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芸大和声をかじる-1 3和音の配置と連結の原則,カデンツ,終止(書記が音楽やるだけ#12)

シリーズ「芸大和声をかじる」では,『和声 理論と実習』全3巻の内容について扱っていく。

『和声 理論と実習』は、東京芸術大学音楽学部の和声の集団授業のための教科書として1964年から1967年にかけて音楽之友社から出版された和声学の教科書である。バロックから,古典派,およびロマン派初期までの和声を体系的に学べる構成となっており,古典和声のスタンダードとして用いられている。

以後,本シリーズでは『和声 理論と実習』における和声学を,まとめて古典和声と呼ぶことにする。

本記事では,主に古典和声の視点からポピュラー和声の理論を裏付けることを試みることにしている。かなり大雑把な説明になると思うので和声学の学習には教科書を用いることを強く推奨する。

なお表記については,文脈に応じて古典和声での音度表記ポピュラー和声でのディギリーネームを使い分けるものとする。

ということで,初回は1巻より3和音の配置と連結について見ていく。


配置

まずは構成する声部から。4つの声部からなり,それぞれについては以下の通り。大きく分けるなら,「バス」と「上3声部」となる。各声部の音域内に収めるのはもちろんのこと,各声部間で離れすぎないことが望ましい。

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和音の配置について,上3声部の距離により「密集配置」「開離配置」「オクターブ配置」に分類される。

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これはポピュラー和声でいうボイシングに相当するものである。参考までに,クローズボイシングオープンボイシングについて(詳細は別に扱う)。

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連結

古典和声では,音の接続が重視される。ここで,以後断り無しに用いる基本用語を確認しておく。

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禁則については本記事であまり気にしないことにする(それよりも大事なことがたくさんあるので)。

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連結についての一般的な原則について。実際にやってみると,原則を守ったほうがより自然なつながりになっているのがわかるだろう(個人差あり)。変えるべきところはきっちりと変えて,わざわざ変えなくてもいいことは変えない,というのが根底にあるのだろう。

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いくつかの例外。私感であるが,「ⅡはⅦに行きやすい」「Ⅶ(導音)はⅠに行きやすい」という音の持つ性質を反映したものだろう,このような例は後にも影響してくる。

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カデンツ

カデンツは,和音の並べ方を規定するものであり,以下の3つの型がある。これは古典和声でもポピュラー和声でも共通である。

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現代では,もう少し自由にカデンツを捉えることもある。上の3つの型はいわば予定調和であって,あえて脱出してみたいときには以下の方法を考えてみる。

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どの和音がどのカデンツかは,以前扱ったのとほぼ同じである。ただし,ⅢとⅦについては1巻では定義されていない。

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終止

終止は,和声における句読点に該当する。古典和声,ポピュラー和声共に,以下の4つが基本である。

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ここで,終止にドミナントモーションが含まれることを確認する。

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古典和声の学習について,原則を覚えるのはもちろんだが,現代からすると「なぜそうなるのか」を感覚レベルで考える,というのも大事だと思う。本記事ではそれを心がけるつもりである。


本記事のもくじはこちら:



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