猛毒の御冷や麦　#会員制の粉雪　#怪人制御冷や麦　#毎週ショートショートnote

防護服に防護マスクを着用して
怪人制御冷や麦を砕いていく。

普通の状態で、地球人が
触ると猛毒になる。
ボツリヌス菌にも近い
致死率の劇薬に相当する。

地球人と怪人が
共存し始めて、数十年が経過した。

御冷や麦を砕きパウダー状にする。
それを丁寧に梱包していく。
コレは会員制の粉雪として
取り引きされる。

厳重に梱包されたブツは
会員でなければ手に入らない。

キラキラとした見た目は
パウダースノーの粉雪。
触っても溶ける事のない雪。
一般に流通しない粉雪。


俺は防護服についた粉雪を
バレないようにかき集め
特殊フィルムに包んだ。


娘の病気は治らない。
ならば俺は犯罪者になってもいい。
そんな覚悟で、娘の入院先へ急いだ。


病室で眠る娘。
付き添ってやつれた妻。
頷く俺を見て、妻は理解したようだ。


フィルムから慎重に
粉雪を娘の口を開け
舌下に粉雪を運ぶ。

心電図を見守る俺達。



毒と薬は紙一重。



俺は、起き上がった娘と
妻を抱きしめ
政府が隠しているコレを
社会に普及させると誓った。

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