くだらない人生 #助手席の異世界転生 #毎週ショートショートnote
金持ちの娯楽『異世界転生体験』
わざわざ貧乏な暮らしをしたり
いじめられる体験をするらしい。
なんで、金を払ってまで
辛い思いをしなきゃならないんだ。
俺は必死で慰謝料を払っている。
自分が原因の事故で人を
殺めてしまったから。
情状酌量は受けたものの刑務所から出た
俺が、まともな仕事につくのは難しかった。
闇バイトで被害者への慰謝料を払う。
汚い金だと言われても
それしか方法がなかった。
しかし弁護士に支払ってきた
慰謝料は、着服され被害者に
届いていなかった。
誰も信じられなくなった。
ずっと無意味な事を
繰り返してきただけだった。
俺は廃墟となったアパートの屋上へ向う。
北風が強く頬に当たる。
ごめんなさい。
俺の言葉と身体は北風に運ばれて
上から下へと落ちていった。
BEE!!BEE!!
警告音が聞こえる。
俺は目を開ける。
助手席の異世界転生は終了した。
やはり貧乏人のつまらない人生など
くだらなかった。
俺は助手席から降りると
スタッフに次回の予約を伝えた。
【410文字】
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