税金をドングリで納める方法 #木の実このまま税理士 #毎週ショートショートnote
「木を隠すなら森の中って言うだろ?」
札束を数える兄貴が難しい事を言った。
「札束を森に隠すんですか?」
そんな事をするのかと兄貴に
聞けば、怒鳴られた。
ため息を盛大に吐きながら
兄貴が説明してくれた。
これから来る税理士に、この札束を渡す。
俺はドングリを『森中税理士に渡しに行く』。
ん?ドングリ?
「兄貴、ドングリってアレっすか?」
隣のテーブルに木の葉や
木の実が盛られている。
「あ~お前、まだ教えてなかったか?」
そう言って兄貴と一緒に
木の葉と木の実を分けていく。
木ノ実だけを
アタッシュケースに兄貴が並べると
「木ノ実このまま税理士に渡して来い」
とアタッシュケースを渡された。
「はい!」
元気いっぱい返事をして
すぐさま向かう。
『森中税理士事務所』
ビルの5階にある小さな事務所。
「スイマセン」
と扉を開く。
ビビリながら
「コレを……」
とアタッシュケースを見せると
客間に通された。
税理士は木の実を凝視した後
ドングリを耳元で振ってニヤリと笑った。
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