書記が数学やるだけ#317 Heine–Borelの定理,最大値・最小値の定理
n次元ユークリッド空間において開区間はコンパクトでないことは以前に示した。今回は,n次元ユークリッド空間において閉区間はコンパクトであることについて,Heine–Borelの定理を証明することで示す。
以前の解説:
問題
説明
n次元ユークリッド空間におけるコンパクト集合について,Heine–Borelの定理より有界閉集合であることと同値である。
このことから,解析学で有名な最大値・最小値の定理が証明できる。
解答
背理法によりコンパクトでないことを仮定して話を進める。
区間縮小列を作ると,カントールの共通部分定理から共通部分の点が存在することが言える。
しかし,そうすると有限被覆で覆えることになり,これは仮定に矛盾する。よって,n次元立方体はコンパクトである。
これがわかると,ユークリッド空間においてコンパクトと有界閉集合が同値であることが言える。すると,ユークリッド空間では有界閉集合であればコンパクトの性質を使うことができ色々便利になる。
最大値・最小値の定理は,上限・下限の存在から容易に示せる。
最後に,今までの定理のふり返り。仮定による式変化がはまっていく感覚を覚えておきたい。
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