやって1回起こるか、という確率。紙のように薄いです。そのような上振れに依存しているカードというのは再現性が低く、勝率に寄与しづらいため、一般的にTCGにおいては弱いとされます。
ですが、冒頭で述べたようにカスミは弱いカードではありません。
そもそも現在のポケポケのカードプールにおいて、コイントスという運の絡む要素こそあれど、名称指定無く水タイプ全般に対してエネ加速が出来るカード、という時点で十分であると言えます。
また、前述した確率は序盤にカスミを引ける確率です。ゲームが進行し山札が少なくなっていけば、それだけ引ける確率は上昇していきます。
ゲームの中〜終盤にカスミを使用し、コイントスが1回成功して2体目のアタッカー等にエネ加速した、なんてことは、数戦やれば特別珍しくないでしょう。
こういった使い方でも、カスミは他のサポートには出来ないことをしています。1〜2tに大量エネ加速!ゲーム崩壊!がこのカードの本質ではないのです。
先に述べた不可能を可能にする、とはこういう点に言えることです。
まとめると、カスミというカードは、中〜終盤にかけて1エネ加速できる貴重なカードであり、オマケで極稀に序盤の壊しや2〜3枚のエネ加速が存在している、となります。
蛇足ですが、エネルギーの用意は逃げエネの確保とも同義なので、実質50%スピーダーと称せなくもないです。
こうした副次的な恩恵も加味すると、運だけ上振れカードとのみ断じ、しょうもないと斬り捨てるほどのことは無いかなと感じます。
もちろん、2枚も3枚も表を出されてパチキレる気持ちも分かります。皆さんこのカスミというカードには、効果が強くてキレてるよりかは理不尽すぎてキレてると思いますし、そういった側面があるのは事実ですからね。
さて、改めてカスミというカードを客観的に整理し、強そうで強くない、ちょっと強いカードであるというふうに考えた時、実はカードの効果以外の点、このポケポケというゲーム自体との相性という部分で得をしている所があります。
勝率の形骸化
先程、カスミのような再現性が低く、勝率に寄与しづらいカードは一般的にTCGにおいては弱いと述べました。
ですが、これは「一般的」な「TCG」のお話です。
ポケポケはこの「一般的」な「TCG」の枠組みから逸脱していると考えます。
理由は単純、ランクマッチのような勝率が求められやすいレギュレーションが存在していないからです。
通常、DTCG(デジタルトレーディングカードゲーム)にはランクマッチが設けられており、そこでは対戦相手と勝ち星やレートのやりとりが行われ、また得てしてそういったゲームにはシーズン報酬があり、ランクの立ち位置に応じたアイテムが貰えたりします。
つまり、ランクマッチのようなレギュレーションが存在するゲームにおいては、勝率の高いデッキを使う理由が明確に存在しているのです。
しかし、ポケポケは2024年11月現在そういったランクマッチに類するレギュレーションは存在していません。
イベントマッチという、PvPメインのイベントも開催されていますが、ここではただ最終的な勝利数だけが参照され、どれくらい安定して勝てるか、全プレイヤーの中でどれくらいの立ち位置か等は無関係なのです。
勝率の意義、価値を担保する要素を、ポケポケはゲーム内で提供していません。どこまでいっても自分自身の満足感のみがその価値を支える形となっています。
そのため、安定的に勝つことも勿論対戦ゲームにおいて大切ですが、不安定ながら一度決まると有無を言わさない上振れもまた容認されやすいゲーム性と言えるのです。
勝率が悪くても、確実に勝てる上振れが起これば勝手に勝利数は増えていくのですから、回数さえ稼げば常勝不敗のプロポケポケプレイヤーだろうと初心者プレイヤーだろうと、行き着くゲーム内報酬に差はありません。
こういった視点で見ると、再現性が低い代わりに爆発力のあるカスミというカードは、安定して勝たなくてもゲーム上何ら問題ないポケポケとは好相性と言えるでしょう。
おわりに
今回はカスミというカードについて考えてみました。
結論としては、挙動がちょっとクソすぎているだけで、カードパワーは適正の範囲内だと思いました。
ただ、ポケポケはあくまで「カードをコレクションできるゲーム」です。公式としてもパックを開けて楽しむもの、というのが主とされています。
また、ランクマッチが存在しないことで、対戦を行うゲーム上のデメリットを無くして遊びやすくしている点、他プレイヤーのコレクションの閲覧、チャレンジによる他プレイヤーからの恩恵等、対戦して勝ち負けを決める以外の部分でのプレイヤー間の交流を図ろうとしているのが随所から見て取れます。
そういった公式の意図に沿い、勝ったら嬉しく、負けてもGGの精神で遊ぶのがもっとも適しているのだと思います。ゲーム内で失うものも無いのですから、気楽にプレイしていきましょう。
まぁ私は以前カスミ5オモテされて普通に台パンしましたけどね。
真面目にやってんだよこっちはよ。
ポケポケは遊びじゃねぇんだ。