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出張バレンタインデー 【デジタルバレンタイン】のお題で、【SFチックな】ショートショート #ショートショート #毎週ショートショートnote


自宅に来た刑事さんが
リビングでデジタル画像を映し出した。

「ご主人は最後……」

刑事さんの言葉が耳に届く前に
私の目から溢れた水滴は頬を伝い
ハンカチを握る手を濡らした。


バレンタイン当日の出張。
「ごめん」
と謝る夫に、
『今年は、デジタルバレンタインね』
と笑いながら答えた。

毎年手作りの
チョコレートケーキを作り
昔ながらのアナログバレンタインデーを
家族一緒に過ごしていた。





会社の方針で
夏頃から企業拡大の為に
アナログ出張が多くなった。

夫の担当がオンライン会議ではなく
アナログタイプの会議を
好む会社だった為に
苦手な接待にも参加しなければ
いけなかった。

年末年始も忙しく
今年は私と子供達だけで
帰省する事になった。
休日の接待も多く
子供も心配するほどだった。


しかし本当は、
会社の出張ではなかった。
愛人との心中旅行だった。


リビングに映し出される
横たわる夫と女の画像。
次々と映し出される事件現場画像。



夫の網膜に刻み込まれた最後の画像は
私の笑顔だった。


【410文字】



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スズムラ
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