恐怖 #ごはん杖 #毎週ショートショートnote
子供が寝静まり、
日付が変わった頃に帰って来た夫。
食卓の上には冷めた料理と
食後の食器。
赤い顔で、酒と香水の匂いを
させた夫がジャケットをソファに
投げて、食卓につく。
夫に用意した料理は冷めきっている。
後で、片付けよう。
そう思い、子供達とお風呂に入り
歯磨きをさせて寝かしつけた。
子供達の体温でウトウトしかけながら
食卓に戻ってきた。
冷めたお茶を口にしたら
目頭が熱くなってきた。
手付かずの料理。
用意しなければいいのかもしれない。
でも、帰ってきて
用意していなかった時に
殴られた右頬を思い出し擦った。
痣は消えたのに
まだ恐怖が頬に残っていた。
「水」
夫が私に命令する。
キッチンに行き、
コップに水を入れて夫に渡す。
夫は、ずっとスマホをいじっている。
私は、食器を片付けようと
積み重ねる。
「うるさい」
夫に怒鳴られた。
怖い。また殴られる。
そう思ったら
カピカピになった、ごはん杖を
夫の突き刺していた。
夫の目から杖を伝ってポタリと
赤い涙が卓上に垂れた。
【410文字】
※
【毎週ショートショートnote】『ショートショート書いてみませんか?』お題発表!11/5|たらはかに(田原にか)
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