カレーの香りと家族の色 #壁に少々らっきょう #毎週ショートショートnote
今年も美大に落ちた。
無気力になり、天井を見つめる。
過干渉な母親。
浮気をしている父親。
不登校の妹。
俺に個性が無いのは
コイツラのせいじゃないだろうか?
イライラは収まらず、頭を掻きむしる。
ドアがノックされ、母親が
夕飯を置いたのがわかった。
評価されない俺の作品達が
モノクロに見えた。
カレーの香りだけが
現実感を醸し出していた。
俺はドアを開け、キッチンへ向かう。
テーブルでは、一見平和そうに
家族が食事を楽しんでいる。
俺はキッチンから筆を取り出し描いていく。
カレーが飛び散った。
カレーの香りに負けない様に筆を振る。
カレーの香りと幸せな家族を描いていく。
落ちている、らっきょうの瓶を
手に取ると、横になっている
家族の口元に飾りつける。
白地に赤と黒の絵の具とカレーの香り漂う
壁に少々らっきょうを添えた。
作品の差し色にピッタリだ。
部屋中に香りと色は
混ざりあい充満した俺の作品は
鮮やかな色をしていた。
芸術のわかっていない新聞は
俺の作品はモノクロで発表した。
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その後の話はコチラ
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