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個人的趣味としては、もうチョット穏やかに「古書談義」「文学談義」を読ませて欲しいかな:読書録「ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ」
・ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ 扉子と虚ろな夢
著者:三上延
出版:メディアワークス文庫
「ビブリア古書堂」シリーズ第10作で、娘の「扉子」がヒロインとなるシーズン2の3作目。
今回は「死んだ古本屋の息子の蔵書の相続を巡るドラマ」をメインストーリーとしつつ、3つの連作短編が物語を構成するスタイルになっています。
それぞれの短編で取り上げられるのが、
・映画のパンフレット(特に「ゴジラの息子」)
・樋口一葉作品(特に「通俗書簡文」)
・夢野久作「ドグラ・マグラ」
締めとなる「ドグラ・マグラ」については、本作そのものに、チョットした「遊び」が仕掛けられてたりもします。
まあ、相変わらず面白いですよ。
厚くない(270ページ程度)ってのもありますが、一気に読ませるのは、作者の腕でもあるでしょう。
とはいえ、ある程度「本好き」じゃないと、そうは行かないかな?
「読ませる」最大のポイントは、作中で取り上げられる古書や文学作品に関する「蘊蓄」だったりしますから。
(「ミステリ」のところは、「日常ミステリ」の範疇なので、やや弱いです)
僕としてはソコが一番読んで楽しいところなんで、シリーズを通してのテーマである「篠川母娘(孫)」の<ダークサイド>物語の方は、
「ほどほどにしといてや」
って気分なんですけどね。
本作では新たなメンバーも加わって、孫(扉子)を<ダークサイド>に引き込む罠が巡らされつつあるような…。
そういうの「なし」でも十分に面白いと思うんですが、取っ払っちゃたら、北村薫さんの「中野のお父さん」シリーズと変わんなくなっちゃうかw。
シーズン2がスタートして、
「どうなるかな?」
という危惧もあったんですが、そこんところは上手いことクリアして物語は語られています。
次作も読むでしょうね。
智恵子さんの策略の方は、ほどほどでお願いいたします。
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