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書記が物理やるだけ#247 対流熱伝達の基本概念

対流熱伝達について,まずは基本用語について確認する。


問題


説明

物質表面と流体とに温度差がある場合,表面付近で急激に温度が変化し,流体中では熱伝導と流れによるエンタルピー輸送が生じる。このような現象を対流熱伝達という。


ここで基本となるのはニュートンの冷却の法則であり,比例定数は平均熱伝達率という。ただ,一般に熱伝達率は表面上で一様ではなく,ある位置での熱伝達率を局所熱伝達率という。


平板上に流れる流体について,端付近では層流であり,下流にいくに従って乱流に変化していく。層流では流線が平行であり,乱流ではさまざまな方向に流れが生じるため,後者の方が熱伝達が促進されている(乱流混合)。なお,このときのレイノルズ数を臨界レイノルズ数という。


熱伝達において,表面付近では流体の粘性により流速が急激に減少する。この領域を速度境界層という。一方,温度については表面付近で急激に上昇する領域があり,これを温度境界層という。


解答

表面の熱流束より,平均熱伝達率の式を示しておく。


局所熱伝達率がわかっていれば,平均熱伝達率を求めることができる。


臨界レイノルズ数についての式変形により,層流から乱流に変化する距離が求められる。これより流速が大きいほど層流域が短くなることがわかる。


局所熱伝達率の式は,ニュートンの粘性法則から導出できる。



これより,温度分布がわかれば局所熱伝達率が求められる。

最後に,以後説明するヌセルト数についての計算例を示しておく。これは熱伝導の伝熱に対する熱伝達の伝熱の度合いを示す無次元量である。


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