カノン進行の理論-1 コード理論の基本事項,メジャースケール(書記が音楽やるだけ#1)
本企画の冒頭として,カノン進行について扱う。
なお,本企画のメインは楽曲分析なのだが,理論的に平易で,あまりにたくさんの楽曲に採用されており代表例をあげるのが難しいことから,最初にカノン進行の基本形を扱うこととした。
参考書:
カノン進行とは
カノン進行とは,ヨハン・パッヘルベル「カノンとジーグニ長調」のカノンにおける和声進行に基づくコード進行の俗称である。
C majorで音を当てたのが下譜面である。
最も単純な例だと「I-V-VIm-IIIm-IV-I-IV-V」となる。ダイアトニックコードのみから構成され,また三和音のみから構成される。
カデンツ
カデンツは「トニック(T)」「ドミナント(D)」「サブドミナント(S)」からなる。
メジャースケールでのカデンツの一覧:
Ⅰ,Ⅳ,Ⅴを主要3和音(スリーコード)といい,それ以外を代理和音という。
カノン進行に当てはめたのが以下の図。
まず,カデンツの基本形である「T→D→T」「T→S→D→T」「T→S→T」が全て含まれている点に注目。また,スリーコードを基本として,3小節目のⅥmと4小節目のⅢmは代理コードのトニックである。
さらに全体を見てみると,8小節単位での循環コード(冒頭にトニック,末尾にドミナント)となっている。なのでカノン進行はループして用いることもでき,使い勝手がよい。
強進行と弱進行
強進行のみでも曲を作ることはできるが,ここでは適度に弱進行を取り入れられていることで,緊張しすぎないようになっている。
ベースラインを下行させる
ここで1つのアレンジ例として,ベースラインを変えてみる。
赤が変化させたところである。ベースを根音以外に移すことを転回という。ここではベースラインが滑らかに下行するように移し変えている。転回した時とそうでない時で響き方が変わることにも注目したい。
実のところ,だいたいここまでで,コード理論の入り口は十分クリアしている。あとは実例を重ねるのみである。次回はさらに理解を深めるために,コードスケールについて見ていくことにする。
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