珈琲と8 #珈琲と #シロクマ文芸部
※
珈琲と煙草を持って喫煙ルームの
扉を開けた。
出張を終えて会社に戻る。
出張土産を部下に渡し
自分のカバンをイスへ
出張の荷物をデスクにドカッと置いて
喫煙ルームに向かう。
途中にある自販機で珈琲を2本買う。
ブラックと微糖タイプの2種類。
扉を開けると、眉間にシワを寄せて
煙を吐き出す後輩が座っている。
声をかけて、微糖珈琲を渡す。
眉間のシワが取れ、礼をいう後輩。
向かい合わせで、座り煙草を咥える。
シガーキス。
ゆっくりと息を吸い込むと
俺の煙草に火が付く。
「ライター持ってるでしょ」
後輩が言うが、
「珈琲代」
と答える。
クスッと笑う後輩の笑みに
こちらもつい口角が上がる。
数分だけの逢瀬。
お互い既婚者だ。
もうこれ以上
踏み込むわけにはいかない。
ベッドで交わした
シガーキスを思い出している俺は
まだ後輩に未練があるようだ。
※
珈琲と8
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