腕の傷　#強すぎる数え歌 　#毎週ショートショートnote

目覚めると体中が鉄臭い。
ああ……まただ。

足裏に汚れがついている。
腕には爪で引っ掻いた跡。
赤く筋で「8」と刻まれている。

最初に気付いた時は
怖くて一日中ベッドの上で
震えていた。

不定期に起こるこの現象。

目覚めると、俺の血と誰かの
血が体の所々に血痕が残っている。

誰かの血だってなんでわかるのか？
それは、俺が怪我をしていなくても
血痕がついているからだ。

他には足の裏が汚れている。
もちろんベッドから玄関まで
続いている。

そして腕の傷。
最初に刻まれていた数字は
「30」だった。

カウントダウンなのかと
思ったが、ぼんやりと
少女の歌声が聞こえてくるので
数え歌のような気がしていた。


ネットで検索しても、
該当する項目はなく。
昨日起こった怪奇な事件のニュースが
表示されるだけだった。


父親に電話してみるか……。
再婚して義母と暮らす父親なら
何か知っているかもしれない。


後にコレが
義母からの強すぎる数え歌だと
知った時には
既に数字は「3」を示していた。

【408文字】

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