書記が数学やるだけ#653 格子三角形に関する入試問題
2023の大学入試問題から,格子三角形に関する問題を取り上げる。
問題
説明
本問はおそらくピックの定理を背景にした問題であろう。これらの公式では,格子点に含まれる点の数さえわかれば複雑な図形でも容易に面積が求められる。
解答
まずはe点を図示してみる。(1)より格子点を結ぶ線はe点を通らないことがわかる。(2)より1×1内部にはe点を2つ含む。e点という概念は初見ではわかりにくいかもしれないが,境界線上にe点は含まないことがこの後の処理を幾分容易にしている。
ここからは格子三角形に含まれるe点の個数を調べる。
まずは直角三角形から,長方形を半分にすることを考える。(2)よりs×t内部にはe点を2st個含む。また,(1)より斜辺上にe点は存在しないので,長方形の個数の半分が直角三角形の個数となる。面積は容易に求められ,これより「面積=e点の個数の半分」が直角三角形で示せた。
より一般の三角形では,平行四辺形の半分と考える。
軸を1辺に持つ三角形について,以下のような等積変形を行う。
すると2つの直角三角形に分割できることから,この場合でも「面積=e点の個数の半分」が示せる。
どの辺も軸と平行でない場合。
平行四辺形の外側に長方形を考えることで,直角三角形の分割として表すことができる。よって一般の三角形について「面積=e点の個数の半分」が示せた。
格子正三角形が存在しないことは,上の事実より容易に示せる。
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