水性絵の具のパレットについて
小学校3年~4年の頃だったと思う。
1日に1回はロッカーの中に入った絵の具セットを開き、パレットを気にしていた。
都会の私立は知らないが、だいたいの田舎の公立小学校には、
「カチカチになった何日も前のコッペパン」みたいな、同じ小学生であっても、できれば見たくない物が廊下に落ちている。
その「見たくないもの」は、反面教師のアイテムとして後々の人格形成に役立っていたのかもしれないが、
自分の場合、特に見たくないものは「カビだらけのパレット」だった。
学年全員に支給されたパレットとは形が違ったため、備品だったのか、誰か先輩のものだったのか分からないが、
そのカビだらけのパレットは、廊下にある備品の物置に置いてあった。
当時の自分にはカビの発生する原理が分からず、ただただ自分のパレットにカビが生えないよう、祈りながら毎日眺めていた。
授業で使うわけでもないのにパレットを眺めることは、おかしいことであり、人に見られたくないという気持ちもあった。
だから、コソコソとパレットを眺めていた。