Biodesign memo①
今回はこの本を読んで自分なりに学んだことをまとめてみる。
英語力がまだまだなので間違った解釈があるかもしれない。もし間違った部分があればぜひ教えて頂きたい…💦
「Design is a way of discussing society, politics, eroticism, food, and even design. At the end, it is a way of building up a possible figurative utopia or metaphor about life. 」
---デザインとは、社会や政治、エロティシズム、食べ物、そしてデザインについて議論する方法である。また最終的には、人生の理想像やメタファーを構築する方法である。---
これは1960年代後半にエットレ・ソットサスが語ったデザインについての見解である。彼はイタリアの建築家で、この言葉は今日に至るまで支持されている。それは、デザインが確かに人生に関わるものであり、テクノロジーが進化した政治、環境、人口、経済に関する懸念が世界的に高まっている中で、デザイナーの存在が議論の中心にいることが起因している、とパオラ・アントネッリ(イタリアのキュレーターであり編集者であり作家)は語る。
その広すぎるデザインの世界で今注目されている分野がある。
『Biodesign』
である。
2008年にニューヨークのMuseum of Modern Artで行われた💫「Design and the Elastic Mind」で初めてこの名前が上がり、科学テクノロジーとデザインのユニークなコラボレーションが世界的に話題となった。当時はデザイナー側ではなく科学者側が、仲間のレビューから解放され、直感的で飛躍的な美しさを楽しみ、自由を感じる喜ばしい融合としてこの『Bio Design』に飛びついたという。
私が特に注目した項目はウィリアム・マイヤーズが本書で伝えている「Biodesign harnesses living materials, whether they are cultured tissues or plants, and embodies the dream of organic design : watching objects grow and, after the first impulse, letting nature, the best among all engineers and architects, run its course. - implications of every project reach far beyond the form/function equation and any idea of comfort, modernity, or progress. (バイオデザインは培養組織であろうと植物であろうと、生きた素材を活用し、有機的なデザインの夢を体現している。物体が成長する過程を見守り、エンジニアや建築家の中で最も優れた『自然の成り行き』に任せる。このプロセスの影響は形状、機能方程式、快適さ、現代性、進歩の概念を超越したものにする)」という言葉である。
世界的に環境問題が深刻になっている中で私達人間と自然の関係が壊れつつあるならば、このバイオデザインはそれらを内側から解決出来る大きな手がかりになっているのである。
☆バイオデザインの種類
本を読んだりネットで調べた中で分かったのはバイオデザインには大きく分けて3つの種類があるということ
・Biomimicry(バイオミミクリー)
生態系や自然の成り行き全体を人間界のオブジェクトに反映させているもの
・Biomimetics(バイオミメティクス)
生き物の体の構造や特定の植物の構造をデザインに反映させているもの
・植物や微生物自体をデザインの一部として使用しているもの
バイオミミクリーとバイオミメティクスは同じものかと思っていたが、どうやら違ったらしい。
バイオミミクリーは持続可能な社会に直結するようなインダストリアルデザインを指しているようである。バイオミミクリーはバイオミメティクスよりも環境に優しかったり、視野を広くして地球環境全体に焦点を当てて作られた物であるようなイメージだ。
では次にバイオミメティクスの例を上げてみる。
有名な例として
帝人のモルフォテックスという生地がある。これはモルフォ蝶🦋の体の構造色の仕組みを利用した布生地である。 モルフォ蝶の体表にはギザギザした小さい溝がびっしりあり、それが光を反射させてあのような美しい色に見せている。それを布生地に利用したのがモルフォテックスだ。
こんな感じ⬇️
大学に入りたての頃、Material Researchとしてモルフォテックスについて調べて「これはバイオミミクリーという!」という文で大学に提出したが、今思うとこれはバイオミメティクスだった。ミスである。
他にもサメの肌の構造を利用して流体抵抗を少なくした水着が一時期話題になった気がするがこれもバイオミメティクスらしい。
他にはググッただけだが
・蚊の針を模倣した痛みの少ない注射器
・カワセミの嘴の形を模倣した新幹線
などがあるようだ。
また、別本で『昆虫の惑星』という本がある。
そこにもバイオミメティクスの例がいくつかあった。例えば、アメリカの戦闘機やドローンはトンボの体の構造を反映させたデザインになっているし、インドネシアのカミキリムシの一種は湿度によって色が変わるので中国ではその構造を利用した偽札防止のお札のデザインが開発中らしい。
そして大学で今期の冬休みに出た課題があった。それがバイオマテリアルを使用したオブジェクトのデザインである。時間がなかったのでただ自然の物を直接使っただけになってしまったが、バイオミメティクスのように構造を利用したような機能的に優秀な作品もいつかデザインしてみたい。 今回はカビを実際に培養するケースを使ってバッグを作ってみた。
☆さまざまなバイオデザイン
この本の中で紹介されている内容の多くがArchitecture Design(建築デザイン)である。だがその中でもFashionに影響を与えた物や、環境問題や飢餓問題を解決できるIndustrial Designもいくつか紹介してある。特に気になった物を抜粋してメモしていく。
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🌱🪵木質部細胞の成長パターンを利用した建築物の外骨格デザインと材料配分
《取り組み》
David Benjamin / Fernan Federici(コロンビア大学)/ケンブリッジ大学/Creative Maschine Lab / Cornell University / *National Science Foundation
最初に木質部細胞の成長ロジックを研究し、スキャン、自然細胞の距離や厚さや角度を分析しそれを建築の外骨格に応用した物。
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👗BIOCOUTURE
《取り組み》
Suzanne Lee (Central Saint Martins of UAL)
砂糖の発酵の過程で一部の菌株がセルロースの小さな原繊維を紡ぐ。
これらは互いに接着して最終的に高密度で柔軟な層を形成している。
BIOCOUTUREでは、酵母や他の微生物も含む砂糖入りの緑茶溶液にバクテリアを加える。2~3週間後、溶液の上に厚さ約1.5cmの皮膜が形成され、これが生地になる。湿っている状態であれば立体的な形に成形することも可能である。素材は天然色素で簡単に染色できるので環境にも優しい。
また、この生地は野菜廃棄物と同様に、使用後は堆肥 として安全に処分できる。
素晴らしすぎる✨️
製品が予期せず腐敗しないように生分解を制御することや、素材に耐水性を持たせることは今後の課題であるらしいが、これほどまでに環境に優しい素材を同じ大学の卒業生の方が生み出していることが本当に嬉しい。私も頑張りたい…!
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🐟🪴ローカルリバー
《取り組み》
Matheu Lehanneur / Studio Matheu Lehanneur /Artists Space,USA
地産地消が支持されてきた現代に応えたプロジェクト。アクアポニックス(水産養殖と水耕栽培を組み合わせた循環型農業)と魚と植物の共生関係を組み合わせたミニチュア養魚場兼家庭菜園。
《システム》
植物が魚の排泄物を栄養に変える
↓
自ら不純物をろ過
↓
酸素を供給
↓
環境を最適化する
これは生態系自体をミニチュア化したバイオミミクリーの例として素晴らしいインテリアである。
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こんな感じで今回はバイオデザインについて最初のメモを作ってみた。UAL(University of the Arts London)のMAコースにはBiodesignコースがあるので卒展など何かしらの展示があるときにはぜひ訪れたいと思う。その時までに作品を理解出来るような知識をしっかりと落とし込んでおきたい。
機能面だけでなく、人工物には出せない美しさがあるのももちろん魅力のうちの1つであることも忘れないでおきたい。