馬券とファストパス #三日月ファストパス #毎週ショートショートnote #ショートショート
『三日月ファストパスの
発行は終了致しました』
頭上の電子掲示板に流れてくるメッセージを読むと、俺のズボンを引っ張ていた娘が盛大に泣き出した。
ああ……。やっちまった。
「明日は三日月連れてってやるからな」
と約束し、娘を残して
俺は馬券をが握りしめた。
三日月どころか満月までイケる!
そう思って最終レースまで粘った。
ギリギリ三日月に行けるだけは手元に残った。
家に戻ると、すでに明日の
準備をしたリュックサックを
抱きしめて娘が眠っていた。
俺は勝利の美酒を浴びて寝た。
娘の声に反応して起きた時には
もう昼前だった。
急いで三日月センターまで向かったが、結果は最初の通り。ファストパスは取れなかった。
「今度はファストパス取るから」
と説明する俺に娘は
「待てば三日月に行けるの?」
と聞いてきた。
三日月に行くのファストパスがないと、3時間も待たなきゃいけない事を説明した。
すると
「やった!じゃあ3時間パパと
おしゃべり出来るね」
娘の目が三日月になった。
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