炭酸に乾杯 #ラムネ炭酸寝顔 #毎週ショートショートnote #ショートショート
春だというのに夏日を記録し続ける日々。
このまま溶けてしまいそうだ。
汗で濡れたシーツに横になるのは不快だが、暑くて動きたくない。
チャイムを押さずに入って来た彼女。
「まだ寝てるの?」
笑いながら冷えたラムネ瓶を
俺の頬につける。
冷たくて気持ちいい。
上半身を起こして、そのまま
ラムネに口をつける。
シャワシャワと口内から胃袋へ落ちる気持ち良い喉越し。若干涼しく感じられるようになった。
「美味しい?」
春色のワンピースの彼女の手にも
冷えたラムネ瓶。
涼しくなったからだろうか、さっきよりも心地よい。
「一緒に寝ようぜ」
彼女をベッドへ誘う。
寝顔は見られるより見るほうがいい。
彼女は俺の持っていた瓶をローテーブルに置くと自分のラムネ瓶を持ちながら俺の横に座った。
瞼を閉じて幸せを感じる。冷たいシーツ。
ラムネ炭酸のパチパチ弾ける音。
溶けていく俺の寝顔。
赤黒く溶けた彼の寝顔にスマホをかざす。写真を撮ると、私は彼の浮気相手に写真を添付して送信した。
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