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家の庭でキャンプをした話

初めて、1人でテントを張った。

場所は家の前の庭。家に一人でいる日の、まだ暑くなる前の事だった。テントは、1980円の割引になっていた安いカーキ色のテントで、キャンプをしたがっていた私に、父がくれたものだ。いざそのテントでキャンプ場に行こうとしたら、「もっとちゃんとしたものを使え」と、止められたのだけど。軽いし、コンパクトだし、好きな色で気に入っている。

テントを一人で張るのは初めてで、その日は風も吹いていて、一人ばたばた風に煽られて舞う布と格闘しながら、なんとか張った。
家の庭は固められていて、ペグはさせない。なのでペットボトルに水を入れて重し代わりにした。
一人用の小さなテントは、入ってみると思っていたより広かった。寝転がって天井を見てみる。うん、堅い。下が芝生なら違うのかもしれないが、うちはあいにくのうちっぱなし、背中が痛かった。どうしようかなと思ったけど、使ってないヨガマットがあったことを思い出し、目の前の家から、使っていないヨガマットをもって来て敷いた。うん、これで大丈夫。厚みのあるヨガマットは、背中を優しく守ってくれた。
ゆっくり深呼吸してみると、風の音や、鳥の鳴く声が聞こえた。天井の低いこぢんまりとしたテントの中は、なんだか隠れ処みたいで、寝っ転がっているだけでワクワクした。場所はいつも見ている、家の庭なのに。不思議な感覚だ。

しばらくテントの中で本を読んだり、ごろごろしたりした。うつらうつらと微睡んだり、十分にテント内を満喫したあと、レジャーシートをテントの前に敷いて、ピクニック用に持っていた、小さな机を置いてみた。うん、なかなか良いんじゃない。キャンプっぽい。
家の中からガスコンロを引っ張ってきて、お湯を沸かして紅茶を飲んだ。たまに吹く風が気持ちいい。

テント以外、キャンプらしい道具は何もないけれど、私にとってはこのくらいがちょうど良いのかもしれない。何か必要なものがあればすぐに持ってこれる家の前の庭。

その日の晩は、庭でバーベキューをした。

いつかは、芝生や林間サイトでたき火をしながら、と思わなくもないけれど、今の私には、家の庭がちょうど良い。気ままにテントを張って、必要なものがあれば、家に取りに行く。
キャンプ場に行くにはまだまだ道具が足りないし、装備にも不安がある。でも家の前なら困ったらすぐ取りに行けるし、気分が乗らなければすぐ帰宅できる。急な雨だって、どんと来いだ。

でも、まぁ、いつかはと夢見なくもない。本当に必要なものだけを車に積んで、自然たっぷりのキャンプ場へ行くこと。そしてたき火をして、ゆったり過ごす。ちょっとずつ、ゆっくりでいい。順番に必要なものをそろえて、マイペースにやっていこうと思う。


#やってみた大賞 #キャンプ #アウトドア #庭キャン

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