書記の読書記録#501『ランダムウォークと確率解析―ギャンブルから数理ファイナンスへ』
藤田 岳彦『ランダムウォークと確率解析―ギャンブルから数理ファイナンスへ』のレビュー
レビュー
本書のほとんどはランダムウォークに基づく離散的な系についての議論で,高度な解析学の知識を要さない点が特徴。竹居『入門確率過程』よりは難しいが,手を動かす効果は十分にありそうである。
もくじ
第1章 ランダムウォークの定義と“red and black”
1.1 ランダムウォークの定義と基本性質
1.2 ランダムウォークのパスとそれが決める確率変数
第2章 コルモゴロフの確率空間と鏡像原理
2.1 コルモゴロフの確率空間
2.2 鏡像原理と最大値の分布
第3章 基本離散分布と初到達時間分布
3.1 ベルヌーイ試行
3.2 基本離散確率分布
3.3 期待値と分散
3.4 初到達時間の分布
第4章 母関数とランダムウォーク
4.1 数列の母関数
4.2 確率母関数
4.3 初到達時間分布の母関数
第5章 条件付期待値と公平な賭け方
5.1 条件付期待値
5.2 公平な賭け方
5.3 ランダムウォークに関するマルチンゲール
第6章 いろいろなマルチンゲール表現定理
6.1 マルチンゲール表現定理(対称ランダムウォークの場合)
6.2 マルチンゲール表現定理(非対称ランダムウォークほかの場合)
第7章 離散確率解析
7.1 ドゥーブ-メイヤー分解
7.2 離散伊藤公式
7.3 ランダムウォーク汎関数のドゥーブ-メイヤー分解
第8章 ギャンブラーの破産問題とマルチンゲール
8.1 ギャンブラーの破産問題
8.2 ストッピング・タイム
8.3 オプショナル……
8.4 Optional Stopping Theorem
8.5 破産問題とマルチンゲール
第9章 確率差分方程式
9.1 確率差分方程式とマルコフ性
9.2 確率差分方程式の計算例
9.3 コルモゴロフ偏差分方程式
9.4 離散ファインマン-カッツ偏差分方程式
9.5 離散ギルサノフの定理
第10章 期待値と無裁定
10.1 期待値の意味
10.2 数理ファイナンスの基本定理と無裁定
10.3 株価の2項1期間モデル
10.4 株価の2項2期間モデル、T期間モデル
10.5 株価の2項T期間モデルにおける同値マルチンゲール測度
第11章 無裁定とマルチンゲール
11.1 “red and black”における裁定
11.2 お金の時間的価値と2項T期間モデル
11.3 デリバティブ
11.4 ブラック-ショールズ偏差分方程式、偏微分方程式
第12章 賭け方を変えることのできるギャンブラーの破産問題
12.1 不利なときは大胆に(Bold Strategy)
12.2 ギャンブルの平均持続時間
第13章 再生性と確率・期待値の計算
13.1 再生性
13.2 どちらが先に出る?
13.3 幾何分布・指数分布の無記憶性
13.4 ランダムウォークの分布計算への応用
第14章 逆正弦法則
14.1 離散逆正弦分布 DA(2n)
14.2 離散カイ二乗分布 DC(q)
14.3 正の側の滞在時間
第15章 ランダムウォークの局所時間、レヴィの定理
15.1 対称ランダムウォークの特徴づけ
15.2 レヴィの定理
15.3 離散田中公式
15.4 対称ランダムウォークのとレヴィの定理
第16章 ランダムウォークから作られるマルコフ過程とピットマンの定理
16.1 ランダムウォークから作られるマルコフ過程
16.2 ピットマンの定理
16.3 対称ランダムウォークの事例
第17章 ランダムウォークと分枝過程、離散レイ-ナイトの定理
17.1 分枝過程
17.2 離散レイ-ナイトの定理
第18章 ランダムウォークからブラウン運動へ
18.1 リスケーリング・ランダムウォーク
18.2 ブラウン運動汎関数の分布計算
18.3 おわりに
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