兄貴と俺 #着の身着のままゲーム機 #木の実このまま税理士 #毎週ショートショートnote
テーブルの上の木の実と落ち葉を分ける。
葉っぱだけゴミ箱に入れていく。
「兄貴!分けました!」
叫ぶと、二日酔いの兄貴に
頭をスパーンと叩かれた。理不尽。
アタッシュケースに
木の実を並べる兄貴。
松ぼっくりは、ゴミ箱に
放り込まれた。
俺は、立派な松ぼっくりを
兄貴にバレないように、そっと
ポケットにしまった。
「木の実こののまま税理士に渡してこい。
このままだからな。開けるなよ。」
アタッシュケースを受け取ると
俺は森中税理士事務所へ向かった。
※
着の身着のままゲーム機だけもって
アパートの階段下で暇を潰していた俺。
真っ青な顔で倒れ込んで来た男。
子供だった俺は慌てて
ゲーム機を落としてしまった。
部屋に戻ると母ちゃんに怒られる。
でも、横で血を流してる人を
そのままにできなかった。
こっそり救急箱を持ってきて
傷の手当をする。
やんちゃな俺は怪我する事が多く
多少の手当てならできる。
あれから数年。
まさかあの時の男……兄貴と
仕事をするとは思っていなかった。
※
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