書記が物理やるだけ#289 ミンコフスキー空間の具体例
ミンコフスキー空間の扱い方に慣らしていく。
問題
双子のパラドックスについて,ミンコフスキー空間から考えてみる。
説明
ここで固有時という概念を導入,これにより股間的領域にある2イベントの時間感覚が定義できる。
解答
K'系に沿って走る棒は図でいう青線に相当し,真上に移動していく。これをK系から見たのが緑線であり,棒の長さは1/γ倍だけ短くなっている(ローレンツ収縮)。
逆に,K系に沿って走る棒は図でいう青線に相当し,右上に移動していく。これをK系から見たのが緑線であり,やはり棒の長さは1/γ倍だけ短くなっている。
一方で,K'系に沿って走る時計は,K系からみるとγ倍だけ遅れる。
同様に,K系に沿って走る時計は,K'系からみるとγ倍だけ遅れる。
ここまでK系から見たときのK'系と,K'系から見たときのK系とで同じ法則が成り立っていることを示した。一見矛盾しているようにも思えるが,固有時を導入することでうまく説明することができる。
その例として双子のパラドックスを紹介する。最初の設定は以下の通り。
ミンコフスキー空間を用いて示していく。まずは弟基準とし,弟は静止・兄は運動とする。弟はct軸上を移動する。一方で兄は往路としてct'上を移動,さらに復路で慣性系を乗り換えてct''上を移動する。時空図より,弟が5年経過したとき,兄は4年しか経過しておらず,最終的に弟が20,兄が16だけ歳をとる。
このことを兄基準で見ると,兄は静止・弟は運動となる。このときも時空図より,兄が4年経過したとき,弟は3.2年しか経過していない。しかし兄が8年経過したとき,弟は6.4年から13.6年までジャンプする,これは慣性系を乗り換えたことに起因する。これを考慮すると,兄が16だけ歳をとったとき,弟は12.8でなく20だけ歳をとることになる。これでパラドックスは解消された。
しかし急に折り返せるロケットなんてない,ジャンプというのはなんだか解せない,そんな気もしてくる。
そこで次は兄が滑らかな加速度運動をする場合にどれだけ歳をとるかを考えていく。仮にx=1-costとおくと,v=sintより兄の固有時は4であることがわかる。弟の固有時は2πであることから,やはり弟の方が歳をとっている。
これを一般化すると,固有時間が最大となる(最も歳をとる)のは静止している場合であることがわかる。
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