書記が数学やるだけ#858 多様体の向き付け可能性とホモロジー群
向き付けとホモロジー群の関係についてみていく。
問題
説明
以前はヤコビ行列式から向き付けを扱った。ホモロジー群からみた場合,n次元多様体についてn次元ホモロジー群は,向き付け可能ならばZ ,向き付け不可能ならば0と同型である:
解答
n次元多様体のn次元ホモロジー群について,r=0となるか否かで場合分けをする,これが向き付け可能か否かを決めす。
ホモロジー群が同じでもグラフが同相とは限らない例として,例えばアニュラスとメビウスの帯が挙げられる。このことは片方は向き付け可能でもう片方は向き付け不可能な場合に言える。これを証明するには,向き付け可能図形にホモロジーを保つ変形をしても向き付け可能図形であることを示せば良い。
向き付けの判定は展開図を用いることでも容易に行える。
向き付け不可能な図形の例をいくつか挙げる。まず実射影平面について,特に1次ホモロジー群が自由加群でない点に注目。実射影平面の数式での表現は以下を参照:
次にクラインの壺について,これはトーラスの向きを変えたものに相当する。
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