ドイツ人(現地社員)に好かれる上司とは
各国・文化によって好かれる人物像、嫌われる人物像が異なりますが、ドイツも日本と比較してかなりの違いがあります。
ドイツで会社員として働いて10年。
日系企業やスタートアップ、ドイツ企業3社を経験して見えてきた”好かれる上司像”について。
ドイツ人や現地で働く外国人社員が日系企業で働くことや、日本人と働くこと、日本人上司をどう思うか聞けるチャンスが多かったので、興味深い見解・感想をここでご紹介。
ここでいう現地社員とは、ドイツ人だけでなく現地で採用された様々な国籍の社員(日本人現地採用は除く)も指します。
ドイツ人でなくてもドイツに長く生活すると考え方がドイツ的になるので、彼らが一般的にどう感じるかについて。
1.ドアはいつも空いています
「ドア」、とは部長や社長の個室のドアのことです。
いつでもだれでも気軽に個室に入ってきてください。相談に応じます。という意味です。
日本であれば部長専用の部屋や社長室は入りずらいイメージがあり、恐れ多い雰囲気が漂っている場合が多いと思います。
反対にドイツではオープンである(気さく、気軽に話しかけやすい)ことが部下から好かれる大きな要因となるようです。
ドイツ人と日本人がCo-CEO(共同社長)だった会社で働くドイツ人同僚が話していたことが印象的です。
「日本人社長は部屋にこもってドアも閉まったまま、私たち従業員とも口もきかない。
一方ドイツ人社長はドアがいつも空いていて毎日挨拶もしてくれて印象が良い。」
2.積極的なコミュニケーション
ドアはいつも空いています、と同じ方向性で、つまりオープンであること。
日本とまた真逆の文化で慣れないと思いますが、世間話を積極的にしたらよいようです。
日本では仕事中に私語は慎むべきであり、なるべく休憩時間に私語を済ませる傾向があります。
しかしドイツでは仕事中に仕事の話しかしない人を見たことがありません。
積極的なコミュニケーションといっても、タブーな話題がたくさんあるのでこの点も注意が必要です。
子どもの話を自分からしたり、相手から自分の家族の話があればそのまま話を広げてOKですが、相手の婚姻関係・恋人の有無・血液型・年齢・初対面でこどもがいるかどうか・などを聞くのは失礼にあたります。
一番お勧めなのは休暇の話題です。
前回・去年の休暇先がどこだったか、どうだったかや次の休暇先についてなど。
日本で休暇の予定や過去の休暇の話をするのは不謹慎に感じてしまいますが、こちらでは大歓迎です。
日系企業で勤務時代、日本人駐在員が休暇の後に全く休暇の話をしないのを現地社員たちが不思議がったり寂しがったりしていたのをよく覚えています。
駐在員の方々にいいきっかけなので是非休暇の話をしてみること、部下たちもよい意味で興味を持っていることを何度か伝えましたが、残念ながら効果はありませんでした。
3.元気な挨拶
同じ部署で働いていた年配ドイツ人が嬉しそうによく話していた日本人上司について。
彼女とはよく通勤のバスが同じになり、道中15分間楽しい話題で盛り上がりました。
20年以上日系企業で勤務した彼女にとって一番好印象だった日本人上司の特徴とは?
毎朝必ず一人ひとりの名前を呼んで挨拶してくれていた
挨拶だけでなく、元気かどうか調子を尋ねてくれ、会話を楽しむことができた
というたった2点でした。
ものすごく単純な簡単な理由に思えましたが、彼らにとってはとても価値のある大事な点なのです。
ちなみにこの日本人の上司と短期間ですが働いたことがありますが、ドイツ語も英語も流暢ではありませんでした。
コミュニケーションをとろうとする姿勢、部下たちとオープンでいようとする姿勢が大事なのですね。
こうした意見は彼女からだけではなく、随所でよく耳にします。
4.責任感
この点もドイツと日本で大きな乖離があります。
例えば、部下が残業している中、上司が部下より先に帰宅するのはドイツではご法度です。
日本と真逆です。
上司は責任を負うから部下よりずっといい給与を得ているわけで、部下が残業しないように管理するのが上司の仕事、というのがドイツでの部下たちの認識です。
目から鱗な驚きの考え方ですが、大抵皆同じ認識でいます。
ワークライフバランスが充実するわけです。
以上、好印象な上司像とは、気さくで話しやすく、親しみがあり、部下の管理能力・責任感のある人物と記憶しておくとドイツで部下を持つ際に役立つでしょう。