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忍偵ヌンチャック非公式スピンオフ「ピストル探偵シキベwithガンドーチイサイ」


 ここはおなじみネオサイタマ……ではなく、遠く離れたキョートシティ。
「『女子高生連続誘拐事件。ついに3件目!』ですってよ。ウェー……」
黒縁メガネで新聞を読むのはシキベ。彼女はこう見えても探偵なのだ。
「ウェー……じゃねえよ、シキベ=サン。この事件、きな臭くねえか?」
 シキベの肩にヤカガラスドロイドが止まる。
「そうッスかねえ……ガンドーチイサイ=サン」
「だからその名前で呼ぶなっていっただろうがよ!」
「イテッ!突かないでくださいッスよ!」
「冗談はさておきだ。キョートでこんなことやらかして捕まってない奴らだ。ザイバッツが裏で動いてるに違いねえ」
 ザイバッツ!キョートの裏を牛耳る巨大犯罪組織だ!シキベとガンドーはもともと人間だったが、彼らのせいで機械の体になってしまった。だが、それを悔やむ二人ではない!機械の体だからこそできる事があるのだ!
「それじゃあ、早速調査開始と行くッスか?」
「もちろんだぜ!」
 ガンドーチイサイが翼を開いて飛び、シキベと共に事務所の扉を開いて飛び出した!
「ところで……」
「なんスか?」
「俺のZBR知らねえか?」
「……」

 一方その頃!
「フィーヒヒヒ!フィーヒッヒッヒッ!」
キョートシティ外れの廃ビルに響く不気味な笑い声だ。傍らには縛られた女子高生!ナムアミダブツ!誘拐事件の被害者たちだ!
「フィヒー……もう3人めザンス。さてさて、あなたはシキベ=サンざぁ~ますか?」
ガスマスクの紳士が女子高生に顔を近づける!
「い、いえ!人違いよ!」
女子高生が怯えて答えた。
「なぁ~んだ。まぁ~たハズレザンスか」
ガスマスクの紳士、ジェントルマスクの表情は伺えない。
「マ、良いザンス。どうせ当たりが出るまでこのミッションは続くんざぁ~ますから、約得約得。そろそろ私の紳士も限界ザンス……フィヒィ!」
ジェントルマスクの手が女子高生に伸びる。このまま相互血液循環されてしまうのか!

 だが、その時だ!
「そこまでッスよ!」
「フィヒッ!?その声は」
ジェントルマスクがぬるりと振り返る。
「やっぱりザイバッツの仕業だったッスね!」
そこにはピストルを両手で構えたピストル探偵シキベだ!
「とうとう現れたザンスね。でも、私がたった一人でこんなところに待ち構えていると思ったら大間違いザンスよ」
 ジェントルマスクが手をたたくと、廃ビルの周囲に人影が集まる。
「「「ザッケンナコラーッ!」」」
ナムアミダブツ!ヤクザドロイドだ!
「フィーヒヒヒ!投降するザンスか?今ならまだ許してやるザンスよ?」
ジェントルマスクは自信たっぷりだ。だが、ここで引き下がるピストル探偵シキベではない!
「こうなったらしかたないッスね……」
 シキベがポケットから何かを取り出し、頭上に掲げて声たかだかに叫ぶ!「ZBRオン!」
「よっしゃ!待ってたぜ!」
ヤタガラスドロイドがZRBをパクリと咥えてシキベの頭に止まる!そして、画面を白く塗りつぶすフラッシュ!
「ま、眩しいザンス」

 フラッシュが晴れたとき、ジェントルマスクが見たものは信じられないものだった。
「な、なんザンスか?目つきがさっきと全然違うザンス!」
そこに立っていたのは目つき鋭いディテクティブオーラをまとったシキベ!
『こっからきっちり3分、カラテタイムだ!』
「ふ、ふん!目つきが変わったからってなんザンス!お前ら、ヤッチマエーッ!」
 ジェントルマスクの戦闘開始キーワード認証でヤクザドロイドたちが動き出す!
「「「スッゾコラーッ!」」」
『っへ!そんなもん、いくら頭数揃えても無駄だぜ!』
シキベは2丁目のピストルを取り出し構える!
『イヤーッ!』
KBAM!KBAM!ガンドーシキベが放つ弾丸は一撃必殺のワザマエで2体のヤクザドロイドを破壊!
「「グワピガーッ!」」
さらに反動でブレイクダンスのような回し蹴り!
「「グワピガーッ!」」
2体のヤクザドロイドを破壊!
生身だったガンドーではこの動きはできなかっただろう。
『これがテクノピストルカラテだぜ!』
KBAM!KBAM!
「「グワピガーッ!」」
 次々と破壊されるヤクザドロイド!
「ええい、こうなったら私が直接相手をしてやるザンス!」
ジェントルマスクが飛び出した!
『おお、真打ち登場か?』
ガンドーシキベが二丁拳銃を構え直す。
「思った以上にやるザンスね。でも……私の吸血カラテはどうザンスかッ!?」
 ジェントルマスクは滑るように動きガンドーシキベに接近!
「イヤーッ!」
間髪入れずに右腕の巨大仕込み注射針で突きを繰り出す!
『うおッ!』
ガンドーシキベはこれをかろうじて回避!いかに機械の体とはいえ、元のガンドーの肉体とは形が違いすぎるのだ。こういう強襲には弱い!
『コンニャロウ!』
KBAM!苦し紛れの銃撃!だが!
「そんなカラテは私には通じないザンス!」
鮮やかに回避するジェントルマスク。
『イヤーッ!』
「イヤーッ!」
反動のキックも難なく躱されてしまった。
「フィーヒヒヒ!噂に名高いピストル探偵シキベも大したことないザンスなあ!」
ジェントルマスクはヌルヌルと動き、両手の仕込み巨大注射針をこすり合わせてシャギンシャギンと音を立る。
「アンタはここでお終いザンス!さらった女子高生も私が紳士的に頂きます……イヤーッ!」
ジェントルマスクが両腕の注射針を突き出してガンドーシキベに突撃する!ガンドーシキベ絶体絶命のピンチ!アブナイ!
 だが、その時、1羽のヤタガラスがジェントルマスクに飛びかかった!
「グワーッ!」
 ヤタガラス……否、ヤタガラスドロイドにシキベの自我を一時的にインストールしたシキベガンドーだ!
『アンタの好きにはさせないッスよ!』
シキベガンドーの突く攻撃!蚊がベースのジェントルマスクに効果は抜群だ!
「グ、グワーッ!」
『いいぞ!シキベ=サン!』
この時を逃すガンドーシキベではない。ジェントルマスクに狙いを定めて2超拳銃同時発射!KKBBAAMM!
「アバーッ!」
吹き飛ぶジェントルマスク!
『俺達はコンビだ。相棒を忘れてもらっちゃ困るんだよ』
「や、やるザンスな……」
 ふらふらと立ち上がるジェントルマスク。
『ここらで降参してくれるとありがたいんだがなあ?』
だが。
「フィ……フィヒ!いいザンスか?あの女子高生たちがどうなっても……」
ジェントルマスクがいつのまにか手にしているの謎めいたスイッチだ!
『なんだそりゃあ……?』
「いいザンスか!?私がこのスイッチをポチッと押せば、あの女子高生たちを縛っている縄がギリギリ締まり、最後には命が無いザンスよ?」
ジェントルマスクがマスクの下でにやりと笑う。
『オイオイオイオイ……』
「さあ!降参するのはアンタたちのほうザンス!」
『アー、いや、そりゃあ、無理なんじゃねかなあ……』
「何言っているザマス?」
『後ろ、自分の目で確かめてみたらどうだ?』
ガンドーシキベがにやりと笑う。
「自分の目で確かめろってアーッ!」
 ジェントルマスクは目を疑った!女子高生がいない!女子高生がいた場所には、縛っていた縄しか無い!では、女子高生はどこに?
『アンタがもたもたしてる間に、逃げてもらったスよ』
シキベガンドーが答える!
「ま、まさか!」
『そのまさかッス。あんたが戦ってる間に、縄を切って逃したッスよ』
「アーッ!そんな!」
『さあ、どうする?”降参するのはアンタのほうザンス”ってことじゃあねかな?』
「チ、チクショーザンス!」
ジェントルマスクは謎のボールを足元に投げつけた!立ち込める煙!
『チクショウ!逃げるつもりか!?』
「今回はアンタの勝ちザンス!でも、次はこうは行かないザンスよ!」
「フィーヒヒヒ!フィーヒッヒッヒッ……」
ジェントルマスクの声が遠くに逃げていく。

『クソッ!追わねえと、グワ……』
ガンドーシキベが膝をつく。ZBRタイムアウトだ。3分の制限時間が過ぎ、シキベとガンドーの自我が元に戻った。
「……逃げられちゃったっすね」
シキベの言葉に、ヤタガラスドロイドが答えた。
「まあ、いいじゃねえか。さらわれた女の子たちは助かったんだからよ。一件落着ってやつさ」
遠くからキョートケーサツのサイレンが聞こえる。
「それじゃあ、面倒なことになる前にずらかろうぜ」
「はいッス」

 ……翌日。
「『女子高生連続誘拐事件。無事解決!謎のヒーローの目撃情報?』ですってよ」
黒縁の眼鏡を掛けて新聞を読むのはシキベだ。
「ですってよ、じゃねーよシキベ=サン。俺達の正体がバレちまったのかもしれねえんだぞ?」
ヤタガラスドロイドのガンドーが突く。
「イテッ!突かないでくださいッスよ!いいじゃないッスか、女子高生は助かったんスよ」
「まあ、そりゃあそうだがよ……」
ガンドーはフクザツな表情をしようとした(でもヤタガラスドロイドなので表情はあまり変わらなかった)。
「いいか?」
ガンドーはシキベの目を見て続けた。
「こっから先、ザイバッツの動きも活発になってくる。俺たちをもっと積極的に狙ってくるかもしれねえんだぞ?覚悟はできてんのか?」
シキベは笑って答える。
「もちろんッスよ!二人なら絶対に負けないッスから!」
「流石は俺の一番弟子だな、まったくよ……」
ガンドーは飛び、シキベの肩に止まる。
「これからもよろしくな、相棒」
「はいッス!」
 こうして今日もキョートシティの平和は守られた!ありがとう、ピストル探偵シキベwithガンドーチイサイ!


ピストル探偵シキベwithガンドーチイサイ

第一話『ピストル探偵シキベ登場!』

おわり


◆あとがきな◆
「ピストル探偵シキベ書きたいけど解釈違いのなんかとか不安な……」
「書く前から何を言っている!いいから書け!わかったか!?」
「でも……」
「わかったら書け!!」
「アアーッ!」
……こうしてピストル探偵シキベはできました。みんなも心の中のザザを大切にね!

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